奈良の人気秘境「明日香村」大人の楽しみ方~虎の巻~人里離れた「奥飛鳥」で癒しのリフレッシュ旅


2021.12.12

マイナビニュース


飛鳥時代のスーパースター、聖徳太子。その“ふるさと”といえば、奈良県のほぼ真ん中に位置する「明日香村」です。村内は歴史的に見ても、ビッグネームなスポットが多く、“村まるごと遺跡”といっても過言ではないほど、見どころが多い場所。ひとたび古墳や遺跡の見学会を行えば、村の人口よりも多い、1万人クラスの歴史ファンが全国から大集結することも……!
また近年は、おしゃれなカフェも急増中。歴史ファンならずとも、ゆるい時間を過ごせる「チル旅」の旅先としても注目です。
今回は、そんな「明日香村」にフォーカス。全6回に分けて、さまざまな視点から楽しみ方をご紹介します。第3回目のテーマは、美しい日本の原風景が数多く残る場所として、今、密かに人気の「奥飛鳥エリア」。のどかな里山でリフレッシュしたい人にぴったりです!
【過去回はこちら】
第一回 初めての明日香村観光 おすすめモデルコース編
第二回 ディープに楽しむ日帰りモデルコース
【9:00】まるで食材の玉手箱!朝一番の「あすか夢販売所」
いざ、「奥飛鳥」へのドライブ旅がスタート!
まず最初に立ち寄ったのは、近鉄「飛鳥駅」隣りの直売所「あすか夢販売所」です。ここは農家直送だから、超新鮮でお値打ち。さらに明日香村の魅力を「食」を通じて知ることができます。
たとえば、江戸時代からミカン栽培が盛んな明日香村は、ミカンもひと味違う!
明日香村では、年明けから出荷される「晩生(おくて)ミカン」を木造の蔵で熟成させる風習があり、蔵の棚にパンパンにミカンが詰まっている様子は、今で言うまさに“映え”。棚の上にどさっと置かれたミカンを眺めて、「この子は蔵出しミカンかな?」と想像するワクワク感もあります。
朝一番は食材の宝庫。せっかくなら、人気のスイーツも楽しみたいですよね。
イチオシは、「あすか小町」が作る「あすか 黒豆きなこプリン」。
明日香村産の黒豆きな粉を使用していて、口に含むと、きな粉のこうばしい香りがふわっと広がります。とろんとなめらかな食感で、のど越し良く食べられますよ。
<金曜に訪れるなら、注目度が高い憩いのマルシェへ>
金曜日なら、「あすか夢の楽市駐車場」で開催される「明日香ビオマルシェ」に立ち寄ってみるのもいいでしょう。
「ビオ」とは、フランス農務省が認可する有機栽培由来の商品。日本でいう、オーガニック製品です。ヘルシーでおいしい、さらにオシャレ!そんなビオな農産物&フード、ドリンクを販売しているのが「明日香ビオマルシェ」です。
のぞいてみると、明日香村生まれの平飼いたまごのお店も!ビオの加工品も色々そろっているので、お土産スポットとして出かけてみるのもおすすめです。
<奥飛鳥ってどんなとこ?>
「飛鳥駅」から車を走らせ、県道15号を南へ。メジャーな古墳「石舞台古墳」を超え、さらに奥へ進むと、美しい棚田で知られる「稲渕(いなぶち)」集落に入ります。
「奥飛鳥」とは、飛鳥川の源流域に広がる4つの集落「稲渕」「栢森(かやのもり)」「入谷(にゅうだに)」「畑(はた)」の総称。そのうち3つの集落は、その美しい農村風景が、国の重要文化的景観にも選定されました。
そして飛鳥川も、「奥飛鳥」の見どころのひとつ。この川は、川底がくっきり見えるほど透明度が高くて、水がきれい!川の流れを眺めているだけで、身も心もリフレッシュします。
【10:30】ミステリアスすぎる!ワンダーな大人の神事
「稲渕(いなぶち)」といえば、美しい棚田の他に、知る人ぞ知るワンダーな神事でも知られています。それが、子孫繁栄と五穀豊穣を祈る、明日香村ならではの「綱掛神事」。
明日香村には2つの「綱掛神事」がありますが、そのうちのひとつが「稲渕」の神事。こちらは“神式”で行い「男綱」を飛鳥川にかけます。この「男綱」を見てびっくり仰天!そこにダラン……と掛けられていたのは、男性のシンボルを模したものだったのです。
そして、もうひとつの「栢森」の神事は、“仏式”で行うことが特徴で「女綱」を飛鳥川にかけます。お察しかと思いますが、こちらは女性のシンボルを模したもの!驚きながらも、アダルトな光景にドキドキが止まりません。
しかしなぜ、このような神事が行われているのか、気になりますよね。「男綱・女綱」には、子孫繁栄と五穀豊穣を祈るとともに、疫病の侵入を防ぐ「結界」の役目があるのだとか。分かりやすくいうと、「集落の中に、悪いものが入ってこんといて~!!」という願いが込められているのです。

【11:00】日本一長い名前の神社へご参拝
さらに「女綱」の前にあるのが、日本一長い名前の神社。
「飛鳥川上坐宇須多伎比売命神社」と書いて、「あすかかわかみにいますうすたきひめのみことじんじゃ」と読みます。一度聞いたら、ついつい言いたくなるインパクト大のネーミングですよね。
石柱がある所から社殿までは、約200段の石段が続く参道が延びます。急勾配なので、無理は厳禁。体力を温存しながら、ゆっくり階段を登りましょう。
神社の創建ははっきりと分かっていませんが、この場所で皇極天皇(こうぎょくてんのう)の雨乞いが行われた説があり、雨乞いをする踊り「南無天踊り(なもで踊り)」は、今でもときどき披露されています。
「飛鳥川上坐宇須多伎比売命神社」は、村人の間で密かに人気のパワースポット。ひっそりとした境内には、スピリチュアルなムードが漂い、参拝すると強力なパワーをいただけます。ここぞ!というときにぜひ訪れてみてください。
【12:00】「奥明日香さらら」でほっこり優しいランチ
レアな神社でパワーチャージをしたら、お楽しみのランチタイム。「栢森」集落には、ストレス社会に疲れた人におすすめしたい、ステキなお店があるんです!
それがこちら。「奥明日香さらら」は、女性オーナーの坂本さんが切り盛りする農家レストラン。2008年に坂本さんが集落の古民家を購入し、村おこしの一環でオープンさせました。
店内は床の間と縁側がある、昔なつかしい雰囲気。お家の玄関のように靴を脱いで上るので、思わず「おじゃましまーす」と言いたくなります。
荷物を置いたら、畳の上に足を伸ばして、ゆったりと。ほっとする空間でのんびりくつろげるのも、このお店の魅力です。
看板メニューは、明日香村の恵みをふんだんに取り入れた、ヘルシーなお膳「さらら膳」。自家農園で採れたお野菜をふんだんに散りばめ、お味噌汁もお味噌から手作り。なんと蒟蒻は、こんにゃく芋から栽培して、作っているのだとか!
これぞ、地産地消にこだわる「本物」の味。手間をかけ、時間をかけ、工夫を凝らした手作りのお料理には、感動と幸福感がいっぱいです。
【13:00】「奥明日香さらら」で大根もち作り体験
お腹がいっぱいになったら、このまま「奥明日香さらら」で料理体験!
坂本さんの手ほどきを受けながら、一緒に「大根もち」を作ります。
まずは大根をジャカジャカすりおろし、軽く水気を絞って、片栗粉を入れて練り練り……。あとは熱したフライパンに入れて焼いていきます。仕上げに甘辛醤油ダレをかけたら、はい完成。
作り方はいたって簡単だけど、坂本さんがしっかり教えてくれるのが楽しくて!あっという間に時間が過ぎていきます。
【15:00】ディープな絶景スポット「大仁保神社と天空展望台」
続いて向かったのは、「奥飛鳥」の中でも標高が高い場所にある「入谷」集落。途中で車を停めて、村人の営みを感じながら、てくてく歩いて「大仁保神社(おおにほじんじゃ)」を目指します。
神社といえば、何の障害もなく行けるもの。けれども、ここは獣害避けの柵を自分で開けて入る、ちょっぴりユニークな神社です。柵を開けたら、目の前にどーんと現れる大きな鳥居をくぐって、さらに階段を上がっていきます。
ここはあくまでも神社の境内。でも、実は、その先に知る人ぞ知る絶景展望台があるんです。
それが、こちら!境内西側にある天空の展望台です。
「大仁保神社」は標高450mに位置しており、右に二上山、真ん中に葛城山、左に金剛山。そして晴れていれば、明日香村を一望できるだけでなく、あべのハルカスも見えるんです!!
何しろここは、人が少ない超穴場。眼下に広がる大パノラマを楽しみながら、ゆったりとした時間が過ごせます。
【18:00】思わず見とれる!究極の地産地消のイタリアン「Da terra(ダテッラ)」
「奥飛鳥」でたっぷりリフレッシュしたら、次はお腹を満たす番!
夕食をいただきに、明日香村の国の史跡「川原寺跡」そばにある「ダテッラ」へやってきました。
こちらは、2020年3月にオープンしたばかりの古民家イタリアンレストラン。オーナーシェフの中井さんが自ら種を薪き、そこで育てた旬の野菜中心のコース料理をいただけます。
「ダテッラ」は味も空間もすべてがスゴイ!家紋入りの暖簾をくぐると、時代を感じさせる調度品がセンス良く飾られ、食べる前からテンションが上がります。
こちらのお店、なんとテーブルの引き出しを開けると、その日のメニューとカトラリーが置かれているんです!
同じ種類のカトラリーでも、少しずつサイズが違っていて、外側から順に使っていくと、最後にはすべてが無くなる仕掛け。
ただおしゃれで美味しいだけでなく、食べ進めるごとに“ワクワク感”が高まります。
「ダ テッラ」とは、イタリア語で「大地から」の意味。その言葉通り、自家菜園で年間100種類以上の野菜や麦、お米を手塩にかけて育て上げ、お料理に散りばめています。
パスタやパンも、小麦から手作り。自分で作って、自分で料理して、まさに究極の地産地消です。
どれも素材の良さが感じられるものばかりですが、特に印象的だったのが、アーリオ・オーリオのパスタ。小麦の全粒粉を練り込んだ自家製パスタに、ホタテの貝柱・昆布出汁・イタリアの魚醤「ガルム」で戻した「切り干し大根」を混ぜ合わせているのがポイント。明日香村の“大地の実り”がつまった、感動の味わいです……!
<心と体を整える奥飛鳥の旅へ>
大自然の中で自分を開放して、疲れた心と体のバランスを整えて。「奥飛鳥」は「明日からまた頑張ろう」そんなちょっぴり前向きな気持になれる、ステキな場所です。 

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