edenworksが提案する「特別でない日常に寄り添う花の美しさ」


2020.02.28

Harumari TOKYO

花との向き合い方が変わる。「edenworks bedroom」edenworksには、3つのフラワーショップがある。今回は、edenworksを手掛けるフラワークリエーターの篠崎さん本人に、それぞれの店を案内してもらった。edenworks bedroom1軒目は、代々木上原の商店街にあるedenworks bedroom。花屋といえば、道路に面していたり、駅ナカにあったりと、オープンなイメージがある。しかしこの店は、看板がない建物の、しかも3階にあるのだ。 どうしてこんなに奥まった場所にあるのだろう。 「ここにきてくれるお客様と花を通して繋がれたらと思って、親密な人を迎え入れる場所である「ベッドルーム」にしたんです。1階ではベッドルームという雰囲気にならないので、ここに決めました。」(篠崎さん)店の中央にあるのはベッド。その上に、鮮やかな花が並んでいる。確かに、鮮やかな花々が咲き誇り華やかな一般的な花屋に比べ、ここはまさにベッドルームのような、静かで落ち着いた空間。だからこそ、この空間に美しく咲く花たちを、自分の普通の日常に置くことをイメージしやすい。花がある生活を、自然に想像させてくれるのだ。そして並んでいる花は、いわゆる普通の花屋では見かけないような、どれを選んでも「センスが良い」と思われそうな花ばかりで、気分が上がる。だが一方で、落ち着かない気持ちにもなる。花の季節感やマナーはよくわからないうえ、ここは、フラワークリエーターの篠崎さんの店。センスも試されそうだが……。 「形式とか、こういう花瓶がなきゃとか、難しく考えている方が多いんですが、花は、花束にして飾らなくても、一輪でもいいんです。決まりとか、そういうものを気にせずに楽しんでほしい。」 でも、それが逆に難しい。それに、選ぶならやっぱり、センス良く選びたい。そんなことを考え、悶々としていると、篠崎さんが話し始めた。edenworks 篠崎 恵美さん「仕事をしていると、毎日が同じ繰り返しですよね。朝起きて仕事行って帰ってきて……。その中でちょっとした変化があると、それだけで違う。例えば生花だったら、晴れたら蕾が開くし、雨だったら蕾が閉じる…そんな動き、日々違う動きを感じるだけで、楽しいんです。」 「観葉植物は動かないから、見た目はそこまで変わらないかもしれないんですけど、いるだけでも部屋の空気が違うというか、感じるものがあって。そういう感性のような、感覚に近いもの。」花を、「誰かに認めてもらうために選ぶもの」というイメージに対して、篠崎さんの言葉は、その逆を意味している。シンプルに、花を自分の日常に寄り添ってくれる存在と捉えているのだ。 自分の心を穏やかにしてくれる存在として花を選ぶなら、心のままに、側にあってほしいものを選べば良いだけ。そこに必要なのはセンスというより、自分の「好き」という感覚と向き合うことなのだ。花をずっと側に。ドライフラワーの店「EW.Pharmacy」そして次に案内してもらったのは、ドライフラワーの店「EW.Pharmacy」。EW.Pharmacy店内は、どこかの洗練された研究室のようで、独特の世界観が広がっている。ショーケースを覗くと、ガラスの「シャーレ」に色鮮かなドライフラワーが、美しくアレンジされている。そして奥にはドライフラワーを選んで注文するカウンターがある。常時20種類の花が置いてあり、2ヶ月に一度入れ替わるショーケースの中には、種類別に分けられたドライフラワーが入っている。この中から好きな花とパッケージを選び、目の前でアレンジをしてもらえる。取材時に並んでいたリンドウの花。鮮やかな青が美しい。ところで、どうしてドライフラワーなのだろう?特に花に慣れていない人にとってはドライフラワーは選択肢に入りにくくないだろうか? 「店に来られた方々が100%、花をドライにできるか聞かれるんですよ。私自身もこの仕事を通じて、皆さんの花を捨てたくないという思いを感じたんです。」(篠崎さん) edenworksの店に通う人たちにとって、花は、咲きほこる歓びと同時に枯れていく切なさもある。ひとつひとつの花を愛すればこそ、いつまでも美しさを備えて欲しいという想い。花と一緒の日常を望むからこそのドライフラワーなのだ。そう考えると、ドライフラワーを生け花の劣化版のようにイメージしていた自分が恥ずかしくなる。花への思いで行き着いた、究極のサスティナブルショップさらに、3カ所目に案内してもらった「PLANT by edenworks」。ここは、2019年の9月にオープンしたばかりで、篠崎さんのアートワークの最新を知ることが出来る場所だ。PLANT by edenworks逆さまに吊り下げられた花や、部屋の奥にある機械が工房のような雰囲気を感じさせるのだが、それもそのはず。乾燥室でドライフラワーに加工している様子を見ることができる。ここは生花をドライフラワーに加工する店なのだ。ここに花を持ち込めば、プレゼントでもらった思い出の花なども、長く残しておくことができる。ここでは、持ち込みの花だけでなく、edenworks bedroomで販売期間を終えた花も乾燥させ、ポプリなどに加工し・販売をしている。花を一切に無駄にせず、次に繋げようという、サスティナブルな店なのだ。ポプリは 香りが良く発色も綺麗。筆者も取材中、購入してしまった。「私がしたいのは花の可能性を広げることなんです。土に生えている花を切ってここに持ってきているわけですが、その花たちをなるべくいかして良さを伝え、花が秘めているすごい可能性を、最大限に広めたい。」 edenworksの3つの店は、これまでの花への価値観や、向き合い方を180度変えてくれる場所だ。普通の花屋とは違う、一見独特なコンセプトやデザインも、花に対する真摯な愛情と、美しい花を自分の側にずっと置いていたいという願いの先に生まれた必然だったのだと思う。広がっていく「花がある日常」そして最後に、篠崎さんが嬉しそうに語ってくれた話がある。 「日本人の男の人は、花屋に入ることを恥ずかしいと感じる方も多いと思うんですが、EW.Pharmacyには本当に男性がいっぱい来るんです。」 「男性の方がお花を選んでいるという平和な光景が、本当に素敵なんですよ!それが本当に嬉しくって、泣きそうになるんです。」セカンドバッグを持った恰幅の良い男性、工事の作業着を着たままやってくる男性……店には、実にさまざまな男性が訪れるのだという。その中でも、特に印象に残っているというエピソードを話してくれた。 「歩いていた私に、EW.Pharmacyへの道を尋ねてきた方がいたんです。こういうドライフラワーショップに行きたいと。それで、うちです!って手をつないで店までご案内したんです。」しかもその人は、わざわざ遠方から訪れた80代の高齢の男性だったそう。「聞くと、奥様が亡くなられて3年が経って、何かでうちの店を見て、すごく鮮やかなドライフラワーだったから仏壇に飾ってあげたいと。お店では、『こういう色が母ちゃんぽいんだよな』って言いながら選んでいて。その姿を見たとき、自分の店だけど、いい店だなって思いました(笑)」 なんとも優しいエピソードに心が温まる。日常に花を取り入れて、綺麗だと思う心を感じて欲しい。そんな篠崎さんの願いは、少しずつ、でも確実に、広がっているのではないだろうか。 

EW.Pharmacy(EW.ファーマシー)
place
東京都渋谷区富ヶ谷1-14-11
phone
0364070701
no image

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