龍巻地獄のお湯に入れる!別府柴石「長泉寺」の素朴な共同浴場


2018.03.04

LINEトラベルjp 旅行ガイド

別府で人気の観光コース「地獄めぐり」。特徴的な源泉の周囲を、公園のように整備した施設が市内に7カ所ありますが、今回はそのうちの1つ、柴石(しばせき)温泉にある「龍巻地獄」のお湯に入ることができる共同浴場「薬師湯」をご紹介。全く宣伝されていない、知る人ぞ知るレアスポットです!
地獄密集地帯・鉄輪から少し離れた柴石温泉
別府市内にはいくつもの地獄が存在しますが、「別府地獄めぐり」はそれらの地獄の中でも「鬼石坊主地獄・海地獄・かまど地獄・鬼山地獄・白池地獄・血の池地獄・龍巻地獄」の7カ所が参加している観光コースです。
この7カ所の地獄のうち、5カ所が別府最大の温泉地である鉄輪温泉に所在しています。
しかし、今回ご紹介する共同浴場がある龍巻地獄は、鉄輪から2キロほど海沿いに下った亀川方面の柴石(しばせき)という温泉地にあります。ホテルや旅館が立ち並ぶ鉄輪エリアとは対照的に、柴石温泉には龍巻地獄と血の池地獄、そして市営の日帰り入浴施設があるだけ。
血の池地獄と龍巻地獄はお隣同士で隣接しており、血の池地獄はその名前からイメージされるとおりの赤い温泉をたたえた地獄です。
対して龍巻地獄は、血の池地獄から徒歩で5分とかからない至近距離にあるにも関わらず、泉質は無色無臭の含食塩酸性泉。安全のため屋根が設けられていますが、本来は30メートルの高さまで吹き上がる間欠泉の地獄です。
天皇ゆかりの長泉寺、創建はなんと平安中期!
今回ご紹介する龍巻地獄のお湯を引いている共同浴場は、地獄の近くのお寺の中にあります。
龍巻地獄の前の県道を50メートルほど下ると、ポップな書体の「長泉寺」と書かれた看板が道の脇の住宅街の中に見えて来るでしょう。看板を目印に、県道から側道に逸れると、お寺の門の前に出ます。
長泉寺の歴史は、平安中期にまで遡ります。京都にいた皇子が病の床に臥せっていたところ、高僧が夢枕に現れ「豊後の国にある温泉で湯治をするとよくなる」とのお告げを授かりました。瀬戸内海を渡って別府までやってきた皇子は、川沿いから温泉が湧いているのを発見し、7日7晩湯治をすると、病はすっかり回復。この温泉が、現在市営温泉になっている「柴石温泉」です。
元気になった皇子は再び京都に戻り、70代後冷泉天皇に即位しました。即位するとすぐに、柴石温泉の近くに百済様式の七堂伽藍を建立し、血の池のお湯の色から山号を「朱湯山」、寺を建立した年の元号・寛徳元年から院号を「寛徳院」、枯れることなく湧き続ける温泉のイメージから寺の名を「長泉寺」としたということです。
その後、戦国時代に入り長泉寺は大友の乱で一旦焼失し、その後かなり長い間再建されることなく放置されていましたが、江戸時代中期、このあたりに住む長者が、以前お堂のあった柴石から山を少し下った場所に薬師如来堂を建立しました。
明治の廃仏毀釈で土地をバッサリとりあげられ、以前の十分の一ほどの規模になった長泉寺は、その後昭和43年に3度目の引越しで現在の場所に移りました。
今ではこじんまりとした地域のお寺、といった感じの長泉寺。本堂の奥はお寺の人の居住区になっており、入浴料は住居の玄関まで持って行きます。
忙しいお寺の住職さんの代わりに、お風呂の管理は通いのお手伝いさんが行っています。お手伝いさんは80代の女性で、受付業務だけでなく風呂掃除なども全部一人でこなされているそう。
薬師湯に入ることができるのは、お手伝いさんがいる朝10時から夕方4時までとなっております。定休日はありませんが、お寺に人がいない時は臨時休業になることもあります。
料金はお賽銭、住所の記帳をお忘れなく
入浴料はお賽銭、要はお気持ちなので決まった金額はありません。別府では、入浴料がお賽銭という入浴施設は他にもありますが、長泉寺では賽銭の他に、芳名帳に名前や住所を記載する独自の決まりもあります。
また、長泉寺薬師湯は「別府八湯温泉道」参加施設ですので、スタンプを集めている方はスタンプ帳をお忘れなく。
共同浴場は、寺の門を入ってすぐの場所にある白い木造の小屋で、入り口には「薬師乃湯」と看板がかかっています。浴室は1つだけなので、入り口に鍵をかけて入浴してください。
石造りの浴槽は、4人ほどでいっぱいになってしまうぐらいの広さ。シャワーやカランなどの設備はありません。
手作り感満載の浴室では、かわいいお地蔵様がお出迎え!
壁の棚にズラッと並んだカラフルな脱衣カゴ。
素朴なお地蔵様もいい味出してます。
窓は開けっ放しになっていますが、石垣で視界がさえぎられているので、外から浴室内部はほとんど見えませんのでご安心を。
長泉寺が龍巻地獄からお湯を引くことになった以外な経緯
源泉かけ流しのため、泉温は気候によってかなり変わります。冬場はぬる目の適温ですが、夏場は入れないぐらいの高温になることも。浴室に水は引かれていないので、熱すぎる時は温泉を注ぐパイプの角度を変えることで温度調節をします。それでもどうしようもなく熱い時は、備え付けのバケツにお湯を溜めて、冷ましてから湯船に入れるんだそうです。
温泉は飲むこともでき、酸味と塩気のなかにほんのりとした金気がありますが、飲みやすくまろやかなお味。
ところでこの共同浴場、かつては龍巻地獄ではなく、血の池地獄からお湯をもらっていたそうです。
約50年前まで、共同浴場は長泉寺の少し上の場所にあり、管理も別の人が行っていましたが、諸事情から廃業することとなりました。そこで、地域の人たちのために長泉寺が共同浴場を引き継ぎ、寺の敷地内で存続することになったのですが、血の池地獄からお湯を分けることを拒まれ、「だったらうちの温泉を使って下さい」と名乗りを上げた龍巻地獄の温泉を引くことになって今に至ります。
みなさまもぜひ、龍巻地獄の温泉に入れる長泉寺薬師湯にお立ち寄り下さい。これであなたも別府通!! 

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長泉寺
place
大分県別府市野田800-6
phone
0977664013
no image

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