東京・銀座の「しっぽく料理」専門店で至極の長崎郷土料理を堪能してきた


2019.08.02

食楽web

食楽web大浦天主堂をイメージした店内で卓袱料理を 卓袱(しっぽく)料理といえば、長崎の郷土料理のひとつ。江戸時代初期、中国から伝わった精進料理の一種・普茶料理の配膳形式に、長崎の人々が作り出した和(日本)・華(中国)・蘭(オランダなどの西洋)をミックスした「和華蘭(わからん)料理」が進化したものと言われています。 卓袱とは朱塗りの円卓のこと。“卓”はテーブル、“袱”はテーブルクロスのことなんだとか。上座下座関係なく、円卓を囲んで食事をするスタイルは当時の日本人には新鮮だったのかもしれません。『長崎しっぽく浜勝 銀座本店』。店内は長崎の観光名所で国宝の教会・大浦天主堂がモチーフ そんな卓袱料理ですが、これまで地元の長崎以外ではなかなか口にする機会がありませんでした。が、なんと卓袱料理専門店が、昨年11月に東京・銀座にオープンしたというではありませんか。手がけたのは“長崎ちゃんぽん”でおなじみのリンガーハットグループ。店名は『長崎しっぽく浜勝 銀座本店』です。東京ではまだまだなじみのない卓袱料理を味わえると聞き、期待に胸をふくらませて行ってきました。「御鰭をどうぞ」が卓袱料理のスタートの合図卓袱コース・つばき(一人1万3800円 ※以下、すべて税別) いただいたのは卓袱コース「つばき」。小菜(白花豆蜜煮、対馬産西穴子の棒寿司、白鱚の昆布〆梅肉のせなど)や旬の魚の刺身(やいとがつお、車海老など)、酢の物(フカ湯引き、鯨本皮など)、煮物(中華風吉野鶏スープ)…と、長崎の食材を中心とした豪華な料理が次々と出てきます。御鰭(おひれ)。卓袱料理はこのお椀物からスタートします 卓袱料理は主人役の「御鰭(おひれ)をどうぞ」のひと声で始まります。この言葉は、野球で言えば「プレイボール!」のような感じでしょうか。 御鰭とは白身魚の切り身を入れた吸い物。かつては胸鰭を1尾分せいたくに使い「お客さま一人に鯛1尾を使っていた」というおもてなしの意味を込めていたそうです。まずはその御鰭から。対馬椎茸や玉半片などが入ったもので、雑煮のようなすっきりとした吸い物です。長崎ハトシ。プリプリのエビとカリカリのパンとの相性が抜群 ここから小菜、刺身、酢の物と続きますが、注目は揚げ物「長崎ハトシ」。エビのすり身を食パンで挟んで揚げたもので、ホットサンドのような食感です。エビの甘みがしっかり感じられ、カリカリのトーストとの相性が絶妙。おやつとしてもいけそうです。長崎和牛サーロインの対馬石焼 焼き物は、海鮮物と長崎和牛サーロインの「対馬石焼」。対馬石焼とは、熱した対馬の石の上で魚介や野菜を焼いて食べる漁師料理のひとつです。肉は舌に触れただけでとろけてしまいそうなほどやわらかく、うま味がたっぷり。薬味を付けるのも忘れて夢中で食べてしまいました。伊勢海老よりも美味しいうちわ海老 また、漁獲量が少なく希少なうちわ海老の石焼きも登場。これはヘタな伊勢海老よりも美味しい! 殻の隅々まで身が詰まっていて食べ応えありです。雲仙豚角煮。箸で触れただけでホロホロと崩れます「雲仙豚角煮」は、豚の三枚肉を地酒や特製出汁でじっくり煮込んだもの。卓袱料理といえば、これを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。箸を入れただけで崩れていきます。トロリとした食感で、脂身部分の甘みが絶妙です。梅椀。甘さ際立つお汁粉です ごはんは壱岐の天日干しこしひかりの土鍋炊き、デザートの「梅椀」は白玉と塩漬けにした桜の花びら入りのお汁粉。この梅椀、上品な甘さが特徴で、甘いもの好きにはたまらない味です。 ご紹介した「卓袱コース つばき」以外にも、「卓袱コース つつじ」(一人9800円)や、お昼限定の「卓袱コース あじさい」(一人7800円)もあるほか、アラカルトもかなり充実しています。本格的な卓袱料理を味わってみたい人には本当にオススメできるお店です。(取材・文◎松本壮平)●SHOP INFO店名:長崎しっぽく浜勝 銀座本店住:東京都中央区銀座7-8-7 銀座グリーン11FTEL:03-6274-6104営:月~土11:00~22:30(L.O.21:00)  日・祝日11:00~21:00(L.O.20:00)休:無休https://www.sippoku.jp/ginza/ 

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