旧崇元寺第一門及び石牆

歴史的建造物

中国から来琉した冊封使(さっぽうし)が最初の儀式で訪れた崇元寺

かつて琉球国王の霊位を祀る国廟(こくびょう)だった崇元寺。重要文化財に指定されている美しい石門や石垣を眺め、「下馬碑(げばひ)」や「崇元寺御獄(すーぎーじうたき)」、「長虹堤(ちょうこうてい)」など、崇元寺にまつわる歴史をたどってみよう。

内側から見る石門は鮮やかな緑と共存していてフォトジェニック。いつでも無料で入場可能} 内側から見る石門は鮮やかな緑と共存していてフォトジェニック。いつでも無料で入場可能

国王の霊位を祀り、儀式を行う格式高い寺

崇元寺は臨済宗の寺で、山号を霊徳山(れいとくざん)といい、琉球の歴代国王の霊位を祀る国廟(こくびょう)であった。創建年代は不明だが、宣徳年間(1426-1435年)とも成化年間(特に1470-1476年)ともいわれている。中国皇帝の命を受けた使者「冊封使(さっぽうし)」が来琉し、琉球の新国王の即位式を執り行う「冊封(さっぽう)」では7つの儀式が行われていたが、その最初の儀式となる「諭祭(ゆさい)」を行う場所がここ崇元寺であった。諭祭では、亡くなった先代の王の霊位を弔うための儀式が行われたという。崇元寺は戦前、寺の本堂と石門が国宝に指定されていたが、沖縄戦で本堂(正廟)は全壊。石門は半壊したが、1952年(昭和27)に復旧修理され、周囲の石垣「石牆(せきしょう)」とともに、「旧崇元寺第一門及び石牆」として1972年(昭和47)に国の重要文化財に指定された。

蔦がからまり歴史風情あふれる石門。門口には木製の扉が取り付けられている} 蔦がからまり歴史風情あふれる石門。門口には木製の扉が取り付けられている

沖縄の寺ではほかに例のないアーチ型石門

崇元寺の第一門は、琉球石灰岩を切石積みにして造られたアーチ型の石門。沖縄の城(グスク)では見られる形だが、寺でこのようなアーチ型の石門を構えている例はほかにない。また、3つの門が連なっていること、さらにその左右に脇門が設けられている点も沖縄の石造スタイルとして希少だ。国廟としての格式の高さを示し、威厳を保つために考えられた特別な石門といえるだろう。第一門をくぐり、石段を上ったところが第二門(前堂)のあった場所。戦前は、その先に東庁・西庁と本堂が建てられていたが、現在は何もない広場で、「崇元寺公園」と名付けられ、憩いの場となっている。

もともと本堂が建てられていた場所。公園として開放されている} もともと本堂が建てられていた場所。公園として開放されている

第一門をくぐった先に戦後たくましく育ったガジュマルの巨木が迎えてくれる} 第一門をくぐった先に戦後たくましく育ったガジュマルの巨木が迎えてくれる

歴代国王への敬意の証「下馬碑(げばひ)」

崇元寺は国廟であることから、寺の前を馬に乗って通行することが禁じられていた。石門の東西両側に、そのことを命じる「下馬碑(げばひ)」が建てられていたが、西側の碑は戦災で破壊され、現在は東側の石碑だけが残っている。表に書かれた「あんしもけすもくまにてむまからおれるべし」は、按司(あじ)も下司も身分問わず皆この場所で馬から下りなさい、という意味。文字の近くに開いた2つの穴は沖縄戦のときに受けた弾痕である。下馬碑から石垣沿いに右へ回りこむと、「崇元寺公園」と書かれた標識があり、その横に拝所「崇元寺御獄(すーぎーじうたき)」がある。尚円王(しょうえんおう)の即位を進言した安里大親(あさとぅうふや)の居住地があった場所で、別名「馬鞭御獄(まーぶちぬうたき)」にまつわる不思議な伝説も残っている。

現存する東側の下馬碑。戦災を受けた西側の下馬碑の一部は沖縄県立博物館などに所蔵されている} 現存する東側の下馬碑。戦災を受けた西側の下馬碑の一部は沖縄県立博物館などに所蔵されている

沖縄では街なかにも御嶽が数多く存在する。ガジュマルの木に守られるように鎮座する「崇元寺御獄」} 沖縄では街なかにも御嶽が数多く存在する。ガジュマルの木に守られるように鎮座する「崇元寺御獄」

崇元寺へ続く「長虹堤(ちょうこうてい)」を歩く

かつて那覇は海に浮かぶ「浮島(うきしま)」だったため、首里との往来が不便で、冊封使が来琉した際は、海にたくさんの小舟を並べて渡したほど困難を強いられていた。その解決策として1451年(宝徳3)に築造されたのが「長虹堤(ちょうこうてい)」と呼ばれる海中道路。崇元寺前から現在の松山一丁目付近を結ぶ約1kmで、間には安里橋(現崇元寺橋)、美栄橋など7つの橋が架けられていた。この長虹堤跡の道筋が、ゆいレール「美栄橋」駅から崇元寺の間に今も残っている。崇元寺までは徒歩で約10分、かつて冊封使が渡った歴史の道をたどりたい人におすすめだ。「美栄橋」駅の沖映通り側へ降りた先に「新修美栄橋碑」があり、そのそばに長堤虹の地図案内があるので、確認してから出かけよう。

大道り沿い、バス停「崇元寺」前に位置。道路の向かい側から全体を眺めることができる} 大道り沿い、バス停「崇元寺」前に位置。道路の向かい側から全体を眺めることができる

スポット詳細

住所
沖縄県那覇市泊1-9-1 map map 地図
電話番号
0989173501
駐車場
なし
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
0-30分
乳幼児の入店
備考
※電話番号は那覇市文化財課へ繋がります。

情報提供: ナビタイムジャパン

アクセス

map map 地図

最寄り

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