菊ヶ浜
萩城址と島々を一望にする城下町に面した美しい海岸
松原と白砂が美しい萩を代表する景勝地
萩城下町を北に向かって突き当たりまで行くと、松の生えた砂浜へ出る。中心部から歩いてもわずか10分ほどの距離だ。ここは菊ヶ浜と呼ばれ、その名は地元の豪商であった菊屋家が一帯を整備し、藩に寄進をしたことからつけられた。砂浜は日本海に突き出た萩城址のある指月山を西の始まりとして、萩湾に沿って萩商港方面まで東西およそ1kmも続く。周囲の山と沖合の島々の緑、青い空と海に映える白い砂浜は、幕末の志士たちも愛したであろう美しい風景だ。松林には樹齢200年を超える古木もあり、まさに歴史ある萩の町にふさわしい。「阿武の松原」として平安時代後期編纂の「金葉和歌集」にも詠まれ、江戸時代に諸国の名所案内を書いた「日本名所記」にも掲載されている。古くから萩を代表する景勝地で、地元の人に親しまれてきた海岸なのだ。夕景のすばらしさでも知られ「日本の夕陽百選」にも選ばれている。
大自然が生み出す世界でここだけの特別な景観
砂浜を背に左手に見えるのは標高143mの指月山。慶長年間、その山麓に毛利氏が居城を築き、頂上には天守閣があった。このため城山とも呼ばれている。日本海に突き出し三方が海の高台で、東は見通しの良い菊ヶ浜、西は侵入を拒む阿武川河口、まさに天然の要塞として絶好の地形だった。山は暖かい対馬海流の影響で温暖帯照葉樹の原生林が茂り、城内林として守られてきたことから樹齢600年を超える巨木も多く、国の天然記念物にもなっている。現在は石垣や堀が残る指月公園として整備されている。菊ヶ浜の東の終わりのさらに先、右手に見えるのは標高わずか112mの小さな火山「笠山」。沖合いには「萩六島」と呼ばれる大島や相島といった小さな島が浮かぶ。これらの島々は火山性の「安山岩」でできていて上部が平べったい。いわば小さな溶岩台地が海に浮かんでいるような光景で、世界中でもここでしか見ることができないという。
海水浴場としても人気のスポット
波が静かで水質が良く、海水の透明度の高い菊ヶ浜は、海水浴場としても人気が高く「快水浴場百選」にも選ばれている。夏にはマリンスポーツを好む若者からファミリーまで多くの人たちが訪れる。海水浴場のオープン期間中には海の家や飲食店が立ち並び、ほかのシーズンの静けさとは異なる賑やかな菊ヶ浜を楽しめる。期間中はライフセーバーも常駐し、安心して海遊びを楽しめる配慮がされているのもうれしい。また例年8月1日には「萩・日本海大花火大会」が開催され会場となる。日本海をバックに打ち上げられる7000発の花火は壮観。夏に萩を訪れるなら、これに予定を合わせるのもおすすめだ。
遊覧船から見る菊ヶ浜もまた格別
菊ヶ浜を海から楽しむ方法もある。萩城址近くから出発し、川の上から萩の町を楽しむことのできる「萩八景遊覧船」は、天気の良い日には川から海へ出て日本海沖まで案内してくれる。指月山の萩城の石垣を間近に見ることができ、火山噴火でできた沖合の島々「萩六島」、外国船襲来に備え幕末の女性たちが主となって築いた「女台場(おなごだいば)」など、さまざまな史跡や風景を船ならではの視点で楽しむことができる。もちろん菊ヶ浜も、海の上から眺めるとまた格別だ。海を手前に白砂青松の長い砂浜がなだらかに続くのがよくわかり、その先に広がる萩城下町へも思いを馳せることができる。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン