主食もおかずもスープも餃子! 餃子の街・宇都宮の老舗餃子店『香蘭』で試したい地元流の食べ方とは?


2022.04.18

食楽web

食楽web 栃木県宇都宮市といえば、言わずと知れた餃子の街。そのルーツは、戦時中、宇都宮市内に駐屯していた陸軍第14師団が中国東北部の満州に出兵したことと言われています。彼らが中国で食べた水餃子のレシピを地元に持ち帰たことで、次第に広まったというわけです。「だから、当時は焼き餃子じゃなくて水餃子だったんだよ」と教えてくれたのは、筆者が宇都宮に出張で行ったときに乗ったタクシー運転手さん。ちなみにその運転手さんは、宇都宮生まれの宇都宮育ち。生粋の“宮っ子”です。そこで、目的地までの間、宇都宮の餃子話に花が咲きました。筆者:宇都宮の人はやっぱり餃子をよく食べるんですか?運ちゃん:そうだね。私は店でも家でもしょっちゅう食べるよ筆者:家でも餃子を作るんですか?運ちゃん:いやいや、買ってくることの方が多いね。店のほうが美味しいし安いし、楽だしね。筆者:ちなみにどこの餃子がオススメですか?運ちゃん:餃子は好みもあるから、人それぞれだろうけど、やっぱり昔っからある『香蘭』、『正嗣』あたりがオススメ。最近は新しい店も増えて行列ができてたりするけど、最初は老舗の餃子を食べてみるのがいいよ筆者:ちなみに運転手さんが一番好きなのは?運ちゃん:私は『正嗣』が一番好きだね。あそこの餃子の具が好きでね。店でも食べるけど、ほとんどは冷凍を買ってくる。説明書通りにやるとお店と同じ味になるよ50年の歴史をもつ『正嗣』の駒生店。メニューは「焼き餃子」「水餃子」のみ。ビールもライスもない潔さ というわけでその夜、仕事も済んだので、運転手さんが勧めてくれた『正嗣』に行ってみようと思ったのです。しかし、残念なことにその日は“まん防期間中”で、なんと店内飲食はできず、テイクアウトのみ。冷めた餃子をホテルで食べるのも味気ない気がしたので、運転手さんの話に出てきたもう一つの店に行くことにしました。 それが宇都宮駅徒歩1分の場所にある『香蘭』。昭和34年創業で、 “宇都宮餃子の発祥店”と言われる老舗店。夜でも行列ができていたのですぐにわかりました。『香蘭』は今年で創業63年目 夜7時過ぎ、一人で入店し、カウンター席に座りました。まずはビール、そして「焼餃子」(297円)と「水餃子」(297円)を注文。 その日は平日にも関わらず、続々とお客さんが入ってきます。スーツ姿のおじさんが多く、みなさん仕事帰りの様子。やっぱり、“宮っ子”は餃子が好きなんだなぁと思っていたとき……『香蘭』のお品書き 筆者の隣に座ったスーツ姿の男性が注文するのを聞いていると、「ビール、焼餃子、水餃子、タンタンスープ餃子」。さらに筆者の向かいに座ったお兄さんは、「焼餃子2人前と水餃子、タンタンスープ餃子」。『香蘭』の「タンタンスープ餃子」450円 さらに見回すと、かなり多くの人が焼餃子や水餃子と一緒に、丼に入った「タンタンスープ餃子」を注文しているのです。ひょっとしてこれは『香蘭』の三種の神器なのかもしれません。慌てて筆者も「タンタンスープ餃子」を追加注文してみることにしました。まさかの餃子づくし定食?「焼餃子」1皿6個で297円 最初に登場したのが「焼餃子」。運ばれてくるなり、焼き油の香りがフワッと広がります。まずはそのまま食べてみると、薄皮でカリ&パリッとした食感。歯が中の餡に到達すると、肉汁がじわりとにじみ出します。もう「旨いっ」のひと言に尽きます! 言うなれば、野菜と肉、ニンニク&生姜、肉汁といった餡を構成するすべてのバランスが絶妙。 卓上のラー油やお酢、胡椒で好みの割合で作ったつけダレに浸せば、より旨みが際立ちます。さすが宇都宮餃子の老舗! しかも1個1個がとても軽いので、ついもう1皿! と追加したくなるんです。 さて、焼き餃子を夢中で頬張っているうちに、続いて水餃子が運ばれてきました。「水餃子」1皿6個297円 見た目は実にシンプル。プルンプルンとお湯の中で泳いでいるように見えますが、実はこれ、お湯ではなく中華スープなんです。 水餃子は食べ方指南が壁に貼ってあります。まずはそのままいただき、続いて、卓上の酢や醤油、ラー油で味付けして食べるのがオススメそうです。壁に貼ってある水餃子のおすすめの食べ方 水餃子は、焼餃子とは違って皮は厚め。ツルン、プルンとした口当たりで、噛むとモッチモチ。中華スープはあえてかなり薄味にしてあるので、餃子自体の美味しさがよくわかります。キャベツや玉ねぎといった野菜の甘みが、ひと噛みごとにじんわり伝わってくるのです。自家製ラー油。見た目は普通だけど、これがあるかないかじゃ大違い。それほど深い味わい そして醤油、お酢、ラー油が加わると、さらに美味しさは加速。さながらご飯に食べるラー油をかけたような感じ。特に自家製ラー油が超優秀です。香ばしくて、辛み・旨み・甘みが三位一体となった深~い味わい。これも2杯3杯とおかわりできそう。 そして、気になって最後に追加した「タンタンスープ餃子」(450円)が登場しました。「タンタンスープ餃子」(450円)「タンタンスープ餃子」は、その名の通り、担々スープの中に水餃子が浮かんでいて、もやしとネギがトッピングされたボリューミーな1品。食べてみると、スープは香ばしい白胡麻のペースト「芝麻醤」と中華スープの味で、辛味はほとんどありません。これが、なんと言いますか、まるで味噌汁のようにホッとする味わいなのです。 というわけで、焼餃子と水餃子をおかわりし、このタンタンスープ餃子を飲んでいて、ふと気づいたことがあります。それは、「これ、ある意味、宇都宮流の餃子定食なんじゃないか?」ということ。つまり水餃子はご飯、焼餃子がおかず、そしてタンタンスープ餃子は味噌汁、というイメージです。焼餃子にラー油&酢&胡椒&醤油が美味しい! ちなみに餃子の本場・中国では、餃子(水餃子)は主食なので、ご飯と一緒に食べず、ひたすら水餃子を味わうと言いますが、『香蘭』でも同様に、餃子とご飯を一緒に食べている人はほとんど見かけませんでした。むしろ同じ餃子でも、焼餃子、水餃子、スープ餃子といった種類ごとの差異を楽しんでいるようです。 ともあれ、『香蘭』の餃子は皮も餡も美味しくて、軽やかで最高でした。次回また宇都宮に行くときは、タクシーの運転手さんおすすめの『正嗣』にトライしてみたいと思います。(撮影・文◎土原亜子)●SHOP INFO[食楽web]店名:香蘭 宇都宮駅西口店住:栃木県宇都宮市駅前通り1-5-9TEL:028-612-4730営:11:00~21:00休:火曜 

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香蘭 宇都宮駅西口店
place
栃木県宇都宮市駅前通り1-5-9
phone
0286124730
opening-hour
11:00-21:00
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