実は330も島がある! 知られざる東京の「島酒」を7本飲み比べてみた!


2023.04.30

食楽web

食楽web●「島酒」と聞くと沖縄の泡盛などを連想しがちですが、実は東京の島でも「島酒」作りが盛ん。そこで「東京の島酒」を7本取り寄せ飲み比べ! 知られざる秘密に迫る あまりイメージがわかないと思いますが、実は東京は島が多いエリア。有名なところでは、伊豆諸島や小笠原諸島といった島々があります。でも、これら東京の島々で“お酒が作られている”ことを知らない人は意外に多いのでは? 「島酒」と聞くと沖縄の泡盛が有名ですが、東京諸島の酒もれっきとした「島酒」です。 そこで今回は、一般では入手しにくい貴重な「東京の島酒」を7種飲み比べ。合わせて、東京諸島の物産品を多く扱うショップ『東京愛らんど』担当者にも、「島酒」の話を聞きました!東京島酒の代表格!「嶋自慢(25度)」(新島)新島「嶋自慢(樫樽貯蔵)(25度)」1850円(税込)/株式会社宮原 まずは、新島の「嶋自慢」。原材料は麦、麦麹で一口飲むと、香ばしい麦の香が口いっぱい広がり、後から麹の甘味が押し寄せてくる印象です。このバランスの良さから、ストレート、ロック、水割りなどでいただくのが良さそうです。 度数は25度と平均度数が30度前後の泡盛に比べると低めですが、もっと強めにも感じる飲みごたえです。聞けば、「東京の島酒」を代表する焼酎でもあるようで、「ですよね!」と言いたくなる優雅な味わいでした。昔ながらの製法で作られる“幻の酒”「あおちゅう(30度)」(青ヶ島)青ヶ島「あおちゅう(30度)」4400円(税込)/青ヶ島酒造合資会社 続いては、流人が青ヶ島に辿り、その製法を伝授したと伝えられる芋焼酎「あおちゅう」。青ヶ島における芋焼酎は「幻の酒」といわれ、昔ながらの製法で醸造されているのも特徴だそうです。中でも比較的入手しやすいのがこちらの「あおちゅう」です。甘さと辛さを交互に感じされる味わいは、かなり独特の味ですが芋焼酎好きには「この焼酎でなくちゃダメ!」という人がいるのも納得のヤミツキ感です。 度数は30度と平均的度数です。「あおちゅう」の強い個性を味わいたい場合はストレート、ロックがオススメ。また、「ちょっと個性強すぎなんだよなぁ~」という方には、マイルドなお湯割り・水割りなども良いと思いました。麦本来の香りと甘味で病みつき必至!「御神火 天上(25度)」(大島)大島「御神火 天上(25度)」2580円/有限会社谷口酒造 続いては、ブルーの瓶がまばゆい大島の「御神火 天上」をいただきます。グラスに注ぐと、実にクリアな見た目ですが、味わいもまた透き通るような軽い口当たりで、飲み口後半で麦麹の甘味とコクを感じる上品な味わいです。 原材料は、麦・麦麹。減圧方式による蒸留で、麦本来の香りと甘味を損なわないよう造られているとのことで、どんな割材にも合いそうに思いました。一方、かなり繊細な味わいでもあるのでストレート、ロックでいただくほうが「御神火 天上」の魅力をより強く感じることができるとも思いました。個性的かつインパクトのある味が唯一無二!「ジョナリー(25度)」(八丈島)八丈島「ジョナリー(25度)」1800円/坂下酒造 有限会社 続いては、八丈島の「ジョナリー。かなり特徴的な焼酎で、一口飲むと、強いまろやかな芋の甘味を感じます。原材料は麦・芋とのことで、複雑かつ重厚感のある味わいです。 聞けば、ブランデーやシェリーに使われている樽で貯蔵した40度の「原酒」に同蔵の「黒潮」をブレンドしているとのこと。ソーダなどの割材と合わせても、ベースの味わいを損なわないほどの強い味で、レモンやライムなどを絞っていただくとスキッとして良さそうです。神津島の天然水で造られる奥ゆかしい島酒「盛若(樫樽)(25度)」(神津島)神津島「盛若(樫樽)(25度)」1690円/神津島酒造株式会社 続いては、神津島の「盛若(樫樽)」をいただきます。赤く燃え盛る空に、真っ黒に染まる山が描かれたパッケージは、ただならぬ雰囲気を感じます。実際に口にしてみると、サッパリとした飲み口。それでいて後半には麹の甘味が追いかけてくる印象で、奥ゆかしい味わいを楽しませてくれます。聞けば、神津島の天然水を使用し、樫樽で貯蔵、熟成させた焼酎とのこと。 ストレートやロックで飲むのがオススメですが、サッパリした味わいなのでどんな割材にも合いそうです。また、甘酒との相性も良いらしく、「混ぜるとコクが生まれて、韓国のマッコリのような味になる」そうです。東京諸島自慢のラム!「無人酒(25度)」と「海底熟成ラムMother(40度)」(小笠原)左:小笠原「無人酒(25度)」2300円、右:小笠原「海底熟成ラムMother(40度)」5100円/小笠原ラム・リキュール株式会社 ここまで、「東京の島酒」として焼酎を5銘柄飲み比べましたが、ここからはラムの「島酒」をいただきます。まずは、小笠原の「無人酒」。黒糖ベースのラムで、一口目からラムのまろやかな甘味が口いっぱいに広がります。どこか優雅な味わいで、日常酒としてではなくアウトドアなどのリラックスできるシーンでいただきたい銘柄。ストレート、ロックでいただくのはもちろん、さまざまな割材との相性も良さそうです。 そして、同じく小笠原の「海底熟成ラムMother」。こちらはサトウキビを原料にして作られたラムで、「無人酒」よりも口当たりが芳醇。まず、ラムの豊かな香りが口に広がり、後半でほんの少しの塩味を感じました。聞けば、カクテルベースにもよく使われる銘柄で、こちらも飲み会というよりは、ゆっくり楽しむのにピッタリなラムだと思いました。「東京の島酒」知られざる話!麦麹で仕込む芋焼酎と農民たちが愛したラムとは?各銘柄のパッケージを眺めるのも楽しいものです ここまで7種類の「東京の島酒」を飲み比べましたが、一口に「島酒」といえど、各銘柄とも二つとして同じものはないばかりか、個性豊かで味わい深いものばかりでした。また、パッケージも実に自由で、焼酎・ラム好きにはたまらない銘柄ばかりでした。 しかし、ここでふと気になったこともあります。「どうして、東京諸島で酒作りが盛んになったのか?」。そこで『東京愛らんど』の担当者に、「東京の島酒」の知られざる話を教えてもらいました。「『東京の島酒』としての焼酎造りのルーツは1853年にまで遡ります。江戸時代、鹿児島の商人であった丹宗庄右エ門(たんそうしょうえもん)が琉球との密貿易によって八丈島へ流刑となったことが発端です。八丈島で芋が栽培されていることを知った丹宗庄右エ門が、九州の焼酎造りを島民に伝授し、その技術が八丈島から各島々へと伝わっていきました。 当時は米が貴重な作物だったため、その代替として麦麹を用いる製法が根付き、“麦麹で仕込む芋焼酎”という全国的にも珍しいスタイルが定着。麦麹特有のさわやかな香りと芋の旨みのバランスに優れた味わいが島の焼酎に共通する特徴です」(担当者) なるほど、その地に最初からあった麦と芋を使って、あれこれ工夫しながら、他所には見られない酒造りが盛んになったというわけですね。ちなみにラム酒についてはどうでしょうか?「1876年に小笠原諸島が日本領土になると、亜熱帯の気候を活かしたサトウキビ栽培による製糖業が盛んになり、その過程で生じた副産物を発酵・蒸留して造った酒が『糖酎』や『蜜酒』として島民たちに愛飲されるように。これがラム酒製造の起源と言われています。その後、第二次世界大戦によって製糖業が衰退したものの、終戦後1968年に小笠原が日本に返還されると、再び島民の日常酒としてラム酒の需要が復活。1989年に小笠原ラム・リキュール株式会社が設立され、小笠原の地酒としてのラム酒が誕生するに至りました」(担当者)まとめ東京・竹芝客船ターミナル内の『東京愛らんど』 というわけで、知られざる「東京の島酒」をご紹介してきましたが、まさに灯台下暗し、東京にこんなに美味しい「島酒」があったとは…と感慨深く、興味深いレビューになりました。 特に焼酎・ラム好きの方にはぜひ飲んでいただきたいです。流通量の問題から、どこででも買えるわけではありませんが、例えば東京・竹芝客船ターミナル内の『東京愛らんど』店頭や通販サイトで購入することができます。あなた好みの「東京の島酒」を見つけて、楽しいお酒の時間を楽しんでくださいね。(撮影・文:加賀ま波・松田義人)●SHOP INFO店名:東京愛らんど住:東京都港区海岸1-12- 2 竹芝客船ターミナル内TEL:03-5472-6559営:10:00~18:00、土日祝10:00~20:00https://www.tokyoislands-net.jp/shop 

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東京愛らんど
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東京都港区海岸1-12-2 竹芝客船ターミナル内
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