京都「愛宕神社」へ参拝!火の神様・愛宕山に登ろう


2018.08.21

トラベルjp 旅行ガイド

全国900社を数えるという愛宕神社の総本宮がある京都。「火迺要慎(ひのようじん)」と書かれたお札は京都市民にとってはお馴染みの存在。そんな火伏せ・防火に霊験あらかたな愛宕神社は、京都でも最高峰の霊山・愛宕山頂に鎮座しています。全国からの参拝が絶えない「愛宕さん」登山に挑戦してみましょう。
京都の愛宕さん
「火迺要慎」
何と書いてあるのか読めない人もいるかもしれませんが、これは「ひのようじん」と書かれています。多くの京都の家庭ではこのお札が貼ってあり、市民にとっては幼い頃からこのお札を目にして育ってきた非常に身近な存在。これは古来から火伏せ・防火に霊験あらたかとされている愛宕神社のお札なのです。
京都盆地の西側に位置する愛宕山。その頂上に鎮座しているのが愛宕神社で、京都市民は親しみを込めて「愛宕さん」と呼んでいます。
今は愛宕神社と呼ばれていますが、かつては修験道場として栄えた「白雲寺」であり「愛宕権現」とも呼ばれていました。修験道七高山の一つともされ、「伊勢へ七たび 熊野へ三たび 愛宕まいりは月まいり」と言われるほど隆盛し、全国へとその信仰が広まっていったのです。
戦国武将と愛宕神社
愛宕山は古来から戦国武将に信仰されてきました。とくに愛宕山で有名なエピソードがあるのは明智光秀ではないでしょうか。「本能寺の変」の直前に愛宕山でおみくじを引き、何度も凶が出たという逸話や、その後開かれた連歌「愛宕百韻」では発句で「ときは今 あめが下しる 五月かな」と天下取りの野望とも取れる歌を詠んだことは誰もが知るところです。
他にも戦国武将のエピソードは多いのですが、その理由は白雲寺の本尊である勝軍地蔵の存在。地蔵菩薩なのに馬にまたがって雄々しい姿をしている勝軍地蔵は戦いを司る軍神なのです。さらに奥の院には日本一の大天狗とされる愛宕太郎坊も祀られており、多くの崇敬を集めていました。
とりわけ東北の雄である伊達政宗の愛宕信仰は篤く、家臣である片倉小十郎の兜には「愛宕山大権現守護所」のお札が貼られていたほど。
片倉小十郎は大阪夏の陣に出陣する主君政宗のために京都愛宕山の白雲寺に参詣して戦勝祈願しています。そして見事に願いが叶い、お礼に絵馬を奉納したのです。
その絵馬は焼失や再奉納をへて現在に至っていますが、経年劣化が激しかったため奉納400年の2015年に復元奉納が行われました。絵馬に描かれているのは、愛宕神社の神使である猪にまたがった勇猛な烏天狗姿の愛宕権現なのです。東北地方に愛宕神社がとくに多いのは伊達政宗の影響が大きいといわれています。
愛宕神社参拝への道
さて、そんな愛宕神社ですが京都にある普通の観光地のように捉えていると大変な目にあいます。もともと修験道場だっただけあり、愛宕神社への道のりは簡単でありません。標高924mの愛宕山頂を目指さなくてはいけないのです。
一般的な登山ルートである表参道を清滝の登山口から愛宕山頂までは片道約2時間。参拝時間も含めて往復約5時間はまず必要となることを頭に入れておかなくてはいけません。
山頂までの道のりはなかなか本格的な登山であり、軽装での参拝はオススメできません。山頂付近は地上よりも約10℃気温が下がりますのでそれなりの装備・準備は必須。また前述のとおり往復5時間は要するため、午前中からの行動開始が望ましいでしょう。
花々が咲いているわけでもなく、景色も楽しめず、ひたすら階段を登っていくような登り道です。思ったよりもしんどいかもしれません。
余談ではありますが愛宕山にはかつてケーブルカーが通っていて、今もその痕跡が残っています。それだけではなく、山上には遊園地やホテルもある一大観光スポットだったのです。
昭和19年に戦争の激化に伴いケーブル線、嵐山と登山口を結ぶ鉄道線は廃止に。もし今もそれが残っていたら、もっと賑わっていたのかもしれませんね。ちなみに京都の怪奇スポットで有名な清滝トンネルは愛宕山鉄道の廃線を利用した道路だったのです。
神域は神々しい雰囲気が漂う愛宕神社
登山口から約2時間、登山道をまたぐ門が見えてきたらまもなくゴールです。これは黒門と呼ばれる白雲寺の遺構。ここから先はかつての白雲寺の境内地であり、六つの宿坊が並んでいたのだそう。このあたりからは空気が変わり、神域に入ったことがわかります。
少し平らな境内地を通り過ぎたあとは山頂・本殿への石段が。まさに最後の試練ともいうべき階段、ここを登れば登頂ということになります。
愛宕神社が一番賑わうのは「千日詣(千日通夜祭)」の日。7月31日の夜から8月1日の未明にかけて参拝すると千日分お参りした御利益があるとして、多くの参拝者が夜の愛宕山を登っていくのです。京都では3歳になるまでに愛宕山にお参りすると、生涯火からの災難に遭わないとされているので子連れの参拝者も少なくありません。
1300年もの昔からこの地に鎮座してきた愛宕神社。その歴史は本殿へたどり着けばよくわかるかと思います。現在の社殿は昭和4年に改修されたものですが、現在は損傷が目立ってきており、平成38年に控えた60年に一度の丙午の大祭にあわせ、本殿屋根の葺き替え工事や参拝者がより快適に過ごせるよう境内の整備もはじめています。
奉賛金は随時受付中。せっかくここまで登ったのであれば、悠久の歴史を持つ愛宕神社に少しでも力になってみてはいかがでしょうか。
帰路は月輪寺ルートから下山
愛宕神社参拝後、一般的な下山ルートは月輪寺を経由する道です。月輪寺までは約30分、その後登山口までは約60分という下りの道のりです。一部ですが京都市内を望める場所もあるのでひといきつきながら行きましょう。
下山ルートの中ほどにある月輪寺は鎌倉時代の創建という古刹で法然上人二十五霊場のひとつ。平安時代の仏像が8体安置されていたり、空也上人、法然上人がここで修行するなどの由緒が。しかし2012年夏のゲリラ豪雨により境内で土砂崩れが発生し、権現堂などの建物に被害を受け、今も復興に向けて支援金を募っています。
清滝川の清流が見えてきたら、往復約5時間の愛宕山登山もまもなく終了。思い立ったらすぐに参拝できるような神社ではありませんが、それだけに参拝後の清々しさは他の神社では味わえないものがあります。
2020年のNHK大河ドラマは「麒麟がくる」に決定し、主人公・明智光秀ゆかりのスポットとしても愛宕神社に注目が集まりつつあります。火難除けのご利益を求め、愛宕山を登ってみてはいかがでしょうか? 

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愛宕神社
place
京都府京都市右京区嵯峨愛宕町
phone
0758610658
opening-hour
9:00-16:00(千日詣の日は終夜…
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