銀座の老舗『はしご』の日本式担々麺「だんだんめん」が時を越えて愛されるワケ


2023.12.18

食楽web

『はしご』の「だんだんめん」900円 | 食楽web●銀座で1960年代から愛される老舗『はしご』の「だんだんめん」の魅力とは?「担担麺」の本場といえば中国四川省。現地では「ダンダンミェン」と発音し、その特徴は、汁なしで花椒の痺れとラー油の辛さをまとった麺です。ご飯茶碗のような小さなお碗に入り、麺の上にはひき肉、下には辛い調味料が入っていて、よくかきまぜて食べるのがならわし。 一方、日本人が親しんできた「担々麺(たんたんめん)」は、汁ありで芝麻醤のゴマのコクが強いタイプです。これは、1958年に来日した、日本の四川料理の父と呼ばれる陳建民が、日本人好みにアレンジした、いわば日本式担々麺です。 実際、筆者が学生時代に初めて担々麺を食べたときも、汁ありでした。当時は本場・四川の味など全く知らないので、「中国の担々麺ってこんなに美味しいんだな」と思った記憶があります。ただし、料理名は担々麺(たんたんめん)ではなく、「だんだんめん」でした。 この名前を聞いてピンと来た方もいるかもしれませんね。その「だんだんめん」を出していたのは、銀座の『支那麺 はしご(橋悟)』というラーメン屋です。もちろん、その「だんだんめん」は、四川の担々麺をアレンジした日本式。銀座6丁目にある『はしご(箸悟)本店』(昔は銀座5丁目にありました) 昭和39(1964)年に創業した『支那麺 はしご(橋悟)』は今も健在。銀座6丁目に本店を構えており(ほかに銀座に支店が2店ある)、昼時にはいつも満席の超人気店です。『はしご(箸悟)本店』のお昼どきはいつも満席。カウンターのみ24席 昭和・平成・令和と、日本では担々麺専門店がどんどん増え、店主がつくり出す個性的な担々麺もあれば、本場四川の味に近い汁なし激辛タイプも登場。日本の担々麺文化が進化し続けている中、『はしご』の「だんだんめん」は時代を超えて愛されているわけです。さっそく、その魅力をご紹介していきましょう。白ごはんとの相性が抜群の「だんだんめん」『はしご』のメニュー『はしご』の看板商品はもちろん「だんだんめん(担々麺)」(900円)です。これをベースに、ザーサイや蒸し鶏、カレー味の排骨、太肉(チャーシュー)をのせるトッピングバージョンがあります。「だんだんめん(担々麺)」以外にも、「支那そば」(しょうゆ味の中華そば)各種もありますが、ほとんどの人が食べているのはやはり「だんだんめん」。中でも太肉や排骨をのせたガッツリ系のタイプが人気のようです。 今回、頼んだのはシンプルな「だんだんめん」。注文時に必ずお店の方から「ごはんは付けますか?」と聞かれます。これはぜひ「はい」と答えましょう。無料だし、小さな茶碗で少量なので、少食の人でも食べられるはず。逆に足りないときはおかわりも自由です。そして何より、このご飯が「だんだんめん」を味わい尽くすのに欠かせないアイテムなのです。卓上の刻みタクアン 最初にごはんが供されます。ここで多くのお客さんが、卓上にある刻みタクアンをごはんにのせます。このタクアンがしょっぱすぎず、甘すぎず、絶妙な塩梅でとても美味しい。ぜひこの状態でスタンバイしてください。 そうこうしているうちに、「だんだんめん」が登場します。満席の場合、着席してからの待ち時間は10分ほどでした。ゴマ香る『はしご』の「だんだんめん」900円「だんだんめん」のビジュアルは、赤くて濃くて、どろどろと粘度が高そうに見えますが、実は真逆。辛さは控えめで、サラサラとしています。表面は芝麻醤やラー油で覆われていますが、実は下は醤油ラーメンのスープなんです。表面はゴマの風味と甘み、コクがあり、やや辛みもある『はしご』の「だんだんめん」の特徴は、この醤油スープと芝麻醤の二層が織りなす、絶妙なコントラストにこそあります。ストレートの細麺が、醤油スープに浸って旨味を吸い、すくいあげるときに上の層のゴマの風味やコク、甘み、辛味をまとう……。 だから、麺自体がものすごく美味。あっさりなのにコク深い。しかも、ときどき柚子の香りも舞うなど、中華というより、和のテイストがベースに横たわっているイメージ。どこかおしゃれな味わいなんです。ストレートの麺が醤油スープを吸い込み、旨味たっぷり。 そして、このスープが、ご飯とタクアンに実によく合うんです。大げさでなく、このご飯とタクアンなくして「だんだんめん」の本当の美味しさは語れない、とさえ言いたくなるくらい、ピタリと合うのです。『はしご』の「だんだんめん」は、ごはんとタクワンと一緒に食べることで完成する! おそらく陳建民氏がアレンジした担々麺よりも、この「だんだんめん」は、さらに日本人の舌にグッと寄り添うよう、考え抜かれて考案されたのでしょう。何しろ、味噌汁とごはんを食べているような、安心感すら感じるのです。 後で調べてみると、こちらの創業者は、陳建民氏の弟子であった料理人・久田大吉さんの元で学んでいたそうです。本格的でありながら和の心が生きた唯一無二の「だんだんめん」。どうりで美味しいはずだ、と思わず納得したのでした。 というわけで、久しぶりに食べた「だんだんめん」に感激しきり。時代を超えて愛される理由は、やはり、日本人の心をつかむ繊細な味わいにあると思います。銀座に行った際に『はしご』に行ってみてください。しみじみ美味しいですよ!(撮影・文◎土原亜子)●SHOP INFO店名:支那麺 はしご(橋悟)本店住:東京都中央区銀座6-3-5 第二ソワレ・ド・ビル1FTEL: 03-3571-1750営:平日11:00~翌5:00、土日祝11:00~21:00休:無休 

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支那麺 はしご 銀座本店
place
東京都中央区銀座6-3-5
phone
0335711750
opening-hour
月-金 11:00-翌05:00土・日・…
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更新日:2024/05/01

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