ときは1616年。佐賀県のちいさな町で、日本で初めての磁器「有田焼」が産声をあげました。その町は手から手へと受け継がれた技術を誇りに、400年たった今もやきものづくりに情熱をかたむけます。この町でしか生まれ得なかった物語のカケラをさがしに、佐賀県有田町のやきものスポットをたずねました。
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有田焼の「キホンのキ」
有田焼、聞いたことはあってもどんなやきものか知っていますか?まずは「有田焼」のキホンをご紹介。
日本の「やきもの」は一般的に、「陶器」と「磁器」の2種類。
陶器は陶土と呼ばれる粘土から作られるのに対し、磁器である「有田焼」は白色の陶石を原料としています。磁器は、陶石ならではのなめらかな風合いと硬さが特徴。佐賀県有田町とその周辺地域で作られる磁器の食器や工芸品が、一般的に「有田焼」と呼ばれています。絵付けは窯元によってさまざま
その誕生は江戸時代。朝鮮から連れられてきた陶工・李参平(りさんぺい)によって、有田の泉山で陶石が発見されたことに始まります。
「泉山磁石場」は現在採石は行われていませんが、400年間掘り続けられたそのままの姿で残されており、有田焼発祥の地として国の史跡にも登録されています。
むき出しの岩肌や洞穴が残る「泉山磁石場」
時代の変化とともに、絵付の様式や用途が少しづつ変わり、日本独自の工芸品として成熟した有田焼。東南アジアやヨーロッパにも輸出され、その魅力は海を越えていきました。
高級品であり主に観賞用だった有田焼は、戦後になると大量生産され一般家庭で広く利用されるように。毎年4月末~5月初めに行われる「有田陶器市」は、全国から100万人以上のやきものファンが集います。2016年に有田焼は400周年を迎えました。今では海外での和食人気の高まりもあり、有田焼を求めてやってくる外国人客も急増中。有田の風景を彩るやきものたち
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【1】旅のはじまりは「有田駅」から
旅のスタートはJR有田駅。小さな駅舎のところどころに目をやると、有田焼の陶板や時計を発見。壁やホームの片隅で、やきものの町ならではの光景を見つけることができます。
こじんまりした駅舎
駅を中心に見どころが連なる有田町の東西ルートは、歩くとかなり距離があるのでレンタサイクルの利用がおすすめ。駅前すぐの観光施設「KILN ARITA」で自転車をレンタルしましょう。
赤いコンテナが目印!「KILN ARITA」
周辺の予約制駐車場
周辺の予約制駐車場
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【2】つるつる鳥居が鎮座。神秘の青色スポット「陶山神社(すえやまじんじゃ)」へ
有田町を訪れたら、まずは有田焼の守護神さまにご挨拶。有田ならではのちょっと変わったパワースポット「陶山神社」へ向かいましょう。参道の階段を上ると、すぐに線路があらわれるというちょっと変わったつくりにも注目です。
線路を渡ると、これまた急階段があらわれます。鳥居を目指して上りましょう。
頂上に到着すると、そこに待ち構えるのはなんとすべてが磁器でできている鳥居!近づいて見ると、淡いブルーの唐草模様が全体に描かれています。ところどころのひび割れが少し痛々しいですが、そんなことを微塵も感じさせない凛とした佇まい。神々しさを感じます・・・。
青空に映える青の鳥居!
境内には磁器製の奉納物や狛犬など、名工の技を今に伝える陶芸品の数々が。白磁に青い色付けが美しく、あたりに神秘的な空気を漂わせています。
本殿の奥道をさらに数分上がっていくと、日本ではじめて磁器をつくった陶祖・李参平の記念碑が建てられています。有田の町が一望できる絶景ポイントにもなっているので、ぜひ訪れてみて。周辺の予約制駐車場
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【3】塀の向こうはのぞくべからず。「トンバイ塀の裏通り」をそぞろ歩き
有田駅方面へ戻る道すがら、立ち寄りたい裏道が。その名は、「トンバイ塀のある裏通り」。
知らなければ素通りしてしまいそうだけど、これも有田ならではの風景。
トンバイ塀というのは、やきものを焼くための窯を解体したときの耐火レンガの廃材、通称トンバイや器のかけらなどを赤土で塗り固めて作った塀のこと。岩のようなゴツゴツした質感もあれば、均一な形が並んだ塀もあるのは、元々の窯の個性を受け継いでいるから。
江戸時代からあったリサイクル精神!
このトンバイ塀にはもうひとつ逸話が。江戸時代、商人たちが大通りで商売をしていたのに対し、陶工たちは裏通りでやきものを作りながら暮らしていたそう。そんなとき、このトンバイ塀が彼らの製陶技術を守る役割を担っていたんだとか!あるものを生かして作るという粋な発想は、江戸のクリエイターならでは。
塀の向こうはのぞき見注意。
周辺の予約制駐車場
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【4】有田焼に囲まれる異空間!「ギャラリー有田」で玉手箱ランチ
有田散策のランチは、有田駅からほど近い有田焼のショップ兼カフェ「ギャラリー有田」がおすすめ。
数量限定のため事前予約がマスト!
人気は町内の4店舗で提供しているご当地グルメ「有田焼五膳」(税込1300円)。数量限定なので事前予約がマストです。
玉手箱をイメージしてつくられたオリジナルの有田焼のうつわに、5つの調理法で仕上げたありたどりの創作料理が盛られ見た目にも華やか。このちょびっとづつ違う味を楽しめる感じ、女子の胃袋をがっちり掴んでます。
洋問わない有田焼のうつわのバリエーショに、料理欲もアガる!
ランチタイムはひっきりなしにお客さんがやってきて大にぎわい。2000客の有田焼コーヒーカップが四方を囲む、個性的な店内空間も人気の理由です。
ランチセットのドリンクはホットを選ぶと、店内のカップの中から好きなものを選ぶことができてコーヒータイムもちょっと特別な気分。
あったかいイエローと清楚な小花にほっこり。
周辺の予約制駐車場
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【6】背中が語るうつわづくりの“原風景”。「源右衛門窯(げんえもんがま)」で工房見学
400年経った現在も、この有田町で作られ続けている有田焼。そんなうつわづくりの現場を体感するべく、一般に工房を開放している貴重な窯元「源右衛門窯」へ。
背もたれは、源右衛門窯トレードマークの梅文。
一歩工房に足を踏み入れると、しんとした静けさに一瞬で包まれ背筋がピンと伸びるのを実感。ろくろを回す人、筆を一心に動かす人、それぞれ同じスペースにいるのですがお互いが個々の作業場につき、言葉を交わすことはありません。その眼差しは常に目の前のやきものたちに注がれています。
昔ながらの土間の工房
この姿勢をずっとキープされていました。。。
窓側に向かって座り作業を行うこのスタイル。これは、電気のなかった時代に日の光をたよりに作業を行っていた名残だそう。背中越しに手元を見させてもらうと、思わず息を止めてしまうほどの繊細さ。陶工の方は迷いなく筆を走らせ次々と作品を手がけています。
陶工がやきものと対峙する瞬間に立ち会えたことにとても感動しました。ギャラリーに賑わう女性を眺めながら、「海外の皿文化に対して、日本には四季があり、行事やイベントごとに使ううつわも変わる。日本の女性が世界でいちばんうつわ好きだと思います。」と語る源右衛門窯の社長・金子昌司さん。
260年の歴史をもちながら、手しごとへの情熱はそのままに、近年はニーズに合わせたモダンなデザインも多く作っているそう。
「うちの食器でごはんを食べてほしいです。」という敷居の低さ。これが源右衛門窯ファンを増やし続けているのかもしれません。この梅文が描けるようになると一人前の職人になるそう。
源右衛門窯にある薪窯は、今では有田町にも数えるほどしかない貴重なもの。現在は焼き上がりを均一化するためガス窯をメインに使用しているそうですが、窯は使わないとダメになってしまうので、1年に1回、4人体制で30時間もの焼き上げが行われているそうです。
薪に使うアカマツの灰とガラ成分が化学反応して、窯内の壁はチョコレートのような質感に。
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おおきなおおきな「うつわ」みたいな町
異国の地で有田焼の原石を発見した、朝鮮人の李参平。それから400年たった今、この町では彼を陶祖として敬い、つくる人・売る人・伝える人それぞれがお互いを認め合い尊敬しながら暮らしています。有田焼を誇りに、あたたかなおもてなしで迎えてくれる町の人も魅力のひとつ。きっと町全体が大きなうつわとなって、訪れる人をやさしく受け止めてくれるでしょう。
大きな煙突は有田町のシンボル。クリスマスはサンタが現れるという。
周辺の予約制駐車場
2017.12.19
NAVITIME TRAVEL EDITOR