小石原はるかの“食事放談”EATING OUT大衆酒場の嗜み方。


2023.12.19

Hanako.tokyo

photo_Kaori Ouchi illustration_Chihiro Yoshii text_Kahoko Nishimura小石原はるかこいしはら・はるか/うどん、焼きそば、肉と、好きなものにはとことんハマる“偏愛系”ライター。『東京最高のレストラン』(ぴあ)には毎年寄稿。最新刊は『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)。倉本康子 モデルくらもと・やすこ/ファッションモデル、“インテリアモデル”として活躍するほか、BS-TBS『おんな酒場放浪記』に出演。@yasukokuramotoyakkoでは#ヤッコの酒旅でプライベートの飲み歩きもレポート。食に対してたゆまぬ情熱を注ぎ続けるライターの小石原はるかさんが、同志を招いて対談。今回は大衆酒場を巡り歩くモデル、倉本康子さんとトークすることに。小石原はるか(以下、小石原) 私の飲み仲間でもあるモデルの倉本康子さんにお越しいただきました。倉本さんは『おんな酒場放浪記』に出演されていますが、お酒は昔から飲んでます?倉本康子(以下、倉本) ボトルキープに憧れて、20歳になると同時に飲みに行きました(笑)。小石原 さすが! プライベートでも飲み歩いていますよね。倉本 もちろん! 去年からインスタにまとめるようになりました。そうしたらさらに出掛けるようになって、地域の特性を知れるのが面白くて、ますます楽しくなっちゃいました。小石原 また一段階、深みにハマったんですね(笑)。倉本 ちゃんと自分でリサーチするようになったんです。1人3000円未満とか、歴史があるお店とか、店員さんが素敵なところを見つけるとうれしい。小石原 大衆的で歴史があって地域に根付いているお店が好きってことですね。お店の見極めってどうしてますか?倉本 外から店内が見えるところは、客筋をチェックして様子を窺います。小石原 見えないところは少しドキドキしますよね。逆に、事前情報なしで行ってみたら良かったお店ってありますか?倉本 〈季節料理 車屋〉が大当たりでした。どれもおいしくて、旬のものが食べられるから、季節ごとに行くようにしています。小石原 お刺身がとても綺麗!倉本 ここは平塚なのですが、そういうなじみのない場所で当たりが出ると、喜びもひとしお。小石原 都内では、この前連れて行ってもらったお店がおいしかったですねえ。倉本 〈焼き鳥・もつ焼 新〉ですね。比較的新しいお店ですが、豚のチレが本当にうまい!小石原 はい、丁寧な仕込みを感じました。倉本 誰を連れて行っても喜んでもらえますね。渋谷 〈焼き鳥・もつ焼 新〉 (焼き鳥)上質な串焼きを、ほどよくカジュアルに。常連客が連れてきたお客がまた常連に。こうしてファンを増やし続けるのは店主・岩渕新さんだ。「この肉屋さんと取引できなかったら独立は諦めていた」と、信頼するルートから仕入れる豚モツや鶏は、備長炭で丁寧に焼き上げ。クセのある部位もクリーンな味に。お通し代わりのキャベツが食べるべき一品。
席代やお通しのないこの店では、入店するや「特製茹でキャベツ」650円を頼むのが定番。ネギ油やガーリックチップがアクセントに。あみ脂を挟んだ「ちれ」300円(右から2番目)など、鮮度がいい。店主とのコミュニケーションを目当てに訪れたい。
岩渕さんと楽しくおしゃべりできるカウンター席がおすすめ。テーブルや椅子は、立ちやすく座りやすい高さで計算されている。下処理の手間を惜しまない、内臓系の串焼き。
自身も不得意だというレバーなどは、「いかに苦手な人にも食べてもらえるか」を目標に仕込む。柔らかく臭みのない味わいは感動的。〈焼き鳥・もつ焼 新〉充実の料理9品コース2,500円が初めての人にも常連さんにも人気。お酒のおすすめは、季節ごとにラインナップを変える日本酒や焼酎。予約推奨。住所:東京都渋谷区渋谷2-19-20 宮益坂村瀬ビルB1
TEL:03-6427-5972
営業時間:17:00~24:00
定休日:日祝休ほか不定休あり
席数:21席小石原 大衆感がありつつ、お店は綺麗でいいとこ取りですよね。そういえば〈大衆割烹 藤八〉は最近行ってますか?倉本 ちょっとご無沙汰です。小石原 久しぶりに行ったらやっぱり良かったですよ。今はビルの2階に入っているけれど、一軒家時代の雰囲気が残って。中目黒〈大衆割烹 藤八〉(居酒屋)新しい魅力を備えて守られるザ・大衆酒場のムード。
店内壁にはおびただしい数の品書き短冊が貼られ、サクッと一杯飲みたい人も、お腹いっぱいになりたい人も受け入れてくれる。古き良き雰囲気の中では、1977年の創業以来の名物「自家製腸詰め」はもちろん、2代目が考案するイタリアンおつまみも続々と増えている。胃と気持ちを温めてくれるこのうどんでしめたい。
カツオと昆布でとった優しいだしが決め手の博多風うどん。人気は風味豊かなのりや明太子のトッピング。「のり明太うどん」620円。ネギと豆板醤を添えた「自家製腸詰め」480円はどんなお酒にも。2代目店主は元常連のナポリピッツァ職人。
この店に20年以上通っていた須藤騰さんは近くでイタリア料理店を営んでいた。シチリア風のハムカツなど、オリジナル料理も。もう一人の店主”の看板犬が愛嬌たっぷりにお出迎え。
店内を自由に歩き回り接客するジャーマンシェパード「コタマル」は、立派なスタッフ。お客も予約時にお願いすれば犬同伴でOK。〈大衆割烹 藤八〉お酒は生ビールがミニから大まで4サイズ、サワー、焼酎、日本酒、イタリアンワインなど、種類豊富だ。住所:東京都目黒区上目黒3-1-4 グリーンプラザ2F 
TEL:03-3710-8729 
営業時間:16:00~23:30(フード22:30LO、ドリンク23:00LO) 
定休日:日休、祝の月休 
席数:90席“思う存分楽しむためには、身軽な格好で”(小石原はるか)倉本 近々行かないと! 私が十数年前からちょくちょく行っているのが〈たちのみや喜平〉。ここは業務用酒類販売会社の休業店舗だった場所を、そこの営業マンがお店にしたのが始まり。一人で仕込みをしていて、小鉢がいろいろ。何よりお父ちゃん(店主)が最高なんですよ。小石原 ぜひ行きたい!倉本 1人から3人くらいで行くのがいいですね。小石原 こういうお店って、少人数の方が楽しめるし、お店への配慮にもなりますよね。倉本 支払いは現金のみのお店もあるので1000円札をたくさんファスナー付きポリ袋に入れて、手ぶらで行きます。荷物が多いと迷惑にもなりますし。小石原 私も荷物をロッカーに預けて飲みに行くことがあります。リラックスして楽しむために、事前準備も大切ですね。倉本 お店の人や常連さんに対して「お邪魔します」という気持ちで行くことも肝要。池袋〈たちのみや喜平〉 (立ち飲み)壁際にぐるりと陳列された多種多様な酒をちびちびと。手作りの小皿料理と缶詰で気軽にどうぞ。
開店までにほぼおつまみを作り終え、ワンオペで接客するマスター。全品250円の小皿は、サラダや牛すじ煮込みなど、充実している。元営業マンのマスターが酒飲みの心をわしづかみ。
マスターの西塚哲郎さんが料理を始めたのは開店してから。だが、それも20年以上の経歴に。だしの染みたおでん5品550円が名物。〈たちのみや喜平〉 店に入ると「お疲れさま」と迎えてくれる温かな接客に心を解かれ、ついつい飲み過ぎてしまいそう。日本酒、ウィスキー、クラフトビールなど、お酒のバリエーションが豊富で安い。住所:東京都豊島区南池袋2-29-16 
TEL:なし 
営業時間:16:00~21:30 
定休日:日祝休 
席数:立ち席15人ほど“店主と常連さんの雰囲気がいい店が正解”(倉本康子)小石原 御意! 常連さんも多いけど、入りやすいお店といえば〈Andy’s 新日の基〉でしょうか。倉本 まさに!小石原 代目店主のアンディーさんがイギリス出身で元ラガーマンだったこともあり、ラグビーの選手やファンが多いんですよね。外国の方もたくさん。倉本 魚がおいしいですよね。それで言うと〈本種〉は、築地で寿司飲みができておすすめ。小石原 ああ! 行ってみたいお店です。倉本 ご家族で経営されてて、めっちゃ江戸っ子のお父さんがいるんですよ。いや、いいお店を挙げたらキリがないです。小石原 心から酒場を愛していることがひしひしと伝わってきました。またぜひ一献!有楽町〈Andy’s新日の基〉 (居酒屋)安くておいしい、を実現させる歴史。豊洲の目利きが選ぶ天然の魚介をそのまま。70年以上の歴史の中で培った市場との付き合いで、上質な魚がそろう。刺盛(小)3,000円。この日は本マグロ、ヒラメ、カンパチなど。創業当初から変わらない味の「肉どうふ」950円。絹豆腐がつるり。スタッフもお客も国際色豊かでにぎやか。アンディーさんのほかにも海外出身スタッフが働いていて、観光客や日本駐在の外国人も安心して訪れている。この雰囲気は唯一無二。〈Andy’s新日の基〉 1946年から続く、高架下の店。特に魚介の質に定評アリ。アンディーさんは来日翌日には魚河岸に連れ出されたという。開店後すぐに席が埋まり始めるから、予約推奨。東京都千代田区有楽町2-4-4 
03-3214-8021
17:00~23:30(23:00LO)
日休 160席次号のゲストは小寺慶子さんで、「パスタのおいしいイタリアン」がテーマです。photo_Kaori Ouchi illustration_Chihiro Yoshii text_Kahoko NishimuraNo. 1226No.1226 『もう少しだけワインのことを知りたい』 2023年10月27日 発売号今日も町のレストランやワインスタンドには人があふれ、そこにはにぎわう場に欠かせないアイテムとなったワインが。楽しく飲む!が正解。でも、楽しければ楽しいほど、後日“この前飲んだおいしかったワイン、何だったっけ”となることはありませんか?それはとてももったいないことだと思うのです。今よりもう少しだけワインのことを知ることができたら、自分にとっての“おいしいワイン”を忘れずにいられるようになるかもしれません。 教科書は、町のグラスワインにワインショップに並ぶボトル。必要な知識・教養をまとめた「ワインがもっと楽しくなる基礎 … もっと読む 

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新日の基
rating

4.0

8件の口コミ
place
東京都千代田区有楽町2-4-4
phone
0332148021
opening-hour
月-土 17:00-23:30
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no image
たちのみや 喜平
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4.5

3件の口コミ
place
東京都豊島区南池袋2-29-16
phone
0339870081
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大衆割烹 藤八
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3.0

5件の口コミ
place
東京都目黒区上目黒3-1-4 中目黒グリーンプラザビル2階
phone
0337108729
opening-hour
火-金・祝前日・祝日16:00-20:…
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創業40年以上続く老舗酒場 単品飲み放題もご用意

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更新日:2024/05/01

焼き鳥・もつ焼 新
place
東京都渋谷区渋谷2-19-20 宮益坂村瀬ビル B1F
phone
0364275972
opening-hour
17:00-24:00
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