2016.7.12更新

浦和レッズとの隠れた関係? 地域密着型の博物館

さいたま市立浦和博物館

  • 芸術・文化施設

「さいたま市立浦和博物館」は、3万年にわたる地域の人々の生活を示す資料を収蔵した博物館。地域資料の展示なので、出張などでこのあたりに訪れた人にとって興味を惹かれる展示物など、そう多くはないかも知れません。ただ、明治初期に建てられた洋館を模したレトロな建物は必見。この洋館とサッカーチーム・浦和レッズとの関係を知れば、この地域の歴史にも興味が湧いてきます。

明治時代の洋館を模したレトロな建物

さいたま市立浦和博物館 JR北浦和駅から「さいたま市立浦和博物館」へは、バスで20分ほど。この施設の一番の特徴は、そのレトロな外観。明治11年(1878)に建てられた埼玉県師範学校の建物中央部分の外観を模して復元したものです。明治天皇が北陸巡幸された際、この校舎を行在所としたのですが、同行していた三条実美が校舎の外観を見て「鳳凰が翼を広げて翔び立つさま」に似ているといったことから、「鳳翔閣(ほうしょうかく)と名付けられたそうです。
鳳翔閣はその後、埼玉県女子師範学校、埼玉県立図書館として利用され、昭和34年(1959)に老朽化を理由に解体。関東大震災や第二次世界大戦のあった激動の時代を見守ってきた建物といえるのです。

優れた洋風建築の技術で建てられた鳳翔閣

さいたま市立浦和博物館 館内1階は展示室。回廊になった2階部分には、かつての生活の道具や、地域を代表する画家の絵画などが展示されています。
大きな窓からは、エントランスの上にあるバルコニーが見えます。バルコニーには、柱で支えられた切妻屋根の庇がかけられていますが、こうした建築様式は、ルネサンス期(14〜16世紀)から19世紀末の西洋建築物によく見られるものです。
柱の上端をよく見ると、葉の彫刻があります。「アカンサス」と呼ばれる植物の葉を模したもので、東京芸術大学などの校章にも使われているそうです。旧鳳翔閣の柱や柱頭は、1階の入り口近くに展示されていますので、当時の技術を自分の目で確認してみましょう。

浦和レッズのエンブレムになった鳳翔閣

さいたま市立浦和博物館 サッカーファンであっても、浦和レッズのエンブレムの上に、洋風の建築物が描かれていることに気づいている人は少ないかもしれません。実はこの建物、鳳翔閣をイメージしたものなのです。よく見れば、描かれている建物の中央部分が、浦和博物館の外観と同じことに気づくはずです。
埼玉県のサッカーは、明治41年(1908)に埼玉県師範学校で始まりました。当時の埼玉県師範学校は、現在のさいたま市役所の場所にあったため、市役所の敷地には「埼玉サッカー発祥の地」の碑があります。埼玉のサッカーはここで生まれ、鳳翔閣で育ったといえるでしょう。意外なルーツ、アナタは知っていましたか?

さいたま市立浦和博物館の基本情報

住所 埼玉県さいたま市緑区三室2458
アクセス JR京浜東北線「北浦和」駅東口より東武バス・市立病院行き利用
JR京浜東北線・高崎線・宇都宮線「さいたま新都心」駅東口より東武バス・市立病院行きを利用
JR京浜東北線・高崎線・宇都宮線「浦和」駅東口からは国際興業バス・さいたま東営業所行き、または南台行きを利用。いずれのバスでも、さいたま市立病院バス停で下車してすぐ
お問い合わせ 048‐874‐3960

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大江戸 みらい

大江戸 みらい
みなさま、こんにちは。ちょっと保守的な私は、旅行に行くときはとりあえずガイドブック片手に、定番観光地をまわります。
でも一言で定番と言っても、いろんな楽しみ方があると思うんです。温泉地一つ取っても見るべきものは沢山ありますよね?
私の記事はそんな紹介の仕方ができたらいいなと思いながら書いています。拙い文章ではありますが、少しでも参考にしていただけると嬉しいです。

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