【番外編】沖縄バーホッピング3選〜児島麻理子の「TOKYO、会いに行きたいバーテンダー」〜


2022.07.12

Hanako.tokyo

お酒業界での広報歴12年!児島麻理子が、実力派のバーテンダーをご紹介します。第46回目は番外編の第3弾!旅先でのバーの楽しみをお届けします。今回は、いまバー業界で注目のエリアとなっている沖縄!東京の人気店舗の進出や、泡盛メーカーのラムやジンのプロデュースなど、お酒のトピックが脚光を浴びています。海やホテルステイだけではもったいない、沖縄のバーホッピングを紹介します。1軒目は…〈El Lequio(エルレキオ)〉バーテンダー・杉浦 聡さん
バーテンダー歴:13年
生年月日:1989年6月30日
星座:蟹座
血液型:B型
趣味:アニメ、映画鑑賞。おすすめのアニメは『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』と『BLACK LAGOON(ブラック・ラグーン)』。
個人的おすすめ店:那覇の沖縄そば〈すぅ〜ぎぃ〜じぃ〉。麺は3日以上寝かせた熟成麺にわさびを合わせて。店員さんを呼ぶときに、お客さんが三味線を鳴らすのも面白いんです。あとはステーキの〈ジャッキー ステーキハウス〉。昔のアメリカにタイムスリップした気分になります。大航海時代に到来したスペイン人とポルトガル人が“レキオ”と呼んでいた琉球王国。その名を冠したバー〈エルレキオ〉を今年オープンしたのが、世界のバーランキングで常に上位にあがる〈SG Group〉です。テーマは沖縄と南米の繋がり。33年続いた老舗バーボンバーを引き継いで、ラテンと沖縄らしさを感じる空間にリニューアルしました。沖縄のミックスカルチャーを感じる唯一無二の空間から、バーホッピングをスタート!Q.どんなカクテルがありますか?杉浦さん「メニューブックには、ラテン生まれのお酒に沖縄素材を足してアレンジした『Nikkei Latino(日系ラティーノ)』や、沖縄の歴史や素材、地元企業からインスパイアされて作った『Ryukyu-Inspired(琉球インスパイヤード)』のページがあります。『首里とペリー』は琉球時代に沖縄に訪れたペリーと王朝とのストーリーから生まれたカクテルです。また、僕の好きなお店で那覇にピザの『バカール』がありますが、カクテルに『これは、バカールのマルゲリータですか?いいえ、これはバカルディのマルガリータです』という名前のピザの要素を再構築したものもあるんですよ。地元で愛されているお店をメニューで紹介することで、地元の人も楽しんでもらったり、また観光で来た人がお店を知るきっかけにもなったらと思っています。沖縄方言を使った『ヤッケー ヒージャー パワー』というカクテルもあって、これは沖縄の人に必ずウケるのですが、理由は沖縄で聞いてみてください」。Q.沖縄でバーテンダーをするおもしろさはなんですか?杉浦さん「沖縄は生産者さんと距離が近いです。泡盛の蒸溜所も街中にあるようなところもあって、いろんなことがすぐに進めやすい。お店を一緒に盛り上げているイメージがあるんですよね。あと、道端にもフーチバーとか月桃など使えるものがたくさんありますよ。先日は林を探索していてカラキという沖縄シナモンを見つけました。こういう素材は意外と沖縄でも知られていなかったりするのですが、沖縄はいい素材に溢れています。こうしたものを使うと勝手にオリジナリティがでてくるんですよね」。Q.これからの目標を教えてください。杉浦さん「これまで東京、上海とバーテンダーを経験してきました。アメリカにいたこともあり、他の国の文化や言葉を覚えるのも好きなので、いろんな土地を経験したいと思っています。沖縄も独特の文化があるので面白いですね。ぜひこのバーを目指して、国内外から沖縄に来てもらえるようにしたいなと思っています。世界のバーランキングである『Best Bar 50』では、リゾート地で入っているところは実はないんです。沖縄をランクインさせて、バー業界に影響が与えられたらいいなと思っています」。次は、沖縄のバーシーンを引っ張ってきた評判のミクソロジーバーへ。沖縄の「タイムレス チョコレート」とコラボした「時代を超越したモヒート」1,500円。下にひかれたのはカカオの木の葉。所々に沖縄らしいモチーフも。個室に置かれたのは店舗オリジナルで作成したシーサー。沖縄のパナマハットブランド「ファットハッター」はスタッフのユニフォーム。店舗で販売もされている。杉浦さんのいるバーはここ50mの長いカウンターは沖縄でも随一。バックバーにはステンドグラスで彩られ、ラテンらしい明るい雰囲気を作り出している。ラウンジスペースの個室には、併設された小さなバースペースもあり、以前あったバーから引き継いだヴィンテージのバーボンが並ぶ。気軽に立ち寄れるスタンディングスペースも。沖縄県那覇市安里1-3-3 安里家ビル 1F
098-975-9674
19:00〜翌2:00
月休2軒目は…〈琉球ミクソロジースタイル バー アルケミスト〉バーテンダー・中村智明さん
バーテンダー歴:20年
生年月日:1983年11月9日
星座:蠍座
血液型:O型
趣味:お酒を飲むこと。ビールとジンが特に好きです。
個人的おすすめ店:〈和洋葡yoshi〉。ワインはもちろん、食事がとにかくおいしい。オーナーの伊鱧さんの接客もちょうどよい感じで居心地がいいです。また沖縄料理であれば〈泡盛倉庫〉。クーブイリチー(昆布の炒め物)は絶品です。沖縄素材を使って自在にカクテルを作る“琉球ミクソロジスト”の評判は、東京にも聞こえていた話。店内に入るとボタニカルに囲まれた空間の中、自家製のお酒や漬け込みをしたボトルが壁一面にずらり。何かすごいことがはじまりそうな予感が入り口から漂います。Q.こちらのバーの特徴を教えてください!中村さん「ハーブやアロマに沖縄県産素材を合わせるミクソロジーバーです。沖縄を体感してほしいので、沖縄素材のものを、沖縄の陶芸家の器にいれて、沖縄のことをお伝えしながら飲んでいただいています。『ネグローニ』のようなクラシックカクテルも、自家製酒をつかったり、花やハーブを使ってアレンジしています。沖縄の文化も知って欲しいので、たとえばカーサームーチーという沖縄の寒いときに食べるお餅を表現したカクテルがあったり、また沖縄だと親戚と一緒に仏壇の部屋に集まってサンピン茶を飲んだりするのですが、その香りを集めたサンピン茶と月桃、白檀のカクテルもありますよ」。Q.沖縄の良さはどんなところですか?中村さん「人の輪の中に入れると、そこから深く繋がれるコミュニティがあることが沖縄の魅力だと思います。バーテンダー同士の仲もいいんですよ。また、沖縄ならではの特徴ある食材が多いので、ここだからというのを作りやすいです。個人的には宮古島や北部で育てているイチョーバーの花(フェンネル)、月桃が好きですね。宮古島のキュイファームさんなど生産者の方と連携しながら、さまざまなハーブもカクテルに取り入れています。カクテルにも花の香りをたくさん取り入れたり、飾っているので香りでも癒されてください」。Q.バーの楽しみ方を教えてください。中村さん「バーってテーマパークみたいなものだと思っているんです。お店によって、コンセプトや空間、カクテル、接客が違うので、その雰囲気を楽しんでいただけたらと思っています。僕もこのお店のほかに、スペシャリティコーヒーと泡盛をコンセプトにしたバー〈琉球ドリンクラボ〉と昼から楽しんでいただく果物と県産食材を掛けた合わせた低アルコールバー〈琉球飲料研究所 晴レノヒ〉を運営していますが、いろいろな入り口を作ることでバーに来てもらうきっかけを作れたらと思っています。バーアルケミストでは、オーダーがしやすいように選べる3種類のカクテルコース(2,800円)として、炭酸系のすっきりしたもの、香りを楽しむもの、味わいがあるものをコースで楽しんでいただけるようにしています。バーは1人で巡ると友達も出来やすいんです。旅先で回るのも楽しいと思います」。次は、中村さんのおすすめの店で上がった〈泡盛倉庫〉に向かいます。カモミールやエルダーフラワー等で香り付けした「白い花のビーズニーズ」1,200円。スモークマシーンや液体窒素、真空調理器などさまざまな器具を使ったカクテルを楽しめる。中村さんとの会話も楽しいカウンター席。中村さんのいるバーはここ沖縄初のミクソロジーバーとして、沖縄県内素材を使ったオリジナルのカクテルを最新の器材を使って提供。自家製のお酒やシロップの種類が多く、沖縄作家の器がさまざまに揃う。同じ那覇市内に姉妹店を2店舗展開。沖縄県那覇市久茂地2-10-19 大城氏貸店舗102号
098-943-8410
18:00〜翌2:00(L.O.翌1:00)3軒目は…〈泡盛倉庫〉バーテンダー・比嘉 康二さん
泡盛コンシェルジュ歴:17年
生年月日:1985年 5月 26日
星座:双子座
血液型:A型
趣味:食べること、飲むこと、ゴルフ。
個人的おすすめ店:沖縄料理は宮廷料理から大衆化されたものまで、振り幅が広いのでいろいろと楽しんでいただきたいです。〈泡盛倉庫〉は心を尽くした宮廷料理を出していますし、沖縄料理だと80歳を超えるお母さんがやっている優しいお味の〈ふくろう亭〉などもあります。泡盛は強くて荒々しいお酒?いえいえ、本来は琉球王朝の王様、お姫様が飲んでいたエレガントなお酒です。そんな琉球と泡盛のストーリーを語ってくれるのが、沖縄で会員制の泡盛専門店を展開する比嘉康二さんです。楽しむコツは泡盛だからこそできる豊かな飲み方を知ること。会員制の扉の奥を特別にご案内します。Q.お店の特徴を教えてください。比嘉さん「飲食を通じて沖縄の物語を届けることです。泡盛は日本で一番歴史ある蒸留酒で、かつての琉球王朝のロイヤルスピリッツです。当時は100年古酒はあたりまえ、200年を超える古酒もあったといいます。暑くて酒が保存しずらいこの土地で、琉球はこの土地に合うものを探しにいきました。そして発酵を日本から、蒸留をアジアからと、文化をミックスして新しいものを生み出したんです。小さな国である琉球王朝が世界と交流するなかで、長年独立を保てたのは、この泡盛と料理、そして音楽などのおもてなしがあったから。泡盛に生かされていまの自分達があると思っているので、泡盛に恩返ししたい気持ちでやっています」。Q.お酒が弱くても泡盛は楽しめますか?比嘉さん「お酒が弱い方には『よかったですね、泡盛がぴったりです』といつもお伝えしているんです。というのも泡盛はストレートで楽しむことができるから。ストレート?と思われるかもしれませんが、氷が入ったお酒やビールなど冷たいお酒は、時間が経つと美味しさのピークから離れてしまうんです。ストレートであれば状態は変わらないので、ゆっくりと飲んで大丈夫。琉球王朝で飲まれていたのも、この小さい盃です。それに合わせて冬瓜の砂糖づけを一口かじると、これはもう琉球王朝の王様と同じ楽しみ方です。カカオニブを合わせたら口の中でチョコレートができますよ。これはもう王様超えですね。ごく少量でもすごく豊かな経験はできるんです」。Q.お店ではどんな体験ができますか?比嘉さん「泡盛はいろいろな食と寄り添って楽しめるものです。おまかせいただけるのであれば、まずは食前は炭酸で割ったサングリア。泡盛とハーブ、果実というシンプルな構成のサングリアは、季節でいろいろなものを用意しています。食中は琉球料理やお刺身と泡盛をペアリングさせていただき、食後は和菓子とともに古酒を盃で楽しんでいただきたいですね。ご提供に合わせて、泡盛の魅力はたっぷり説明させていただきます。みなさんの記憶の中にしっかり言葉を残すことで、日常で泡盛を飲みたいというシーンが増やせたらと思っています。王族の贅沢な楽しみであった泡盛が、いま平和な時代だからこそ取り戻せています。その魅力を世界のアルコールファンに伝えられたらいいですね」。比嘉さんがしてくれるのは、カウンターの上で泡盛を通じた時間旅行。沖縄での旅に深みをあたえ、またこの地に戻ってきたいと思わせてくれるものです。沖縄旅行にバーホッピングの選択肢をぜひ!常時3種類ほど揃う泡盛サングリアのひとつである「ゴーヤサングリア」。高いところから注ぎ、泡の立ち方、切れ方、残り方でアルコール度がわかる酒器カラカラ。ちぶくゎー(小さなお猪口)に注いで。琉球王朝時代にはなかった特注品のガラスの盃も。比嘉さんのいるバーはここ約800種類の泡盛が揃う会員制の泡盛バー。食事に寄り添う泡盛の魅力を伝えるべく、琉球料理も充実。包丁人・比嘉直子さんの見目麗しい料理もお店の魅力です。2万円で永年会員となり、リーズナブルな価格で泡盛を味わえる。会員希望の方には初回体験コースもあるのでお店に確認を。沖縄県那覇市久米2丁目8-14-4F
098-869-0808
18:00〜23:00
日休 

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El Lequio(エル レキオ)
place
沖縄県那覇市安里1-3-3 安里家ビル 1FB
phone
0989759674
opening-hour
19:00-翌2:00
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