「紙の花」さえも美しく、新しい。フラワークリエーター篠崎恵美が創る世界


2020.03.05

Harumari TOKYO

直感で入った花屋が、全ての始まり新卒で入ったのはアパレルの会社だったという篠崎さん。花の仕事を始めるきっかけになったのは、就職して半年ほど経った頃に出会ったフラワーショップだった。今では花屋を3つも経営する篠崎さんなので、さぞかし花の仕事がしたかったのかと思いきや、返ってきたのは意外な答えだった。edenworks 篠崎恵美さん 「もともと、花屋になりたかったわけではありませんでした。でも花屋の側を通った時に、なんだか気になって。そのお店の募集を見てすぐに声をかけました。花屋の仕事内容とか、時給がいくらなのかとか、全く考えずに。直感でした。」なんと、直感だけで花屋へ転身した篠崎さん。でもさらに驚きなのは、花屋に入ってからの過ごし方だ。 「師匠がいなかったので、花屋での6年間は独学で実験をしていました。」 花のことを教えてくれる人がいなかったから、独学で花を学んだというのだ。 「敷地内で花を育ててみたり、館の中に花を飾ってみて、部屋のどんな場所に合うか試したり。ドライフラワーも、どの花がドライフラワーになりやすいのか試して、何度も失敗して身につけてきました。実際にやってみて学ぶことが多かったですね。あとは、花以外にも色々なジャンルの本を読んで、自分なりに落とし込んできた」淡々と話してくれた篠崎さんだったが、未経験で飛び込んだ先で、しかも独学で学ぼうなんて、行動力がすごい。普通はなかなかできない。 「昔から、興味のあるものを自分で調べ上げるのが好きなんです。花のことも、誰から教わったわけでもないんですけど、色々見て、自分でやってみて、良いなと思うものを見つけていきました。」 探究心と創造性。篠崎さんのクリエーター気質は、この時からすでに発揮されていたのだった。ルーツは「紙の花」に。こうして、自分のスタイルを確立させていった篠崎さんは2009年に独立。フラワークリエーターとしての道を歩み始め、雑誌や広告、アーティストとのコラボレーションで、次々に、花を使った作品を手掛けていく。 イタリアで発表した「PAPER EDEN」そして、篠崎さんの創作の幅を広げたのが、2017年にイタリアのミラノデザインウィーク期間中に、ロッサーナオルランディのギャラリーで発表した紙の花、「PAPER EDEN」だ。和紙などの日本製の紙を使い、一つ一つ手作りで作られている。だが、生花もドライフラワーも扱っていた中で、どうして新たに紙の花を作ろうと思ったのだろう。花好きが高じたから、なのだろうか?「ワンクリックで物が買える時代になって、昔よりもものを大切にしなくなっているような気がしていて。だから、人が大切に持っていたくなるような「手作り」や「温かみ」のあるものを作りたいと考えていたんです。」 「そんな時にふと、毎日見ている花の細部や中身を表現した、紙の花を作ってみたら面白いかもれないと思ったのが始まりです。」なるほど……。紙の花が誕生した理由は、花が好き過ぎて…という単純なものではなかった。篠崎さんがその時表現したかった「ものを大切にしてほしい」という思いを具現化したのが、紙の花だったというわけだ。 「紙の花に行き着いたのは、小さい頃、母が作っているのを見ていたからかもしれない。私の母はぬいぐるみとか編み物とか、もの作りがすごく好きな人だったんです。『PAPER EDEN』は、母から受け継いだものづくりを自分なりに解釈して作ったものです」なんと紙の花は、篠崎さんのクリエーターとしてのルーツでもあった。しかし下手をすればほっこりとした、手作り感溢れるものになりそうだが、「PAPER EDEN」にはそれがない。この絶妙なバランスの秘密は、なんなのだろうか。 「男性スタッフと一緒に作っているんです。男の人の感性が入ると、よりグラフィカルになる。可愛らし過ぎず、ちょうどいいところに落とし込んでいるんです。」 女性の感覚だけでなく男性の視点も入れるー。篠崎さんの探求心の末にたどり着いたであろう紙の花からは、クリエーターとして、一つ一つの作品に妥協なく向き合う姿勢が垣間見える。 「手間をかけることをやめない」そして、さまざまな作品を手掛けるうちに、篠崎さんの中には一つのテーマが生まれたという。 「今の便利な世の中で、わざわざ大変なことをやる、昔ながらのことをやめないというのが、一番のテーマなんです。紙の花は作るのに時間がものすごくかかるし、花も世話をしなくてはいけないので大変。でも、そういったものを通して、次の世代に、大変だけど手間をかけることの大切さや思いやることを伝えたい。」 篠崎さんの世代は、インターネットがまだ普及していない時代と、スマートフォンが浸透して便利になった今の時代、両方を体験している世代。だからこそ、手間をかけることの大切さを伝えたいという思いが強くなったのだそう。 「わざわざ店に来てオーダーするとか、思いを花に込めるとか、花言葉を知るとか、そういう昔ながらのことを、昔っぽいスタイルでやってもわかってもらえない。やめたくないことやなくしたくないことを、今の時代にわかりやすくアウトプットしているのがedenworksなのかな、と思ってやっています。」篠崎さんがedenworksに込めていたのは「昔ながらのことをやめない」、「ものを大切にしてほしい」という、とてもシンプルな思いだった。世代によっては古い、と感じるようなものかもしれない。 しかし篠崎さんの言葉には不思議と説得力があり、心に入ってくる。きっとそれは、edenworksが、ともすれば日常にある普通の花を、新しく洗練されたものとして見せてくれるからなのだと思う。 篠崎さんが探求し、創り出すクリエイションにこれからも注目していきたい。 

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