ラーメン官僚も絶賛する『宮元製麺』の超濃厚ラーメンのウマさの秘密とは?


2023.06.04

食楽web

食楽web 相変わらず、優良新店のオープンラッシュが続く2023年の東京ラーメンシーン。昨年(2022年)のGW明けに、立て続けに高水準な新店がオープンし、都内のラーメン好きは揃って喜びの声を上げました。 あれからはや1年が経過。ここまで勢いが持続すると、今後ものんびりしていては到底キャッチアップできないほどの出店ラッシュがしばらく続くと見たほうが良さそうです。 オープンする新店舗の味や営業スタイルの傾向も、徐々に明らかに。ジャンルとしては「醤油」「塩」「つけ麺」の快進撃が目立ちます。特に今期ならではの事情としては、高水準なつけ麺を手掛ける新店の数が著しく増えたことが、特筆に値します。 これは、昨今の新店の特徴として、汁そばとつけ麺を共に提供するという営業形態を採る店が極めて多かったこと、その原因として、自家製麺を用いる店が増えたことが挙げられると推察できます。 ここで、ようやく本題に入ります。今回ご紹介する『宮元製麺』(東京メトロ東西線・南砂町駅)も、屋号から推察できるとおり、自家製麺を用いる1軒。2023年3月19日に開店した当初から、「醤油」「塩」「つけ麺」など、複数の麺メニューを提供している点も、今期の新店の傾向に当てはまります。 こちらは、行列が途切れることがない大田区蒲田の実力店『煮干しつけ麺宮元』の、『ラーメン宮郎』(蒲田)に続くサードブランド。まさにこのコラムで採り上げるに相応しい“旬な店”と言えます。『宮元製麺』の外観。ロケーションは清洲橋通り沿い。最寄りの南砂町駅からでさえも約1.2km(徒歩約15分)と、相当な距離があります『宮元製麺』の最寄り駅となる鉄道駅は、南砂町駅(東京メトロ東西線)。1号店(『煮干しつけ麺宮元』)と2号店(『ラーメン宮郎』)がどちらも蒲田なので、てっきり3号店も、蒲田かその近傍になるかと思いきや、城南エリアから城東エリアへと一気にジャンプ! 宮元氏によれば、『宮元製麺』は手間暇をかけて本気で創り上げた1杯をファミリーで気軽・気楽に味わってもらいたい、というコンセプトに基づいて立ち上げたお店だそうですが、そんな意図がダイレクトに反映された立地です。 店内の客席スペースには、10席を超えるカウンター席に加え、それ以上の人数が着席できる規模のテーブル席が用意されています。私が訪れたときも、ひとり客よりも子ども連れの家族客やカップル客の姿が目立ち、テーブル席を多めに設けた効果が、目に見える形で表れていました。店舗内観。席数が多いので、行列待ちが発生したとしても、入店までにそれほど時間はかからないはず(食楽web)『宮元製麺』では、オープン当初から複数の麺メニューを提供中。券売機の最上段は「ラーメン」、2段目は「つけ麺」、3段目は「油そば」関連のボタンが並んでいます。加えて、同店では塩ベースの麺メニューも提供しており、4段目は「塩ラーメン」、5段目は「塩油そば」関連のボタンとなっています。「醤油」「塩」「つけ麺」、そして「油そば」までは、最近では作り分けるお店も少なくありませんが、「油そば」の塩バージョンである「塩油そば」まで提供していることに驚きました。というわけで、今回は5種類ある麺メニューの中から「ラーメン」と「つけ麺」の2杯を連食することにしました。コッテリ濃厚な力強い「ラーメン」と「つけ麺」「つけ麺」1000円。全般的な傾向として、ラーメンマニアとして津々浦々の店舗を食べ歩いた経験のある人が店主を務めるラーメン店は、そうでないお店より、連食するお客さんへの対応が格段にスムーズ オーダーして待つことおよそ5分。しっかりと統制が取れたスムーズなオペレーションに見惚れているうちに、いつの間にか商品が完成。訪問日当日、私は「つけ麺⇒ラーメンの順番で提供してほしい」とお願いしたので、まずは、「つけ麺」が卓上に供されました。なお、1杯目を食べ終えた後、2杯目が登場するタイミングもバッチリ。流石です! 眼前に登場した「ラーメン」と「つけ麺」は、共に、そのビジュアルだけで、うま味がガツンと濃厚だと予測できるもの。濃厚なラーメンがお好きな、いわゆる“濃厚民族”であれば、その姿かたちが視界に入り、立ち上る香りを嗅いだ瞬間、脳内からアドレナリンが分泌され、小躍りしたくなるはず。「ラーメン」950円「ラーメン」は、深みのある鮮褐色のスープに、トッピングとして、豚モモの吊るし焼きチャーシュー・小松菜・海苔がのせられた“家系”ライクな出で立ち。スープは、醤油の色合いが前面へと押し出されるがあまり、暖色系の褐色を呈しています。「つけ麺」は、「ラーメン」と同じく明るい褐色を呈したスープに、数ミリもの厚みを有する液状油が覆いかぶさる様子が、視覚的訴求効果大。トッピングも、チャーシュー・小松菜・海苔と、「ラーメン」のそれをトレースしたものとなっています。いずれの品も、視認すると同時に“当たり”であることが確信できる、一流店ならではの風格・オーラがあります。「ラーメン、つけ麺ともに、2年前から、1号店で年に数回提供してきた限定メニューをベースに、さらに磨き上げたものです。具体的には、『宮元家流家系ラーメン』、『宮元家流つけ麺』と名付け、実際に提供してきた商品の改良版ですね」と宮元店主。 1号店で出していたこれらの限定メニューは大好評を博したそうで、この味をより深く追求し完成度を高めた状態で、より多くの人に味わってほしいと宮元さんが考えたことも、今般の3号店設立の強い動機となったとのこと。確かに、開店からまだ日が浅いにもかかわらず、同店の1杯が、すでに改善する余地がないほど完成度が高いです。濃厚好きなら絶対どハマりするであろう絶品スープ。「1号店の限定メニュー『宮元家流』として何回も提供していたので、味にはそれなりの自信があります」と宮元店主。その言葉も、決して大げさではないほどのウマさ 均整の取れたビジュアルを心ゆくまで堪能した後、スープをレンゲで掬い、ズズっとひとすすり。濃厚好きなら絶対どハマりするスープです。出汁と共にスープの味の「要」の部分を担う醤油ダレも、上質なうま味が味蕾の上で力強く花咲き、心地良い余韻が後々まで尾を引く、「ウマい」という概念を食べ手の脳裏へと擦り込むような、猛々しい構成。 三元豚の複数の部位、鶏、香味野菜等の素材を、3つの寸胴を駆使しながら丁寧に炊き上げたという出汁は、各種素材の等身大のうま味が、いささかの歪みもない形で活き活きと躍動。超濃厚でありながら、的確かつ緻密な仕事ぶりも随所に垣間見える会心の出来映えです。「醤油ダレは、厳選した数種類の醤油をベストだと考える割合でブレンドしたもの。生揚げ醤油も使っているので、醤油ごとに火入れの時間や工程が異なりますが、醤油ラーメンにとってカエシの味は命なので、ここは一切妥協していまません」(宮元さん) 一方、「つけ麺」のスープは、絶妙なさじ加減へと調整された甘みが、複数の素材のうま味を優しく包み込む鉄板の構成。レンゲを持つ手を止めることが困難なほど引きが強い味わいに仕上がっています。 実食の途中から発汗が止まらなくなるほどうま味が凝縮され、高い塩分濃度を持ち合わせながらも、「飲み干したい!」という誘惑に抗いきれなくなるほどハイレベルなスープです。豊富な経験から生まれる唯一無二の一杯「塩ラーメン」と「油そば」「塩ラーメン」950円。ラーメン・つけ麺・油そばを問わず、使用する個々の素材について、うま味の出方や感じ取られ方を綿密に吟味し、あらゆるうま味をまんべんなく活かした味わいを構築することに最も注意を払ったと宮元店主は語ります なお、私がいただいた「ラーメン」と「つけ麺」以外の商品も、宮元氏のラーメン職人としての豊富な経験が、十二分に活かされたものです。 例えば「塩ラーメン」のタレは、複数の産地から厳選した複数の塩をブレンドし、貝柱・節など、出汁に入らない素材の滋味を溶け込ませたもの。また「油そば」は、自家製麺の魅力を最大限引き出すために必要な工程をじっくりと考えながら開発したものだそうです。「油そば」950円 スープだけではありません。麺にも、熟練職人ならではのこだわりが光ります。宮元さんによれば、「この店のためだけに、新たに製麺機を購入しました。数種類の小麦をブレンドし、じっくりと寝かせることで、モッチリとした食感が満喫できる、素晴らしい熟成麺が完成したのではないかと自負しています」とのこと。もちっとした食感の麺は食べ応え抜群 実際、その自家製麺は、超濃厚で押し出しが強烈なスープに一歩も引けを取らない存在感を放ち、なおかつ、スープの滋味を余すところなくとらえて口元へと運び込む、“うま味の伝道者”と呼ぶに相応しい逸品です。全てのラーメンに店主のこだわりと愛が詰まっている 最後に、『宮元製麺』に懸ける想いについて、宮元店主に自由に語っていただきました。「当店は、私の“本気”をできるだけ多くの人たちに届けたいというコンセプトで開業したお店。なので、味もあえてファミリー向けチェーン店のように食べやすくせず、ガツンとインパクトがあるものにしています。近々、清湯タイプのラーメンも商品化する予定ですので、ご期待ください」 今や、実力店として不動の地位を確立した『宮元グループ』ですが、新規出店や限定メニューイベントの開催など、様々なことに取り組むチャレンジングな姿勢は、1号店創業時からいささかも揺らぎません。これからも、都内ラーメンシーンの核となるグループのひとつとして、注視し続けていきたいと思います。宮元達宏店主のプロフィール・東京都生まれ。ラーメン職人になる前は、知る人ぞ知るラーメンマニアとして、年間500杯のラーメンを食し続けてきた、ラーメン好き店主の代表格。元々がラーメンマニアなので、連食するお客さんへの対応はお手のもの。つまり、気兼ねすることなく連食できるということ。・ラーメン好きが高じて、『麺屋一燈』へと弟子入りし、『ラーメン凪』を経て、再び『一燈』にて修業。同店のセカンドブランドである『ラーメン燈郎』の店主へと抜擢され、地力を蓄えた後、2015年、蒲田の地に『煮干しつけ麺宮元』を構える。・元ラーメンマニアならではの「流行のその先を読む」能力により、スタンダードなジャンルの1杯に「宮元氏ならではのオリジナリティ」という名の魂を吹き込むことを得意とする。2020年代の東京ラーメンシーンの屋台骨を支える、熟練ラーメン職人。・江東区在住なので、休日に家族でラーメンを食べに行くときは、まず江東区内のお店をチェック。しかし食べたいラーメンを出す店が少なかったり、そもそも席配置がファミリー向けでなかったり…という状況で、足を運べるお店がなく、特に南砂町駅の周辺はラーメン店の数自体が少ないこともあり、地元への恩返しという意味合いを込めて『宮元製麺』を南砂町に出店。●SHOP INFO店名:宮元製麺住:東京都江東区東砂5-1-11 ジェイズクレイドル 1FTEL:03-6822-6202営:11:00~15:00、17:30~21:00休:水曜●著者プロフィール田中一明「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。 

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宮元製麺
place
東京都江東区東砂5-1-11 ジェイズクレイドル 1F
phone
0368226202
opening-hour
11:00-15:00/17:30-21:00(材料…
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