高島屋の包装紙はなぜバラ柄?理由と誕生秘話を聞いた


2019.05.16

OZmall

◆高島屋の包装紙はなぜバラ柄?理由と誕生秘話を聞いた
“バラの花と言えば高島屋”をイメージする人も多いはず。なぜならバラは「高島屋」のシンボルフラワーであり、バラの包装紙やショッパーは60年以上にわたり世代を超えて愛されているから。そもそもなぜバラをモチーフにすることになったの? 包装紙のデザインは変化している? などナゾもたくさん。そこで、高島屋の方にバラとの関わりや変遷について聞いてきました。
バラの包装紙やローズちゃんについて教えてくれた、高島屋 CSR推進担当部長・高橋宗久さん
高島屋のシンボルフラワーがバラになったきっかけは?
1831年に京都で創業し、180年以上の歴史を誇る「高島屋」からバラの包装紙が誕生したのは1952年のこと。当時社長に就任した飯田慶三社長が「美の象徴として愛されるバラの花を、高島屋の花としたい」と決めたことでシンボルフラワーに。「当時飯田社長は洋画家としても知られ、花の中でもバラを好んで描いていたようです。“四季を問わず多くの人々から慕われるバラのように、お客様に愛される百貨店でありたい”という願いが込められています」と語るのは、高島屋 CSR推進担当の高橋宗久さん。
それまでの包装紙は藤紫とグレーの無地に、“宝づくし”の文様を型押しして浮き上がらせたデザインだったそう。バラがシンボルフラワーとなってからは、包装紙やカレンダー、年賀状の柄、さらには高島屋提供のラジオ番組もバックミュージックが『ラビアンローズ』になるなどバラ尽くしに。「1952年の初代から現在の4代目までバラの品種やデザインは変化しながら、高島屋=バラとして、今では多くの方に親しんでいただけるようになりました」と高橋さん。
左/初代は1色カラーで1本のバラが描かれたものだった(1952年登場)、右/4色カラーで刷られるようになった2代目(1957年登場)
初代の1色カラーから2代目はカラフルなローズに
1952年に誕生した初代包装紙は、飯田社長の発案のもと、専属デザイナーと社内スタッフにより作られた。黒、紫、えんじの1色カラーで、1本のバラが象徴的に描かれたもので、現在の4代目と比較するとおとなしいイメージ。ちなみに同年は、東京店の新館増築時に、岡本太郎による壁画が公開され話題になった。
その5年後、1957年に2代目の包装紙が登場。「赤い花と緑の葉が規則正しく並んだデザインで、4色カラーに生まれ変わりました。この包装紙は、ロンドンの名門・セルフリッジ百貨店でも使用されたそうです。3代目に変わるまで23年間にわたって親しまれました」(同)。この頃、バラの包装紙が価値あるものというステイタスが確立していたため、高島屋のデザインを模倣した商品も出回っていたそう。
左/3代目からリース状の輪バラのデザインに(1980年登場)、右/現在も使用されている4代目(2007年登場)
3代目から現在へとつながる輪バラデザインのローズに一新
1980年には高島屋創業150年を記念して、洋画家・高岡徳太郎氏に3代目のデザインを依頼。当時の日本のバラで人気だったモダンローズをモチーフにしたリース状の輪バラのデザインに。店舗の規模に応じて大小描き分けられたバラは、当初、店舗が増えるごとに描き足される案もあったが、追加は一度だけに留まった。輪は、高島屋グループとしての団結も表現している。
2007年の新宿店のリニューアルオープンを機に登場した4代目は、現在も使われているピンクのイングリッシュローズやオールドローズをモチーフにした輪バラの包装紙。創業150年の際に、ドイツの名窯・マイセン社(国立マイセン磁器製作所)からお祝いとしていただいた飾り皿をもとにデザインしたもの。「一貫してバラという花を使いながら、その時々で変化している包装紙は、『“変わらない”のに新しい。』という私たちのメッセージを具現化したものです」(同)。
日本橋高島屋内には、ローズを手にした可愛らしいローズちゃんがあちこちに
みんなのマスコット、ローズちゃんの正体は?
バラの包装紙と同じく長きにわたり愛されているのが、マスコットキャラクターの「ローズちゃん」。こちらも歴史は古く、1959年秋、クリスマスの装飾用としてマスコット人形「ハッピーちゃん」が登場したのがはじまり。その翌年3月、浩宮徳仁親王の誕生日をお祝いし「ラッキーちゃん」が作られ、1962年からはシンボルフラワーにちなみ「ローズちゃん」へ。「1964年の東京オリンピックの際はハンマー投げなどをするローズちゃんや、1966年にはフランスを代表するデザイナー、ピエール・カルダンの新作を着こなすローズちゃんなど、テーマに合わせていろいろな姿に変身してきました」(同)。
現在でも各店内のあちこちでも出会えるローズちゃん。薄いバラ色の頬、ふっくらとした体形、ウインクしたり、ぱっちり見開いたりと愛らしいルックスが魅力的。「子供たちにも親しんでもらえる百貨店を目指し登場したマスコットです。クリスマスにはサンタに扮したり、記念日に合わせて店舗の制服を着たりと様変わりする姿も楽しめますよ」と高橋さん。ちなみに性別はなく、年齢不詳で国籍不明、身長は平均60cmなのだとか。
左上/食料品売り場などで使われるショッパーに描かれた線バラ、左下/高級感が際立つミリオンローズ柄のギフト包装紙も用意、右/日本橋高島屋S.C.本館の1階受付には「本日のバラ」が1輪飾られている
まだまだある!館内で出会えるバラ
高島屋には上記以外のバラ柄包装紙も存在。ひとつは、食料品売り場などで使われている白地に赤いモダンローズが描かれた「線バラ」。1960年代に登場したもので、時代を感じさせないデザインが魅力。ほかにも、「ギフト用に特別な包装紙で包んでほしい」というリクエストで登場したのが、ミリオンローズの包装紙。「トップフローリストで『マドラー・レイク』の南畝隆顕(のうねんたかあき)氏が手掛けたアレンジメントを起用した赤が印象的な包装紙や、クリスマスなどシーズン限定のものも登場します」(同)。
1933年の日本橋店新築オープンの際は、当時の百貨店ではめずらしく洋装の制服を導入し、女性の間で話題にもなった高島屋。2015年にリニューアルしたスタッフの制服には、ミリオンローズが描かれているのも注目したいところ。また、日本橋高島屋S.C.本館の受付では、店内のフラワーショップ「ローズギャラリー」から届く、「本日のバラ」が迎えてくれる。こちらは2日に1回のペースで入れかわるそう。見かけたらスタッフさんに、本日のバラの名前と花言葉を尋ねてみては?
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日本橋高島屋S.C.(日本橋高島屋/日本橋タカシマヤ)
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[本館・タカシマヤ ウオッチメ…
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