王塚装飾古墳館

博物館/科学館

壁画の華やかさや細密さで群を抜く装飾古墳

王塚古墳とは日本を代表する超一級の装飾古墳。石室には豊かな色彩の壁画が描かれ、保存状態もよいことで有名だ。王塚装飾古墳館では、通常見ることのできない石室を再現し悠久のロマンへ誘ってくれる。

小高い所にある住宅街のなかに王塚古墳はある} 小高い所にある住宅街のなかに王塚古墳はある

装飾古墳では日本で初めて国の特別史跡に

福岡県の筑豊地方にある桂川町(けいせんまち)。1934年(昭和9)の夏、どこにでもあるような小高い丘で土砂採取工事が始まった。すると、工夫が打ち下ろしたツルハシの下にぽっかり穴が空いた。それが古墳の石室だったという。その後の調査でこの丘は6世紀前半に造られた前方後円墳とわかり、1937年(昭和12)、国の史蹟に指定。1952年(昭和27)には装飾古墳としては日本で初めて国特別史跡となった。
古墳は発見当時に行われていた工事で半分以上が失われていたが、完全に復元すると全長が約86m、後円部の径の大きさが約56m、前方部の幅が約60mに及ぶことがわかり、筑豊地方から北の響灘(ひびきなだ)へと流れる遠賀川(おんががわ)流域の古墳では最大のものと判明している。石室内の壁面全体に色鮮やかな文様が描かれていたが、壁画は大雨による浸水やカビにより損傷し始めていた。そこで、1987年(昭和62)から保存整備工事が始まり1993年(平成5)に完了。石室は密閉され、一般公開されるのは気候の安定した春と秋の年2回だけになっている。

古墳の形をデザインに取り入れた王塚装飾古墳館} 古墳の形をデザインに取り入れた王塚装飾古墳館

原寸大で再現された石室に興味津々

この古墳について詳しく知ることができるのが隣接する王塚装飾古墳館だ。館内は常設展示室や企画展示室、レクチャー室などに分かれている。常設展示室に入ってみよう。印象的なのは入り口だ。石室に描かれている「三角文(さんかくもん)」をイメージした鏡が天井や壁面に使われ、まるで万華鏡を思わせるデザイン。現代から時間をさかのぼり古墳時代に向かうタイムトンネルといった雰囲気だ。展示室内は3つのテーマ「古墳がつくられた時代」「特別史跡王塚古墳」「装飾古墳の時代」からなり、古墳時代の様子をパネルやジオラマ、模型などで教えてくれる。

万華鏡を思わせるしつらえがユニークな展示室入り口} 万華鏡を思わせるしつらえがユニークな展示室入り口

順路に従って見ていくと古墳への理解が深まる展示室内} 順路に従って見ていくと古墳への理解が深まる展示室内

興味を引くのは、やはり石室が原寸大で再現された「特別史跡王塚古墳」だろう。石室は前室と遺体を安置した後室で構成されている。その前室に入るとゴツゴツした石を積み上げてできた小さな空間が広がっていた。その先にしゃがまないと潜れない小さな穴が開いている。後室への入り口だ。入った先の空間が圧巻で、天井から壁にわたり、赤や黄、緑、白、黒、灰色を使って三角形や波型、円形といった幾何学模様や馬、盾などの絵がびっしり描かれている。絵の具は粘土がおもな原料で、かなり厚く塗られ、また色数は日本で見つかった装飾古墳のなかでは最多だという。

再現された王塚装飾古墳の前室。中央下部の小さな入り口から後室へと入ることができる} 再現された王塚装飾古墳の前室。中央下部の小さな入り口から後室へと入ることができる

後室内は壁から天井まで模様や絵に彩られている} 後室内は壁から天井まで模様や絵に彩られている

数多くの副葬品も出土し、すべてが国の重要文化財

古墳には100点を超える副葬品も残されていた。鞍やあぶみ、轡(くつわ)などの馬具類、大刀や鉾(ほこ)、鏡、土器と多様で、すべて国の重要文化財に指定。常設展示室には、それらのレプリカが展示されている。全国各地に古墳は点在するが、装飾古墳の多くが九州地方に集まっているという。そのなかで壁画の華やかさや細密さで群を抜いているのが王塚古墳だ。ただ、この古墳が誰の墓なのか、いまだに解明されていない。

出土品のひとつ「変形神獣鏡」。鏡を包んでいた布が付着していたことから、当時の布地の材質を探る手がかりになっている} 出土品のひとつ「変形神獣鏡」。鏡を包んでいた布が付着していたことから、当時の布地の材質を探る手がかりになっている

展示室には王塚古墳の発見から保存整備にいたるまでの足跡が紹介されている} 展示室には王塚古墳の発見から保存整備にいたるまでの足跡が紹介されている

スポット詳細

住所
福岡県嘉穂郡桂川町寿命376 map map 地図
電話番号
0948652900
時間
9:00-16:30
休業日
月(祝日の場合は翌日)、12/29-1/3
料金
【入館料】
[大人]330円
[中・高生]160円
[小学生]110円
※団体(20名様以上)割引あり
※身体障がい者手帳の方及び付き添い者1名無料
※土は高校生以下無料
駐車場
あり(58台/うち障がい者用2台・バス6台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり(keisen_free_Wi-Fi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 王侯将相寧んぞ
    3.0 投稿日 : 2022.09.04
    国道200号から小径に入って暫くの所にあります。ナビ必携。入館料330円が団体割引270円。石室から先の撮影はご遠慮ください、とのこと。頭上注意。令和4年度秋季特別公開は残念ながら諸般の事情により中止となっています。
  • 装飾古墳の展示
    4.0 投稿日 : 2019.08.01
    数週間前に熊本県山鹿市の装飾古墳の展示施設をみてきたばかりだったので興味深くみることができました。受付で入場料を払いアンケートに記入すると枝折とクリアファイルをもらえました。館内は最初は写真撮影可能、後半は不可となっていました。北部九州に多い装飾古墳ですが、細かいところでいろいろと違うことがわかる解説がされていて高松塚古墳についても触れていて興味深いものでした。見学のあと隣の古墳の見学をしました。
  • 装飾古墳を知らずに,古墳を語る事なかれ。
    4.0 投稿日 : 2019.06.04
    福岡県のJR桂川(けいせん)駅より徒歩で10分位の装飾古墳の王塚古墳に隣接して常設展示のためにあります。展示館の建物は前方後円墳の形になっています。展示室のメインに、石室のレプリカを配置しています。古代のロマンに思いを寄せて見学するのは楽しいです。ラバー製のキーホルダーが300円で入手できます。また、今年(2019年・令和元年)10月19日・20日の両日ともに古墳館のとなりの王塚古墳の石室が特別公...

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アクセス

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最寄り

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