散歩にうってつけの谷根千エリアへ。日暮里〈Think〉&〈根津のパン〉/池田浩明のまだ見ぬパン屋さんへ。


2023.07.29

Hanako.tokyo

古い街並みが残り、散歩にうってつけの谷根千。街の雰囲気を大切にしながらも高い技術を誇るパン屋さんが多いのもこのエリアの特徴だ。ぶらり歩きするときはこの2軒を目的地に。パンラボ・池田浩明さんによる、Hanako本誌連載「まだ見ぬパン屋さんへ。」からお届け。〈Think〉パンとお菓子、どちらも主役に。右・クロックムッシュ480円、左・マドレーヌ(レモングレーズとショコララズベリー)各230円。かつてパティスリーの厨房で出会った盟友が手を組んだ。菓子作りの研鑽を重ね、〈ハイアットリージェンシー東京〉で最年少でシェフを務めた仲村和浩さん。パティシエからパンに転向、サワードゥムーブメントの先頭を切る〈ガーデンハウスクラフツ〉でシェフだった鈴木嵩志さん。舞台に選んだのは、谷根千にある趣深い古民家。そこでフランスの伝統的な業態「ブーランジェリーバティスリー」を再構築する。コンセプトは、「Back to New basic」。バゲット各290円。北海道産など国産小麦をブレンドし、長時間かけて熟成。カヌレ各380円。フランス産バターを使用し、しっかりと焼き込んだもの。「伝統的なものに現代的な要素を入れると、こんなにもおいしくなるってことを示したい」(仲村シェフ)
パティシエの面目躍如か?鈴木さんの焼くバゲットの皮を噛んで思った。これはカステラか?そう思わせるほど、お菓子のように甘い。
秘密兵器は「水種」。小麦粉と水を合わせて熟成を待つオートリーズという手法に、麴まで加える。この微生物の並外れた分解能力が、小麦のデンプンを糖に変える。伝統的なバンを、現代的な技術でおいしくする一例だ。
崩れ落ちる快楽的なクロワッサン。フランス産バター「コールマン」を使用。さらに、一部を焦がしバターにして入れる。せせらぎのようにバターの液体が舌にこぼれる。築80年以上の古民家を改装。栃木県の芦野石を使った陳列棚や、京都の職人に特注したふすまなど、細部にこだわった和の空間。店に足を踏み入れた瞬間、芦野石でできた陳列棚に並んだパンのうつくしさは、さすが菓子職人らしい仕事ぶり。
「パンらしく崩して焼いたら?と仲村に言われるんですが、逆にむずかしくて(笑)」
和の空間に最先端のパンやお菓子が並ぶギャップ、最高にエモい。Think 日暮里住所:東京都台東区上野桜木2-15-6上野桜木あたり2号棟1F │ 地図
電話番号:03-5834-7547
営業時間:11:00〜18:00
定休日:月、火曜(祝は翌休)
古民家で国産小麦のパンと菓子を。2階にカフェ〈雀〉が近日オープン。〈根津のパン〉もっちりとした食べごたえで、行列が絶えないパン屋。右から、長時間発酵のパンドミ540円、ミニ山食120円。クロワッサン各220円。手前からパン・オ・ショコラ各290円、黒豆ときなこ各230円、雑穀ミニ山食各140円、米粉のミニ山食各140円、ふすまのミニ山食各130円。小サイズの食事パンが多数。野口シェフのおすすめは大型の食事パン、パンペイザン。谷根千らしい路地裏の和風建築に行列ができている。カウンターの上にはかわいい丸いパンやミニ食パン。棚には、高いところまでずらりと食パンが並んだ地元密着の店。
ハード系のパンももっちりやさしいやわらかさ。噛み締めればわかる。訪れる、小麦の甘さ、穀物のような香りが波のように。
野口将義シェフが操る製法は長時間発酵。17〜18℃という比較的高めの温度で、酵素が小麦を分解する力を引き出す。だから、小麦由来の糖分やアミノ酸が豊富で、味わい深い。自家培養の発酵種を複数使用して味に奥行きを持たせるのも特徴。元豆腐屋だった建物をそのまま活かす。格子窓や石畳、天井の梁など細部まで粋な仕事が潜む。売り場の床は石畳。格式を感じる板壁や格子窓。宮大工も経験した棟梁の手によるものだ。
元は豆腐屋。カウンター以外ほとんどそのまま、雰囲気を残している。物件との出会いに背中を押されるように、野口さんはお店のコンセプトを決めた。国産小麦だけを使用。ベーコンエピに大葉を合わせたり、チーズパンに七味をふったり。店にも街並みにも似合うほんのり和を感じさせるパンを揃える。
建物の古さゆえの苦労もしばしば。でもいまや、根津になくてはならない人気のパン屋になった。根津のパン 日暮里住所:東京都文京区根津2-19-11 │ 地図
営業時間:10:00〜19:00
定休日:月、木曜
自家製の発酵種を使い、国産小麦を長時間発酵させ味わい深い。路地裏にある、豆腐屋だった古い建物で営む。池田浩明 パンラボいけだ・ひろあき/「パンラボ」を主宰しながら、ブレッドギークとして、日本全国のパン屋さんを巡り情報を発信する。いち早く国産小麦にも注目し、日本のパンの未来をみつめる。
パンラボblog:http://panlabo.jugem.jp/photo:Kenya Abe text:Hiroaki IkedaNo. 1222My Better Room 小さな部屋を自分らしく。/BE:FIRST 2023年06月28日 発売号インテリアを楽しむのに大切なのは“想像力”と“とりあえずやってみる精神(DIY)”。正解もゴールもなく、少しずつ居心地の良い部屋へと作りあげていくプロセスも、また楽しみの一つです。何をどう選び、どう合わせるか。この特集では、人気インテリアショップスタッフの自宅とお店を拝見や、フルリノベ、移住をして暮らしを変えた人、心に“余白”を作る整理と収納など、自分らしく楽しく暮らす30人のアイデアを紹介します。 もっと読む 

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根津のパン
rating

3.5

3件の口コミ
place
東京都文京区根津2丁目19-11
phone
0358342883
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THINK OF THINGS(シンク オブ シングス)
place
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-62-1
opening-hour
10:00-19:00
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