カラアゲニストが選ぶ2022年に本当に美味しかった「至極のからあげ」BEST7


2022.12.31

食楽web

『鳥割烹 大金(だいきん)』の「唐揚げライス」 | 食楽web この2年ほどで、からあげ界全体の“底上げ”が一気に進んでいます。2022年も、コロナ禍によるテイクアウト需要の拡大がからあげ専門店のレベルアップにつながり、美味しいからあげに出合える確率が高まった一年でした。その一方で、老舗店やからあげ×他の料理のコラボなどで人気が上昇しているお店も増えています。 そこで今回は、日本唐揚協会認定カラアゲニストであり、「からあげの聖地」として有名な大分県中津市出身の、わたくし松本壮平が、2022年に味わったからあげ定食やテイクアウトからあげの中で、とくに印象深かった逸品をご紹介しましょう。“テイクアウト店一強”に「待った!」をかける老舗や居酒屋、お弁当のからあげにも注目です!老舗鶏料理店のからあげ&竜田あげを“合い盛り”定食で味わう|『鳥割烹 大金』(日本橋浜町)「唐揚げライス」。からあげ3個と竜田あげ2個の組み合わせ。ご飯・味噌汁・お新香付き 東京・日本橋浜町の『鳥割烹 大金(だいきん)』の人気メニューは「唐揚げライス」と「竜田揚げライス」。5個、4個、3個と個数を選べるだけでなく、からあげと竜田あげのミックスも可能です。取材時は5個(からあげ3個・竜田あげ2個)をいただきました。 こちらのからあげ&竜田あげはとにかくデカく、1個70gほどはあります。からあげの衣は炙りたての新鮮な焼き海苔のようなパリッとした歯ざわりで、軽いおこげが香ばしい。弾力のある肉からショウガの爽やかな風味が口から鼻、のど一帯に拡散していきます。ニンニクは不使用ですが、ショウガの風味と肉の旨み、衣の香ばしさも加わって、ご飯が進む濃厚な味に仕上がっています。こちらはからあげ。肉が薄めなので、衣と肉のバランスが常に一定で実に美味 竜田あげはからあげに比べて衣がフワリとした食感。肉もソフトな歯ざわりで肉汁も旨みもたっぷり。2個だけですがビッグサイズなので満足感は十分です。 さて、こちらのからあげと竜田あげ、肉を漬けダレに1日漬け込むところまでは同じ。からあげはその肉に片栗粉をまぶして揚げますが、竜田あげは溶き卵にくぐらせたあとに片栗粉をまぶして揚げているとのこと。竜田あげに溶き卵を使うのは、旨みや肉汁をより閉じ込められるからだと言います。たしかに竜田あげはからあげよりも旨みが強くて肉汁も多い印象。衣のフワリとした食感も溶き卵のなせるワザですね。 場所柄、界隈のビジネスマンにも愛されるお店です。テイクアウトも可能なので、お弁当でからあげと竜田あげを好きな場所で楽しむのもオススメですよ。●SHOP INFO店名:鳥割烹 大金住:東京都中央区日本橋浜町2-10-6食べ始めると止まらない魅惑の「素揚げ」|『揚げものスタンド たのしみち』(奥沢)「鶏もも素揚げ定食」。ご飯はおにぎり。味噌汁、お新香付き 世田谷区・奥沢で30年近く愛される居酒屋『揚げものスタンド たのしみち』。揚げ物がメインの居酒屋さんですが、昼は絶品の鶏の素揚げを楽しめます。特に骨付きモモ肉1本を豪快に素揚げにしたものがメインディッシュの「鶏もも素揚げ定食」1375円が人気。 素揚げは真ん中あたりでカットしてくれているので食べやすいのがイイ。さっそく骨なしのほうからかぶりつきましょう。揚げたてアツアツなので、手づかみで食べるときはヤケドに注意です。米油を使ったさっぱりした味わい。塩の旨み×肉の美味しさで、ダブルパンチなウマさ。骨ばなれも良好。ほろりとはがれてくれて、旨みの強い肉を思いっきり堪能できます。お好みでレモンを搾ってどうぞ 素揚げの揚げ油には米油を使っているそうですが、歯ざわりバリッバリで油っぽさが全然ありません。見事な揚げ具合です。とくに鶏皮の部分の香ばしさと言ったら! 味付けは塩のみ。その塩も肉に合うものを厳選しているそうで、実に良い塩梅です。おにぎりは鮭、梅、高菜、たらこ、すじこから選択できます。これがまた素揚げと合う! 肉と塩の相性が抜群の素揚げで、ひと口食べると魔法にかかったように、すぐに次のひと口を求めてしまう魅惑的な逸品。誘われるがままに食べ続け、気付けば1本をペロリと完食。お昼はこれくらいがちょうどいいんでしょうが、あと2~3本はいけるんじゃないかと思ってしまったほどの美味しさです。 また、ご飯はお茶碗に盛られて出てくるのではなく、おにぎりというのが何ともユニーク。鮭・梅・高菜・たらこ・すじこの中から好きなものを1個選ぶことができますが、これが素揚げとよ~く合うんです。●SHOP INFO店名:揚げものスタンド たのしみち住:東京都世田谷区奥沢2-11-8メゾン中村1Fデカいからあげ×絶品餃子で大満足!|『唐揚と餃子の忠吉』(西新宿五丁目)「唐餃定食」はビッグなからあげ4個と餃子が3個という構成 都営大江戸線・西新宿五丁目駅から徒歩数分の場所にある『唐揚と餃子の忠吉』。店名の通り、からあげと餃子がメインのお店です。夜は居酒屋さんですが、ランチタイムは「唐餃定食」(からあげ4個+餃子3個)が大人気。「からあげが4個だと物足りないなあ…」と思う人もいるかもしれませんが、心配ご無用。こちらのからあげ、1個およそ50~60gほどもあるビッグサイズです。箸でつまみ上げてみれば納得いただけるでしょう。かなりの重さで食べごたえもバツグンなのです。からあげ4個は1個あたり50~60gほど。食べごたえがあります サックリした軽やかな歯ざわりの衣を突破すると、やや強めのショウガの風味が電撃的に攻めてきます。そして間髪入れずにふっくらとした肉の旨みが迫ります。さらにそこに衣の香ばしい風味がよくなじみ、まさに三位一体の美味しさ。 聞けば、ショウガを利かせた自家製の漬けダレに丸1日じっくりと漬け込んで、さらに2度揚げしているとのこと。この鮮烈なショウガの香りと肉のやわらかさ、そして衣の軽やかな食感の秘密はそこにあるようです。 肉汁は旨みたっぷりで、舌にやさしく触れてくるようで、例えるなら“慈母”のような味わいのからあげです。1個食べ終えたときの満足感はハンパなく、それがあと3個も残っているという幸福感。最高です。もう一つの名物・餃子は何もつけなくても十分美味しい もう一つの主役、餃子も絶品。やや小ぶりですが、餡にしっかり味がついており、タレにつけずに食べてもウマいです。なお、餃子をメインにガッツリ食べたいという人には、餃子6個+からあげ2個の「餃唐定食」もありますよ。●SHOP INFO店名:唐揚と餃子の忠吉住:東京都渋谷区本町3-8-10 2号室味も揚げ具合も百点満点! 絶品のムネ肉からあげを堪能|『鶏ちゃん』(幡ヶ谷)大ぶりなムネ肉からあげ。見ただけで美味しさが伝わってきます 筆者は常々、「ムネ肉のからあげがウマい店にハズレなし」と思っているのですが、肉質を理解し、手間ひまをかけなければ、美味しいムネ肉からあげはできません。そしてそんなお店は、モモ肉など他の部位のからあげももれなく美味しいのです。 テイクアウト専門の『からあげ専門店 鶏ちゃん』幡ヶ谷駅前店は、まさにそうしたお店の一つ。「むねからあげ」は1個(140円)から購入可能で、好きな分だけ購入できます。やや大ぶりで、衣に歯を当てると一瞬「ガリッ」という感触がありますが、すぐに「ジャリッ」に変わり、肉に吸い込まれるようにじわじわと溶けていきます。衣にはオリジナルの特製からあげ粉を使用しているとのこと。ものすごく心地よい歯ざわりの衣です。「ムネ肉からあげ」。肉汁がにじみ出てくるしっとり具合 醤油ベースの特製漬けダレにしっかり漬け込み、さらにもみ込んでいるという肉は、ムネ肉とは思えないほどのやわらかさ。完璧ですね。肉の旨みをしっかり感じられるだけでなく、醤油の風味がそこに加わり、和のテイストが際立つ味わい。とめどなく食べてしまえる、ある意味、危険な美味しさです。 モモ肉からあげと同じ方法で調理しては、こうはなりません。大ぶりなサイズも、固さの原因となる繊維質をカットすることを意識したものでしょう。ムネ肉からあげを美味しくするポイントを押さえていますね。「ももからあげ(5個)」もさすがの美味しさ 一方の「ももからあげ」(1個130円)も期待を裏切らない美味しさ。大ぶりで旨みがしっかりと閉じ込められた肉からは肉汁がとろ~り流れ出てきます。ムネ肉とは違った、しっとりやわらかい肉質。ガリッとした衣との相性もイイ。やはりムネ肉の美味しいお店は、モモ肉もウマいのです。 ちなみに『鶏ちゃん』では、ムネ肉、モモ肉のほか、手羽先や鶏皮、やげん軟骨のからあげも提供しているので、こちらもぜひ!●SHOP INFO店名:からあげ専門店 鶏ちゃん 幡ヶ谷駅前店住:東京都渋谷区幡ヶ谷2-7-12ダシの旨みと肉の弾力感に悶絶必至!|『からあげ屋なのにスムージー』(府中市)ダシの旨さが光るからあげ 京王線・武蔵野台駅のそばにある『からあげ屋なのにスムージー』。風変わりな名前のお店ですよね。その名の通り、からあげとスムージー、そのどちらも看板メニューというユニークな一軒です。こちらのオススメは「ダシもも定食」(693円)。だしベースのからあげは昨今のトレンドですね。 からあげは4個ですが、1個がかなりの大きさ。ひと口いけば、カリッとした薄衣の先に、弾力感抜群の肉があらわれます。肉やダシなどのいろいろな旨みがパンパンに詰め込まれているようで、とにかく歯への抵抗力がスゴい。軽く押し当てるとトランポリンのようにポンと弾き返されそうです。そして噛みしめると、ため息が出そうなほどの美味しさです。「ダシもも定食」と「グリーンスムージー」。からあげの味付けにニンニクは不使用 ちなみに取材時には、「グリーンスムージー」(387円)も付けてもらったのですが、フルーティーで飲みやすく、フルーツミックスジュースのような味わいでした。材料はサツマイモ、カボチャ、ニンジン、小松菜、バナナ。野菜の1日の摂取目標のおよそ2分の1をこれ1杯で摂取できるんだとか。からあげをひと口食べたあとに飲めば、口の中がスッキリします。定食と一緒に飲めば、1日の野菜の摂取目標の半分の量を摂れるという「グリーンスムージー」 さて、気になる店名の由来ですが、店主によると「からあげ専門店にするはずが、通勤のために駅に向かう人がたくさん通るのを見て、朝食代わりに飲んでほしいと思ってスムージーの販売も始めました」とのこと。からあげとスムージー、一見すると対極にある2つが違和感なく同居する、不思議で美味しいお店です。●SHOP INFO店名:からあげ屋なのにスムージー住:東京都府中市白糸台5-2-3からあげと卵ご飯が最高すぎる下町の行列店|『一卵亭』(根津) 東京・根津神社のすぐ近くにある『下町たまご食堂 一卵亭』は、卵や鶏肉を駆使してつくる料理で行列ができるお店。当然からあげも絶品です。オススメは名物の「一卵亭 唐揚げ定食」(1160円)。ご飯、味噌汁、鶏のからあげ、生卵、お新香がセットになっています。 お皿に盛られた国産鶏のモモ肉を使用した大ぶりのからあげ4個のボリューム感に圧倒されます。そのからあげ、ひと噛み目でいきなり濃い旨みが舌にダイレクトに飛びついてくることにビックリ!ショウガの風味が強く、実に爽やかです。「一卵亭 唐揚げ定食」。ご飯はひとめぼれを使用。旨いです。からあげ4個では物足りない場合は、単品のからあげもあります。何とも頼もしい限り 衣は見事なまでに薄く、肉との一体感も素晴らしい! 一般的なからあげは、まず衣の食感を楽しんでから肉へ、というステップを踏みますが、こちらは最初に肉の旨みが飛び込んできて、徐々に衣が肉になじんでくる印象。ひと口目から「ウマい!」と声を上げたくなります。 ショウガが香る醤油ダレにしっかり漬け込んであり、肉もフワッと柔らかい。噛み進めると、舌の上に残った旨みが消えてしまわないうちに、次の旨みの波が押し寄せます。もう何個でも食べてしまいたくなる味わいです。 定食に付いてくる生卵は「サンキの濃卵(こいたま)」という『三喜鶏園』(群馬県高崎市)のブランド卵。市販はされていないという逸品で、この卵で作る卵かけご飯(TKG)がまた最高。カウンターに置かれた自家製出汁醤油をかけていただきます ご飯のお米は宮城・山形産の「ひとめぼれ」。浄水で研ぎ、高火力のガス釜で炊き上げており、ほどよい粘りがあり、米の甘みと旨みがしっかり感じられます。そのご飯に卵を流し入れ、カウンター上の自家製出汁醤油をかけて、いざTKG。卵が濃厚でほんのり甘く、出汁醤油がいいアクセントになって、からあげ⇒TKG⇒からあげ…というループが止まりません。もはやどちらが主役かわからないほどの美味しさでした。●SHOP INFO店名:下町たまご食堂 一卵亭住:東京都文京区根津2-37-1TEL:03-5834-8909営:8:00~15:00(14:30LO)、17:00~20:30(20:00LO)  土曜11:00~15:00(14:30LO)、17:00~20:30(20:00LO)休:火曜ご飯ともお酒とも相性バツグンのからあげ弁当!|『岩沢酒店からあげ弁当』(茨城県取手市)「からあげ弁当・並盛」580円。大きめのからあげが3個とごはんは220g! JR取手駅東口から徒歩数分の場所にある『岩沢酒店からあげ弁当』はテイクアウトからあげの専門店。もともとは酒屋として酒類の販売を中心に行っていたそうですが「お酒のおつまみにできるものを」と考え、店内にキッチンを設置してからあげの販売もスタート。そして8年ほど前、現在地にからあげ専門の店舗を新たにオープンしています。 店名の通り、からあげ弁当が中心です(単品のからあげも購入可能)。お弁当はご飯の量で小盛・並盛・大盛・特盛・爆盛があります。取材でいただいたのは「からあげ弁当・並盛」(580円・からあげ3個)、そして「からあげ単品」(3個・360円)。「からあげ単品・3個」。1個(120円)からオーダー可能。振りかけられた刻みパセリが爽やか からあげは1個60~70gほどもありそうな大きめサイズ。漬けダレにひと晩しっかりと漬け込んでおり、ショウガの味がやや強め。揚げた後に刻んだパセリをふりかけているのが特徴。ジンジャーとパセリの香りで、爽やかな風味が口に残ります。 鶏肉はむっちりとした弾力感あふれる歯ざわり。パリッとした食感の衣とのバランスも秀逸で、旨みしっかり肉汁たっぷり。十分な漬け込み時間からもわかるように、やわらかい肉質に仕上がっています。 やや濃いめの味付けなので、ご飯が進みまくります。お弁当でご飯の量が選べる理由がわかる気がしますよね。もちろん、お酒のおつまみにも最高ですよ!●SHOP INFO店名:岩沢酒店からあげ弁当住:茨城県取手市取手2-5-23※本記事の価格はすべて取材当時のものです●著者プロフィール松本壮平ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。 

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岩沢酒店からあげ弁当
place
茨城県取手市取手2丁目5-23
phone
0297748829
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