パカッパカッパカッパカッ・・・リズミカルなひづめの音を聞くたびに、由布院を思い出す。田園風景かきわけて、目の前に迫りくるは「由布岳」。情緒あふれる馬車旅には、賑やかな観光地とは又違った良さがある。さぁ、時間をさかのぼる準備は良いですか?
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01
出発前のお楽しみ。
― 15:00 由布院駅にて。
観光辻馬車の切符片手に一人待つ。
(ちょっと早く着いちゃった・・・。)
乗車時間まではあと30分もある。雲が多く出てきた午後、雨が降らぬことだけを願いながら時間のつぶし方を考えていた。駅の待合所にはアートが展示されている。壁に飾られた絵画、その隣の窓からは赤い列車が顔をのぞかせている。この異色のコラボレーションもこの駅ならではの空間アート。ぼんやり眺めていると、入口の扉が開いた。
「あ~、気持ち良かった~。」
高らかな笑い声と共に登場した3人のご婦人たち、どうやら”足湯”に入ってきたらしい。ここ由布院駅には、全国でも珍しくホームに足湯があるのだ。
(辻馬車観光から戻ったら、私も浸かってみよう・・・)
気が付けば出発時刻10分前、慌てて待合所を後にした。 -
02
走り出す辻馬車。車と人と共存する、優しさ溢れる由布の町。
本日辻馬車で巡るルートは以下の通り。
●由布院駅
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●佛山寺(ぶっさんじ)
↓
●宇奈岐日女神社(うなぐひめじんじゃ)
↓
●由布院駅およそ50分の由布院めぐり。
― 15:30 出発。
私を含め乗客9名を乗せ、ポックリポックリゆっくり進み始める辻馬車。反対車線にはトラックが何事もないように走っている。しかしよく考えてみれば、一般道を馬車に乗りながら車と並走するなんてなかなかない体験。その珍しい光景をカメラに収めようとシャッターを切る観光客、暖かいまなざしで手を振る地元の人々・・・。何だか自分が歓迎されているような感覚に、胸がくすぐったくなりつつも手を振り返す。
聞けば地元のドライバーは、馬が驚かないようにクラクションを鳴らさないのだと言う。
(こうして辻馬車観光を楽しめるのも、由布びと達の優しさが溢れているからなんだなぁ)駅前のメインストリートからやや狭い裏道に入ると、
「パカッパカッパカッパカッ・・・」
加速していく辻馬車。風を感じながら流れゆく田園風景を見つめていると、懐かしい気持ちが蘇ってくる。
(小さい頃学校の帰り道、これとよく似たあぜ道を通って帰ったっけ)都会では見ることのできないのどかな景色
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03
【1st Stop】佛山寺(ぶっさんじ)
臨済宗の古刹(こさつ)である佛山寺。かやぶき屋根の門の横には、目も覚める程鮮やかな紅葉。
杉と竹林に囲まれた境内には座禅堂があり、予約をすれば座禅や写経が体験できるそう。心を無にして、自分と向き合う時間を作るのも良いカモ。
*座禅・写経体験は週末のみ。
【公式Web】 http://www.d-b.ne.jp/bussanji/index.html
【Tel】 0977-84-2714 -
04
【2nd Stop】宇奈岐日女神社(うなぐひめじんじゃ)
その昔、女神「宇奈岐日女」は湯布院を盆地に変えたという。神社の名はその女神に由来すると言われている。この地に伝わる古(いにしえ)の伝説に想いを馳せながら、神門をくぐってみる。両側には苔の生えた参道、このわびさび感がたまらなく美しい。
右手には立派な三本の切株が。平成3年の台風により倒木した御神木だそう。
ひんやりとした空気の中、静まり返る境内。神様に見守られているような不思議な気持ちになる。
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05
足湯に浸かりながら、思い返す辻馬車の旅。
―16:00 再び由布院駅。
ホームの列車を眺めながら足湯に浸かり、冷えた体を温める。今しがた終えた辻馬車の旅を反すう。わずか50分間の小トリップ、しかし何とも言えない充実感に満たされている。町の喧騒を離れ、自然や歴史と交わる”非日常”体験。ひずめの音を聞くたびに、私はこの辻馬車旅を思い出すだろう。
【運行期間】3月2~1月上旬まで
*雨天等の天候不良、馬の体調不良の場合は運休。
【運行時間】
3月~11月: 9:00~16:00 (30分毎に一日15便)
12月~1月上旬:9:30~15:00(30分毎に一日12便)
【料金】
大人(中学生以上) 1600yen/人
子供(4歳以上) 1100yen/人
【予約方法・チケット発売所】
予約は乗車当日のみ。
受付開始は朝8:50(3月~11月)、朝9:00(12月~1月上旬)
チケット購入は、JR由布院駅構内「由布院温泉観光案内所」にて。
【問合せ】
由布院温泉観光案内所(JR由布院駅構内)
Tel: 0977-84-2446