愛ネコ家による愛ネコ家のためのネコの本屋で至福の時を。


2019.10.31

Harumari TOKYO

ネコの店員が接客してくれる、ネコ本だけを集めたブックストア 落ち着いた住宅が並ぶ世田谷線沿線。「キャッツミャウブックス」は2017年8月8日、世界ネコの日にオープンした。「保護ネコはゼロにならないし、本屋は減る一方。弱い者同士助けられたらいいなと思い、ネコと本をテーマに開業しました」と、店主の安村正也さん。店に出てくるスタッフはネコ4匹。いずれも元保護ネコである。扱うのは、ネコをテーマにした小説や、表紙にネコのイラストが入っている作品集など、何らかの形でネコが絡む本のみ。まさにネコ尽くしの空間が広がっている。棚や壁の仕上げをボランティアメンバーと安村夫妻でDIYした店内は、2フロア構成。お店に入ってすぐのエリアは新本や洋書と、ネコグッズなども陳列。格子戸の奥がネコ店員のいる、古本中心のスペースとなっている。格子戸の隙間から垣間見えるネコたちの姿や声に胸がときめく。愛想の良いネコスタッフがお出迎えゆっくりと戸を開けると、ネコ店員さんたちが目で挨拶してくれる(ように感じる)。なかには足元に擦り寄り、ちゃんと接客してくれる子も。「基本的に愛想の良いネコスタッフばかり。ただ、昼間は寝ていることも多いですし、ネコカフェではないので強引に触わるのはご遠慮ください」(安村さん)。とはいえ、保護施設から人見知りをしないネコをお迎えしたということもあり、本を眺めている間にも、こちらに伺い立てしてくれたり、自然な形で触れ合える。椅子に座れば、膝に飛び乗ってくれる子もいるとか。まさに自然体の距離感。気まぐれ猫をこよなく愛する人からすれば「適切な接客」だ。ネコと本、そして美味しい一杯も中央に配置されているテーブル席では、コーヒーやビールを片手に、ネコ店員と過ごすことも可能。コーヒーは里親募集中のネコのポートレートをラベルにしている保護ネコ活動団体の”LOVE & Co.”から仕入れを。また、安村さんの好物であるビールにもこだわって、サッポロ生ビールとヤッホブルーイングの水曜日のネコをセレクトしている。ビールを一杯飲み切るまでの、ネコトーク。初対面でもなんだかすぐに心を開いてしまいそうだ。ネコ好き同士がつながれる貴重な場に愛ネコ家は、自分の飼いネコ以外の全てのネコもかわいがるというのは、有名な話だが、ここでももちろんネコトークが繰り広げられる。「ネコ好き同士は、犬好きと違って散歩などをしないので、知り合う機会が少ないですよね。でも、うちに来れば感性の近い人が高い確率でいるわけです。初対面でも、一緒に暮らすネコの写真をスマホで見せ合い、そしてお互いのネコを褒め合う方もいらっしゃいます」(安村さん)。「キャッツミャウブックス」では、そんな想像するだけでも幸せになれそうな、ほんわかとした空気が流れている。ネコが毛づくろいをする音や、棚を軽やかに登る足音を堪能するためにも、あえてBGMは流していない。会話が途切れたとしても、ネコがそこにいるだけで、不思議と間は保たれるのだ。「自然発生だけでなく、愛ネコ家のつながりをサポートできればと、営業前などの時間帯を利用して、ネコ本の新刊紹介やネコがいる空間で行うヨガなど、工夫を凝らしたイベントを開催しています。ここで知り合ったネコフリークのイラストレーターさんが意気投合し、当店限定のコラボレーションが実現したこともあるんですよ」(安村さん)。飲み物片手にネコと一緒に本選びができ、なおかつ愛ネコ家とも出会える「キャッツミャウブックス」。売り上げの一部を複数の保護ネコ活動団体に寄付しており、至福の時間が過ごせるだけでなく、ネコのためにもなるのもうれしいポイントだ。ネコを飼っている飼っていないにかかわらず、「キャッツミャウブックス」に訪れ、ネコの深みによりハマってみるのもよいのでは。 取材・文:金井幸男
撮影:工藤直人 

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Cat's Meow Books(キャッツミャウブックス)
place
東京都世田谷区若林1-6-15
phone
0363263633
opening-hour
14:00-22:00
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