奥津温泉
吉井川上流に湧く「美人の湯」として人気の名湯
美肌になれると評判の湯
岡山県の県北にある「湯原(ゆばら)温泉」「湯郷(ゆのごう)温泉」「奥津(おくつ)温泉」の3つはまとめて「美作三湯(みまさかさんとう)」と呼ばれる。なかでも、吉井川の上流に数軒の宿が並ぶ奥津温泉は、大きな規模のホテルや、派手な看板の土産店などはなく、「ひなびた」という表現が似合う静かな温泉地だ。泉質はアルカリ性単純温泉で、ヌルヌルと体にからむようなお湯は、肌がすべすべになるという評判から「美人の湯」として古くから名を馳せてきた。効能が高いとされ、たくさんの湯治客を迎え入れきた歴史をもち、1691年(元禄4)の『作陽誌』には、さまざまな病気や怪我に効き、岡山城主宇喜多秀家のいとこである詮家(あきいえ)が訪れたのを契機に入浴客が増えたことが記されているという。現在は9軒の宿のほか、吉井川の河原に「足湯」として利用できる露天風呂や、日帰り温泉施設の「花美人の里」がある。
映画『秋津温泉』のロケ地
この温泉地を一躍有名にしたのは、昭和に活躍した女優・岡田茉莉子(おかだまりこ)が主演した1962年(昭和37)の映画『秋津温泉』だろう。岡山県備前市ゆかりの直木賞作家・藤原審爾(ふじわらしんじ)が奥津温泉をモデルにして書いた小説『秋津温泉』を原作に、岡田茉莉子自身が企画、吉田喜重(よしだよししげ)が脚本・監督を担当し、実際に奥津温泉や津山市でロケが行われた。岡田が山奥の温泉宿の娘を演じたこの映画は、悲しい青春ロマンの傑作といわれる。最近、DVDが発売され、再び注目されているので、昭和時代の奥津温泉の景色をスクリーンで観てみるのもおもしろい。
藩主のひとり占めした湯を楽しむ
映画『秋津温泉』が大ヒットし、観光客が増えたことを受け、1964年(昭和39)に旧奥津町観光協会が「足踏み洗濯」を復活させた。もともとはクマやオオカミに襲われないように立ったまま周辺を見張りながら洗濯したのが由来といわれる。現在もこの「足踏み温泉」は奥津温泉のシンボル的光景で、3月から12月の日曜の朝のみ実演され(不定期なので要確認)見ることができる。地元の「奥津温泉足踏み洗濯保存会」のメンバーが、黄色い帯、赤いたすきの着物姿でスピーカーから流れる『奥津温泉小唄』にあわせ、湯を桶でかけながら、器用に洗濯物を足で踏んで汚れを落とす。また、江戸時代の津山藩主が鍵をかけ、庶民の入湯を禁じたとされる浴場「鍵湯」は今も1927年(昭和2)創業の「奥津荘」に残っている。日帰り入浴をできるので、ぜひ足元から湯が自噴する温泉をゆっくり楽しみたい。徒歩3分ほどの場所には「道の駅 奥津温泉」があり、近隣の特産品の販売コーナーや「おばちゃんの味~温泉亭~」という名前のバイキングを楽しめる食事処が人気となっている。車で5分ほどのところには、新緑や紅葉の美しい「奥津渓」がある。
スポット詳細
- 住所
- 岡山県苫田郡鏡野町奥津 地図
- エリア
- 蒜山高原・津山・美作三湯エリア
- 電話番号
- 0868520711
- 泉質
- アルカリ性単純温泉
- 効能
- 神経痛、皮膚病、リウマチ
- 泉温
- 36-43℃
- 源泉数
- 8
- 湯量
- 1500リットル/分
- 共同浴場数
- 0(足湯1)
- 日帰り温泉施設数
- 2
情報提供: ナビタイムジャパン