青森を祭りと食とで旅をする 第2回 八戸三社大祭の見所は山車のみならず! 巨大な山車は食べてもよし!?


2018.05.08

マイナビニュース

前回、毎年7月31日~8月4日に八戸市中心街で開催される、「八戸三社大祭」にかける想いをうかがい、実際にその山車を見させていただいた。そして月日は流れ、2017年7月31日。筆者は再びこの地、青森・八戸を訪れた。八戸三社大祭の前日には27台の山車が大集結するというので、それを見ながら八戸三社大祭の本番を迎えようというわけだ。
と言いつつ、一足先に腹ごしらえ。八戸に住む食に詳しい友人のオススメラーメンがあるというお店まで車に乗せてもらった。
○オーシャンビューで具だくさんな磯ラーメンを
お店の名は海席料理処「小舟渡」。その名からイメージするように、オーシャンビューな立地だ。というか、海に張り出した崖に建てられていた。駐車場からは2階に入り、崖から下ると1階に下りていく構造になっている。
残念ながら、2011年の地震により1階は水に浸かり、現在は2階のみで営業している。当時の写真を見せていただいたが、1階ぐらいで済んで奇跡と思うような水量に、今見ている穏やかな景色が信じられない気分になった。
夏は食事に来た子どもたちが磯遊びをする様子を微笑ましく見ながら、八戸市鮫浦の海の幸をいただく。なんてぜいたくなロケーションなんだろう……。東京で疲れ切った心に沁みる。ありがたくいただこう。
一押しの「磯ラーメン」(1,000円)をオーダー。スープは山海の出汁がにじみ出ている磯スメルに、タウリンを感じ思わず一気に啜(すす)る。具には夏に旬を迎える雲丹、ムール貝、ホタテ、鮭が惜しげもなく載っている。たくさんに見せようという気持ちが全くなく、底にも沈んでいてこの量だ。こんなビジュアル、うまいに決まっているじゃないか!
柔らかめの生麺には出汁がよく染み込み、海藻から出る磯の香りと魚介が身体に優しい味。見回すとラーメン屋に多い男性若者というイメージのお客さんはおらず、家族連れや老夫婦、女性客が多いのもうなずける。
雲丹はラーメンに入っていたので、山海おにぎりは「イクラ」(280円)をオーダー。激安である。農産物生産量をいろいろなジャンルで第1位を獲得している青森県の食材が、これでもかと押し寄せてくる。普段は躊躇(ためら)われる禁断の炭水化物×炭水化物だが、「旅先だから、プライオリティ上位はおもひで作り」を理由に罪悪感なくいただける。おなかもいっぱい。心も満たされ、いざ戦場(祭り)へ。
●information
海席料理処「小舟渡」
住所: 青森県八戸市鮫町小舟渡平10
アクセス: JR八戸「線鮫駅」からタクシー、または、種差行きのワンコインバス(100円)シーガルビューホテル下車
営業時間: 11:00~15:00、17:00~20:00
定休日: 月曜日(月曜が祝日の場合は火曜)
※天候その他により休み・営業時間を変更する場合があります。予約が入れば、営業時間外や夜営業も受け付けます
○豪華絢爛な山車でテンションも自然と上がる
会場に着くと、前回からお世話になっている小笠原修会長が出迎えてくれた。
小笠原会長: 「や~待ってたよ! よく来たね!」
著者: 「会長! 素敵。着流しがお似合いです。すっかりお祭りの衣装じゃないですか~」
小笠原会長: 「そうだよ! お祭りの期間中は仕事どこじゃないからね」
著者: 「早速ですけど、そもそも八戸三社大祭の歴史とか由来とか、全く勉強せずに来ちゃったので教えてもらってもいいですか?」
小笠原会長: 「八戸三社大祭は300年ほど続くお祭りで、2016年にユネスコ無形文化遺産にも登録されたんだよ。祭礼は享保6(1721)年に天候回復と豊作を祈願して、八戸藩を鎮護する法霊社から長社山三社堂を御旅所として神輿行列を渡御したのが始まりで、当初は神輿の前後に幡や笠鉾、山伏に獅子権現が加わる程度だったんだけど、その後、町人による『出し』が登場し、その後『山車』に展開したようだね。今では行列の長さはおよそ2.7kmにもなり、27台の大型の山車をはじめ、神楽や虎舞、駒踊りなど古くから地域に伝わる郷土芸能で構成されているんだよ」
著者: 「え~結構歴史古い! 小林幸子!? っていうぐらいド派手な山車に、最近のお祭りだと思ってました」
小笠原会長: 「すごいだろ、これが27もあるんだよ!」
著者: 「うわ~! 想像より完成すると全然大きい!! しかも、折りたためるんですね。トラック一台分ってところかなぁ。トランスフォーマー実写版!」
小笠原会長: 「すごいだろ? あ、そうだ。この山車を模した寿司を出してくれるお店があるから、連れてってやるよ」
著者: 「うわ~! 会長ありがとうございます!」
○「山車」の名は伊達じゃない!
ということで、会長の招待でまたグルメめぐりとなった。向ったのは「江戸前 喜平寿し」。小笠原会長が「今日は東京からお客さん連れてきたよ。おいしいアレ出してやってくれる?」と言えば、大将も「はい!」と一言。
お店にいたお客さんから、「小笠原さんお帰りなさい~。や~れこらの~せ~!」と声がかかれば、小笠原会長も「や~れこらの~せ~! 乾杯!」と返す。なんだろう、初めて会ったのにこの一体感。最高すぎる! これだから旅と人との出会いはやめられない。次々と出される酒と旨いつまみを食べていると、満を持しておいしいアレが登場する。
ドーンと登場したのは、「八戸三社大祭山車ちらし」(一人前2,500円/二人分から注文可)。……会長、でかすぎだから! 新鮮な八戸で採れた魚介が、酢飯の上にこれでもかとのっている。今回は三人前(7,500円)でオーダーしたが、四人前はありそうな盛りっぷり。
小笠原会長: 「いいだろう~?」
著者: 「安すぎです。いただきます!」
食べても食べても下からネタが出てきて驚きのボリューム。安かろう悪かろうではない。寿司ネタが山になっていて、この発掘作業がなんとも楽しい。地元の人しか知らない名店とはこのことだろう。会長、ナイスジョブ! 心の中で親指を立てた。ちらしではあるが、海苔に巻けば手巻き寿司に変身。この海苔はサービスだというんだから、本当に温かいお店だ。
小笠原会長: 「明日はね~『加賀美流 騎馬打毬 騎馬打毬』見ないと」
著者: 「え? なんですかそれ。聞いてないんですけど」
小笠原会長: 「八戸三社大祭でこれを見ないと」
著者: 「へ?」
小笠原会長: 「8月2日の中日にはね、長者山新羅神社で騎馬打毬っていう馬に乗りながら鞠をゴールに投げ入れる八戸藩8代藩主南部信真公が1827年に馬術のひとつとして始めたんだよね~。今でいうポロだな。現存してるのは全国で宮内庁と山形とここだけで、県の無形民族文化財に指定されているんだよ」
著者: 「え? 文化財? 歴史物には目がないです。うかがいます!」
小笠原会長: 「んじゃもう一軒いくぞ~!」
●information
江戸前 喜平寿し
住所: 青森県八戸市大工町2-1蔵前ビル1階
アクセス: JR八戸線本「八戸駅」から徒歩15分
八戸の夜はそのまま3次会にまで突入。ホテルに戻る頃には、祭りに出たのは自分だったかのようにヘロヘロになった。
※記事中の情報は2017年7,8月取材時のもの
※価格は税込 

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八戸えんぶり
place
青森県八戸市内丸1丁目1
phone
0178432111
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喜平寿し
place
青森県八戸市大工町2-1
phone
0178225244
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海席料理 小舟渡
rating

4.5

19件の口コミ
place
青森県八戸市鮫町字小舟渡平10
phone
0178333824
opening-hour
火-日・祝前日・祝日 11:00-15…
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更新日:2024/05/01

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