これぞ究極の健康食!? 平塚のご当地麺『老郷本店』の酢っぱい「湯麺」を食べてきた


2020.10.08

食楽web

食楽web「タンメン」と聞いてイメージするのは、キャベツやモヤシなどの炒め野菜がのった塩味のラーメンですよね。ところが平塚でタンメンといえば「湯麺」を指し、一般的なタンメンとはまったく異なる麺料理なのをご存じでしょうか。 筆者が初めて味わったのはかれこれ10年近く前になりますが、定期的に無性に食べたくなる一杯なんです。その美味しさの秘密を探るべく、平塚駅北口近くの有名店『老郷(ラオシャン)本店』を訪ねました。丸見えの厨房から供されるこだわり満載、体にやさしい究極の一杯!メニューは「タンメン(湯麺)」と「ギョウザ」だけ! 「みそ麺」は現在提供なし 岩間和弘さんが3代目を務める『老郷本店』の創業は昭和32年。祖父が出兵した満州国で酢の食文化に出合い、帰国後、アメリカから大量にもたらされた小麦粉と酢で何か作れないかと試行錯誤の末に考案したのが、この「湯麺」です。 メニューは「湯麺」と「ギョウザ」の2品しかありません。ずっと変わらず64年、すごいですよね。ちなみに「湯麺」はスープに入った麺料理全般を指し、『老郷本店』の酢を使用した湯麺は「酢湯麺」、先の「タンメン」は「野菜湯麺」というのが本来の呼び名なのだそう。一般的な麺の賞味期限が2週間なのに対し、『老郷本店』の無添加麺はわずか3日 使用する麺は、小麦粉と塩だけで作られた創業時から変わらない中華麺。防腐剤や着色料などの添加物を一切使用しないオーガニック。無添加にこだわるのは「ここに来て、お金を払って食べてくれるお客さんのために、できるだけ体にいいものを」という、初代から受け継がれてきた思いにあるのだとか。「添加物を使えばコストを下げられ仕事も楽になりますが、一つでも使ったら、そこからほころびが生じます。どんなに手間がかかろうとも無添加を守り続けます」(岩間さん)。大鍋で麺を泳がせる岩間さん。「見せる厨房」になっており、作る過程を客席から見ることができる ラーメン店でよく見る一人前用の深めのザルによる湯切り。ここではその光景は見られません。注文が入ると麺をやさしくほぐしながら、そっと大鍋の中へ。対流する湯の中で麺を泳がせ茹でていきます。「大鍋で泳がせながら茹でると麺に均一に火が入り、麺のヌメリもとれるので、麺同士がくっついてしまうこともありません」(岩間さん) 麺を茹でている間にどんぶりを温め、ワカメを湯通しし、茹であがりのタイミングを見計らってスープを準備。麺が茹で上がったら、きっちり一人前を素早く湯切りしてどんぶりに。一度だけ麺を引き上げて形を整え、具材を手際よく盛りつけたらできあがりです。豚骨ベースとは思えぬ透明スープ。超さっぱりでコク深い!秘伝のタレにラード、米酢、隠し味に白ワインを加え、透明な豚骨スープで割る いざ、実食です。ご覧ください、この澄み切った透明なスープ。これ豚骨からとっているなんて信じられますか? 豚骨スープといえば白濁していてこってり、独特のにおいがあるイメージですが、それは火力全開でガンガン煮ることで骨の髄などが溶け出しているから。スープに使われた大量の豚骨。スープを取るのは昼の部・夜の部で1日2回 こちらのお店では手間はかかっても、フレンチや割烹料亭と同じ手法でスープを取っているのだそう。「徹底した火加減とていねいなアク取りを行うことで、透明でクセのないスープに仕上げています。いかに透明なスープに仕上げるか、それも腕の見せどころです」(岩間さん)。なるほど、えぐみや雑味のない、実に上品な味わいがするのはこのためなんですね。 トッピングには、シャキシャキした食感と甘みを感じるタマネギのみじん切り、緑色に輝くたっぷりのワカメとメンマがのっていて、硬すぎず、柔らかすぎないワカメは三陸産。肉厚で適度な歯ごたえがあり、このスープによく合うんです。ヘルシーでペロリと食べられるので飲んだ後の〆にもぴったり 麺は白く美しくなめらかで、つるつるシコシコ。のどごしもよく、酸味とコクがバランスよくまとまったスープに絶妙にマッチ。 半分ほど食べ進んだら、自家製ラー油による味変を楽しみましょう。こちらのラー油に使われているのは、香りの唐辛子と辛みの唐辛子の2種類。「湯麺」もこのラー油に合わせて作っているそうで、「湯麺がなければこのラー油はなく、ラー油がなければこの湯麺もありません」と岩間さんが言い切るほど、不可欠なものでした。自家製ラー油を加え赤い花が咲いたような「湯麺」。ピリッと味が引き締まる あっという間に完食です。スープも最後の一滴まで飲み干せる美味しさ。食べ終わると、心も体もじんわり温まるのは、60年以上変わらない味と真摯な姿勢が一杯から伝わるからかもしれません。持ち帰り1箱2人前1100円 ちなみに、麺、スープ、タマネギ、メンマ、ワカメ、ラード、ラー油など、必要な材料がすべてそろった持ち帰りセット(2人前から)もあります。箱の裏面には詳しい調理の仕方も記載され、自宅でお店と同じ「湯麺」が味わえるのはうれしいですね。・・・・・・・ 戦後の平塚で独自に花開いた『老郷本店』の「湯麺」。食物繊維が豊富なワカメ、体の酸のバランスを中和する酢、血液サラサラ効果が期待できるタマネギが使われた「湯麺」は、健康が気になる人も安心して食べられる、究極の健康食といえるかもしれません。ぜひ平塚に食べに行ってみてください。(撮影・文◎池田実香)●SHOP INFO店名:老郷本店住:神奈川県平塚市紅谷町17-23TEL:0463-21-3658営:11:30~22:00休:月曜 

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老郷 (本店)
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4.0

51件の口コミ
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神奈川県平塚市紅谷町17-23
phone
0463213658
opening-hour
火-土 11:00-23:00日・祝日 11…
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