稲毛海浜公園

「いなげの浜」のウッドデッキ。晴れた日には富士山や東京スカイツリーも遠望。東京湾越しに沈む夕日の美しさでも知られる

ホワイトビーチに生まれ変わったいなげの浜

海浜ニュータウンの海側、東京湾沿岸に位置する稲毛海浜公園は、全長約3kmの規模の大きな総合公園。この公園のいちばんの特徴は、約1.2kmにわたるホワイトビーチだ。古くから遠浅の景勝地であった稲毛海岸は、東京からの避暑地、保養地として知られていたが、昭和30年代後半からの臨海部埋め立て工事によって美しい海岸線は消失。その後、以前の自然を復活させようと1975年(昭和50)に「いなげの浜」が造成され、国内初の人工海浜が誕生した。潮流や波浪の影響で砂浜が大きく侵食される状態が続いたが、2019年(令和元)には大規模なリニューアル工事が行われ、オーストラリアから取り寄せた白い砂が一面に敷き詰められた。さらに2022年(令和4)には砂浜から「海へ延びるウッドデッキ」がオープン。グランピング施設も新設され、都市部の近くで海を感じながらリゾート気分を味わえる場所として注目を浴びている。

「いなげの浜」から隣接する「検見川の浜」「幕張の浜」と続き、総延長約4.3kmと人口海浜としては日本一の長さ

黒松の散歩道や水鳥が遊ぶ庭園も

園内を歩いてみると、魅力的な散策路がいくつもある。かつての稲毛海岸で見られた白砂青松の景観を取り戻そうと、1981年(昭和56)に市民の手で6万本の黒松の苗木が植えられた。「磯の松原」と呼ばれ、大きく成長した黒松の下は格好の散策路になっている。開放的な和風の庭園には大きな「浜の池」があり、その周囲にはバードウォッチングを楽しむ人の姿が絶えない。公園の中央には広々とした「芝生広場」や遊具が備わった「パルコース」というエリアもあり、子ども連れからシニア世代まで思いおもいに公園でのひとときを過ごしている。

「磯の松原」は「日本白砂青松100選」にも選定されている

「浜の池」の周囲にはゆるやかな芝生の斜面に松が植えられ、水と緑の気持ちのいい空間が広がる

ネットクライムなど子ども向けの遊具や健康遊具が設置されている「パルコース」

文化施設、運動施設も魅力がいっぱい

約83万平方メートルある広い公園内には文化施設もそろう。四季を通して花が楽しめる植物園「千葉市花の美術館」(2023年10月現在大規模改修工事のため休館中)や、茶室の貸し出しも行っている「稲毛記念館」、緑に囲まれた「野外音楽堂」などが点在。そのほか、「いなプー」の愛称で親しまれる「稲毛海浜公園プール」、野球場、テニスコート、ヨットハーバーもあり、一年を通してさまざまなスポーツやレジャーを楽しめる拠点となっている。

「稲毛記念館」の1階には稲毛の歴史やゆかりの文化人についての展示も。3階には公園全体や東京湾を見渡せる展望室がある

1500人を収容できる「野外音楽堂」。人気の野外フェスの会場にもなっている