秋の夜長に雅な舞いを!奈良・氷室神社「夕座舞楽」


2020.09.19

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舞楽といえば、古代、大陸よりもたらされた伝統的な舞踊として、その名を知る方もいらっしゃるでしょう。実は奈良の氷室神社では、毎年、秋の例祭の夜にその舞楽が奉納されるのです。明かりに映し出されるその様子は華麗そのもの!今回は氷室神社の「夕座舞楽」をご紹介しましょう。
毎年10月1日の夜にとりおこなわれる「夕座舞楽」
氷室神社は奈良市内にある神社。奈良公園に隣接する地に鎮座する氷室神社の創建は奈良時代。 その名のとおり、真冬に作られた氷を備蓄するために建てられた「氷室」にちなんでいます。
毎年9月30日から10月1日にかけてとりおこなわれる氷室神社の例祭は、平安時代後期の鳥羽天皇の時代、疫病をはじめとするわざわいを鎮めるためにはじめられました。「夕座舞楽(ゆうざぶがく)」はその例祭のなかの祭礼の一環として、毎年10月1日の夜6時半からとりおこなわれます。
写真は「夕座舞楽」のとりおこなわれる夜の門前を写した一枚。近年は社名にちなんで氷の献灯もおこなわれており、ご覧のように、参道の両側に置かれた氷の明かりが参道の道明かりとなっています。雰囲気が出ていると思いませんか?
例祭の夜は境内に明かりがともされ、本殿も暗闇のなかから浮かびあがります。舞楽鑑賞の前にまずは本殿にお参りしましょう。
肝心の舞楽は本殿前の舞殿でおこなわれます。舞殿のまわりには椅子も並べられているので、腰掛けてゆっくり鑑賞したい人には有り難い配慮。もちろん、拝観料も必要ありません。なんて贅沢なのでしょう。そう思う方も多いのではないでしょうか。
舞殿で演じられる舞楽の数々(その1)
氷室神社の例祭では、江戸時代の終わりまで、2日間にわたって38曲も舞楽が演じられていたとのこと。現在ではさすがにそこまでの数が上演されることはありませんが、それでも10曲近い数の舞楽が演じられます。
写真は「萬歳楽(まんざいらく)」。4人の舞人によって舞われる演目です。瑞鳥とされる鳳凰の姿を模しており、隋あるいは唐代に皇帝の命によって作られた演目とされています。したがって、慶賀の際には必ず舞われる舞ですが、赤い装束をまとった舞人4人がいずれも女性であるという点も気品にあふれた印象を見るものに与えてくれています。
ちなみに、氷室神社では、南都晃耀会と南都流舞楽伝承会によって舞楽が奉納されます。
写真の演目は「抜頭(ばとう)」。「抜頭」は面をつけて舞うこともありますが、こちらでは面をつけずに舞われます。「抜頭」もやはり女性によって舞われています。
舞殿で演じられる舞楽の数々(その2)
写真は「蘭陵王(らんりょうおう)」。北斉の王族で絶世の美男子といわれた高長恭を主人公にした演目で、自軍の士気を高めるため、あえて恐ろしい龍の面をつけて戦い、勝利をおさめたエピソードにちなんでいます。舞楽のなかでもっともポピュラーな演目なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
「納曽利(なそり)」は龍が昇天する様子を表したとされる舞で、「納曽利」の際につけられる面は龍をかたどっています。「蘭陵王」とはつがいになる舞とされ、「蘭陵王」の後に演じられますが、「納曽利」が演じられると、氷室神社の夕座舞楽もそろそろクライマックスです。
雅楽の音色も楽しもう!雅楽の奏者たち
舞楽といえば、雅楽の演奏によって演じられる舞。したがって、舞楽だけを拝見しているだけでは不充分であり、舞楽の世界を盛り上げる雅楽の音色も楽しみましょう。夜空に響く雅楽の音色、非日常的で必ずや旅の良い思い出となるでしょう。
もちろん、氷室神社の夕座舞楽で奏でられる雅楽は、たくさんの奏者の合奏による生演奏!客席の後方に奏者たちの座る部屋があり、彼らはそこから舞殿で演じられる舞楽を見て演奏しています。したがって、演奏中は奏者たちの前に立つことは御法度ですが、支障のない範囲で彼らの珍しい演奏風景をご覧下さい。 

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奈良 氷室神社
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奈良県奈良市春日野町1-4
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[4-10月]6:00-18:00[11-3月]6:…
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