器は、お茶の時間を豊かにしてくれる名脇役。名喫茶店には常に選び抜かれた器が揃っている。
老舗喫茶〈茶亭 羽當〉は、器選びでも一目置かれる名店。運命の器と出会いたい。老舗喫茶〈茶亭 羽當〉は、器選びでも一目置かれる名店。コーヒーを淹れるバリスタの後ろに並ぶカップ&ソーサーは圧巻。Hanako読者をイメージしてセレクト。「スージー・クーパーのカップは柔らかな印象でおすすめ」渋谷駅近く、多くの人が行き交う喧騒の中のオアシスとして長年愛される〈茶亭 羽當〉。ハンドドリップで丁寧に淹れられるおいしいコーヒーでも有名だが、このお店では訪れた人それぞれに合ったカップでコーヒーや紅茶を提供してくれる。「どんな雰囲気をされているか、服装や表情をみながらバリスタが器を選んでお出ししています」と教えてくれたのはバリスタの天野大さん。バックカウンターの棚には和洋問わず、さまざまなカップ&ソーサーがずらりと並ぶ。棚は向かって左から有田焼〈源右衛門窯〉の名品などが並ぶ日本製のもの、1700年代の器から〈ヘレンド〉の可憐なカップまで貴重なものが揃うアンティーク、右手にはフランス〈アビランド〉、イギリスの〈スポード〉など海外の名食器ブランドの器が置かれている。常連の中にはお気に入りのカップがあり、毎回同じ器でとオーダーをする人もいるのだとか。
「カップを選ぶバリスタは今、3名いるのですが、違うタイミングで来た同じお客様に3人が全く同じ器を選んだこともあります。それは珍しいことですが、さまざまな出会いを楽しんでもらえたら」自分に合う器とはどんなものか、選んでもらうと意外な好みが見つかるかもしれない。器の奥深い世界へ、足を一歩踏み入れたい。1. 年代を問わず、世界各地から集められたカップ&ソーサー。開店当時から買い足しながら集められた器は全部で500～600セットになる。同じものは2つないというから、訪れるたびに新しい器と出会えそう。写真は最近、手に入れたという〈ロールストランド〉と〈アラビア〉のアンティーク。2. 合わせ方は型にはまらず自由に楽しんでみる。〈茶亭 羽當〉ではカップに合わせてデザートなどのプレートもアレンジしてくれる。「ただ同じメーカーや同じシリーズにしないといけない、などのルールはありません。柄を揃える、色のトーンを合わせるだけで統一感は生まれます」3. 卓上のシュガーポットや棚のインテリアにも器選びのヒントが。テーブルに置かれたシュガーポットもイギリスの〈ウェッジウッド〉やドイツの〈マイセン〉など名品ばかり。季節の花々が生けられる花瓶や壁に飾られた〈ロイヤルコペンハーゲン〉のイヤープレートなど、店の隅々にも“発見”がある。茶亭 羽當炭火焙煎コーヒーはオリジナルブレンドのほか6種。紅茶も種類豊富で中国紅茶なども揃う。住所：東京都渋谷区渋谷1-15-19
TEL：03-3400-9088
営業時間：11:00〜23:00（22:00LO）
定休日：無休
席数：50席photo : Shinnosuke Yoshimori text : Kana Umehara No. 1220喫茶店に恋して。／道枝駿佑 (なにわ男子) 2023年04月27日 発売号一日一杯のコーヒーを素敵な喫茶店でゆっくりと飲めたら。今号では、喫茶のスピリットを受け継ぐ新店、本や音楽、器選びに空間づくり…店主の哲学が隅々までいきわたる「学び」のある喫茶店などを徹底ガイド。全国の心地いい空間とおいしいコーヒーで、あなたのオアシスになる一軒を見つけてみませんか。コーヒー好きも魅了する、新たな日本のお茶の世界を覗く第二特集も必見です。 もっと読む
