宇奈月温泉

黒部峡谷の入口として栄えた100年の歴史を誇る温泉街

黒部峡谷の玄関口として、1923年(大正12)の開湯以来、文人墨客に愛されてきた富山随一の温泉郷。黒部川沿いに旅館やホテルが建ち並び、せせらぎを聞きながらやさしい湯に浸かりたい。

富山地方鉄道宇奈月温泉駅は宇奈月温泉のシンボル

温泉街といえば、足湯を利用する観光客は多い。宇奈月温泉には「おもかげ」「カフェボンフィーノ」「くろなぎ」、宇奈月温泉総湯「温めどころ宇奈月」の4か所があり、しばらく浸かるだけで体中がぽかぽかしてくる。なかでも、くろなぎは、富山地方鉄道宇奈月温泉駅の駅内と駅外が柵で隔てられているが、お湯でつながっている珍しい足湯だ。また、温泉街の中心にある宇奈月温泉総湯は、「地域のお風呂」として愛されている。2階に「桃の湯」、3階に「月美の湯」があり、男女が日替わりで入れ替わる。

足湯のすぐ隣は駅のホームとなっている

総湯のイメージを一新した外観

日帰り温泉も見逃せない。宇奈月温泉には10のホテルと旅館があり、日帰り温泉を設定しているところも少なくない。2019年(平成31)にリニューアルオープンした「やまのは」は、黒部峡谷のせせらぎを最も間近で聞ける展望露天風呂「棚湯」が評判を呼んでいる。日帰り温泉(1200円)は13時から16時まで利用でき、ハンドタオルやバスタオルはレンタルとなっている。予約は不要。ラウンジが無料で使え、コーヒーも無料で提供している。

遠くには黒部峡谷トロッコ電車の新山彦橋も見える

ぶらぶらと黒部峡谷鉄道宇奈月駅方向に温泉街を歩いていくと、左手にしゃれたスイーツ店「アルペンチーズケーキ」がある。看板メニューは「幻のアルペンチーズケーキ」(660円)。フランスのアンジュ地方の「クレームダンジュ」と呼ばれるチーズケーキで、黒部産牛乳の自家製チーズを使用している。雪山をイメージしたフォルムで、口に入れると魔法のように溶けてしまう。賞味期限が10分というイートイン限定のメニューとなっている。

テレビで取り上げられたこともある。ベリーソースがアクセントに

さらに歩くと、宇奈月駅近くに「黒部川電気記念館」がある。黒部川電源開発の歩みや水力発電について学べるPR館。入って右にある「水のテーマシアター」で、水と光がコラボレーションした演出にしばし見入る。また、トロッコ電車に乗った気分になれるシアターや、くろよん建設工事で最難関だった「大町トンネル工事」の現場をイメージした体感コーナーなど、先人たちが過酷な自然と闘いながら挑んだ歴史を振り返ることができる。

大町トンネル工事では、破砕帯に苦しめられながら掘り進んだ不屈の精神が感じられる