函館山

豊かな自然と世界に知られる美しい夜景、そして軍事要塞が眠る函館山

夜景の名所として知られる函館山。2011年(平成23)には「函館山からの眺望」が『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』の3つ星に選ばれた。近年は軍事要塞の遺構を観賞できるスポットとしても人気になっている。

函館山の南に広がる千畳敷付近から、大きなアンテナが目印の山頂を望む} 函館山の南に広がる千畳敷付近から、大きなアンテナが目印の山頂を望む

夜景を見るなら登頂時間には要注意!

函館山は標高334m。東京タワー(333m)と高さがほぼ変わらない低山だ。だがその山頂からは函館市街地が一望でき、晴れた日には津軽海峡や下北半島まで見渡せる。世界三大夜景として有名な函館山からの眺望をたっぷり楽しむなら、日没前に山頂へ。1時間ほど前に上がれば、昼間の光景も夜景撮影に最適といわれる黄昏時の時間も楽しめる。山頂までは函館山ロープウェイを使えばわずか3分だ。車やバスで向かう方法もあるが、混雑を避けるため、レンタカーとマイカーは17:00~22:00の間、函館山登山道が通行禁止となる。また繁忙期の展望台はラッシュアワー並みの大混雑。スリに注意の看板があるほどだ。あえて時間をずらして、すっかり日が落ちてから夜景だけを見に行くのもいいだろう。

125人乗りのロープウェイは15分間隔で運行している} 125人乗りのロープウェイは15分間隔で運行している

両側から海が迫る。市街地のイルミネーションと漆黒の海の対比が美しい} 両側から海が迫る。市街地のイルミネーションと漆黒の海の対比が美しい

ユニークな地形と戦争遺構が見どころ

太古の噴火によってできた函館山は、長い時間をかけて砂が堆積し近くの半島とつながった陸繋島(りくけいとう)だ。函館の市街地はこの堆積した砂の上にある。実は函館山という山はなく、13の山が連なって形成されており、この連なりを総じて「函館山」と呼んでいる。牛が寝そべるような姿をしていることから「臥牛山(がぎゅうざん)」の別名もある。展望台のある山頂は正しくは「御殿山」という。函館の名所・五稜郭同様に函館山も戦争遺構だ。五稜郭は幕末の戊辰戦争で、最終局面の戦いの地となった。函館山は明治時代の日清戦争終結後、日露戦争に備え函館や津軽海峡の防衛目的で砲台が建設され軍事要塞に。1899年(明治32)から入山禁止となっていた。

函館湾を望む場所にある山頂広場。展望台は雲海に包まれる日もある} 函館湾を望む場所にある山頂広場。展望台は雲海に包まれる日もある

ハイキングコースを進めばさらに発見がある

函館山には11本のハイキングコースが設定されている。軍事要塞としての役目を終え、一般開放されたのは1946年(昭和21)。入山禁止が功を奏し自然環境が保護され、約600種の植物と150種の野鳥が生息する「鳥獣保護区特別保護地区」に指定された。またこのハイキングにはもうひとつの楽しみが。函館山には低地観測所など多くの要塞関連施設が建てられ、現在はそのうち18か所が残り、6か所が一般公開されている。ハイキングコースを進むとこれらの軍事遺構を見学できるのだ。「函館山と砲台跡」は2001年(平成13)に北海道遺産に選定されている。車ならばつつじ山駐車場で降りれば、御殿山第2砲台跡がすぐそばにあり気軽に見学できる。

御殿山第2砲台跡。丸い部分が砲座、つまり砲台が置かれていた場所} 御殿山第2砲台跡。丸い部分が砲座、つまり砲台が置かれていた場所

つつじ山駐車場から入れる千畳敷コースを50分ほど歩くとある戦闘司令所跡} つつじ山駐車場から入れる千畳敷コースを50分ほど歩くとある戦闘司令所跡

函館山の展望台があるのも軍事要塞の上

ハイキングの前に「函館山ふれあいセンター」に立ち寄ると、散策コースや動植物の説明もしてもらえる。ボランティアガイドと回るツアーも行っているので、より詳しく楽しみたい人は利用してみるといい。センターは、ロープウェイの乗り場となる山麓駅から車で1分ほどの距離にある。函館は見どころが多いので「ハイキングの時間はないけど、軍事要塞も少し見たい」という人は、山頂展望台の駐車場から「漁火広場」に降りてみよう。階段のそばに御殿山第1砲台の名残が見られる。「立ち入り禁止」という柵と、ほかの建物と違う石垣が目印。なお御殿山第1砲台自体は、安全上の理由から一般開放はしていない。函館山の展望台も、軍事要塞跡の上に立っているのだ。

建物と建物の間に挟まれ、ここだけ雰囲気が異なるのですぐに見つけられるはず} 建物と建物の間に挟まれ、ここだけ雰囲気が異なるのですぐに見つけられるはず

スポット詳細

住所
北海道函館市 map map 地図
エリア
函館エリア
コース1
旧登山道コース
函館山の代表的な旧登山道コース。旧登山道コース入口からつつじ山駐車場までの行程で、広く緩やかな道で遠足などでも歩かれている初心者向き。山道に入って数分登ると左には汐見山コースやエゾダテ山コースの入口がある。樹林の広く緩やかな道を一合目、二合目と登っていき、三合目、野鳥観察小屋をすぎると薬師山コースに分かれる。標高279mの七合目のすぐ先がつつじ山駐車場で、千畳敷への道や観音コースに分かれる。山頂展望台の日暮れ後は日本三大夜景。人ごみは言わずもがな。
コース2
観音コース
観音コース入口よりつつじ山駐車場までのほぼ縦走的な北川のコース。登山口が判り難いが危険な箇所はなく、要所に案内図が設置されている。称名寺の裏手に登山口があり、そこからはのんびりと林の中を進むコース。西国三十三カ所霊場の土と共に、観音像を函館山に安置し、西国霊場参りを手軽におこなわれるようにしたことに始まる函館山三十三観音をめぐるコース。33番観音は称名寺の墓地の中にあるので、見つけられない人が多いようだ。
コース3
入江山コース
つつじ山駐車場から千畳敷コースに向かう途中、入江山に入るコース。距離は短いが、道幅が狭く鬱蒼とした獣道。マムシなどに注意。道中には津軽要塞(旧函館要塞)の軍事施設が残存しており、函館山における戦時の緊迫した様子を肌身に感じられる。山頂にある観測所跡からは要塞跡を360度見渡すことが出来る。好天時には函館湾や上磯方面の町並み、遠く木古内の方面までも見渡せる。
コース4
千畳敷コース
つつじ山駐車場から函館山要塞砲台跡を見て千畳敷休憩所に向かうコース。眼下に津軽海峡が広がるゆるやかな道が続くが、木陰が少なく好天時は日差しが強く照りつける。千畳敷見晴所からは駒ケ岳や下北半島、津軽海峡も見渡せ、函館山ロープウェイ山麓駅のある山頂展望台がほぼ一直線上に見える。テレビ番組で放送される函館夜景ベストスポットとしても有名。
コース5
地蔵山コース
千畳敷休憩所から地蔵山見晴所までのコース。地蔵山見晴所では、眼下に津軽海峡が広がり爽快な気分に。見下ろすと立待岬の裏側が見えるが、崖っぷちなので足元に注意が必要。コースに入ってからはなだらかな登山道が続く。展望台には東屋があり、函館市街が一望できる。9月中旬頃の風に揺れるススキは見事。
コース6
七曲りコース
地蔵山見晴所と七曲りコース入口を繋ぐコース。立待岬の駐車場から山麓沿いの道路を歩くと5分ほどでコースの入口に着く。登り口は階段が設けられ、最初のうちは歩きやすいが、地蔵山見晴所に向けて草木が茂り、傾斜もきつくなってくる。ルート名どおり、つづら折りの道は曲がり角が27箇所続く。木々の間から時折見える眼下の景色を楽しみながら無理せずにゆっくりと登りたいが、結構きつい。
コース7
汐見山コース
街側から御殿山方面に向かうコースで、登山道合流地点から水元山へ登るルート。函館山管理事務所傍の車道沿い、一番観音の向かいに入口がある。尾根を蛇行しながら登っていく道は、斜度もきつく道幅も狭い、健脚者向きのルート。道の横は直角に近い山肌なので、ロープが張られている箇所も。登りきれば平坦な尾根歩き。木々に遮られ直射日光がほとんど当たらない道では、様々な形の植物が見られる。
コース8
薬師山コース
旧登山道コース合流地点から薬師山を経て函館山へ登るコース。函館市外の眺めが良い。旧登山道コースの三合目、野鳥観察小屋を過ぎると薬師山コースが分かれている。右手に函館市街を見ながら、細い道を緩やかに登っていくと、要塞跡の薬師山。山頂手前では眼下にハリストス正教会が見られる。好天時であれば、山頂からは遠く恵山も望め、ロープウエイが目の前を行き交う。入り口にはシマリスがいることが多く、運がよければ見られるかも。
コース9
エゾダテ山コース
登山道合流地点から宮ノ森コース合流地点までのコース。90段ほどの階段を登り、エゾダテ山頂へ向かう。登りはきつく、道幅も狭い。序盤から獣道なので、防水処理されたウェアがあると良い。とどめの超急勾配を登りきったらエゾダテ山山頂に到達。あまり歩かれていない雰囲気で里の草が多い山道。函館の静かな秘境的観光地、森林浴に最適。
コース10
宮ノ森コース
登山道合流地点からエゾダテ山コースを経由して碧血碑広場までのコース。道幅は狭く、景色は木々に遮られておりほとんど望めないが、ほどよいアップダウンがあり、体憤らしにはちょうど良いコース。トリカブトの群落があり、夏の終わり頃には見事な花を咲かせる。樹林の木道などを歩いていくと、箱館戦争で戦死した土方歳三など旧幕府脱走軍戦死者の霊を弔っている碧血碑の立つ広場に出る。

情報提供: ナビタイムジャパン

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最寄り

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