水潜寺

寺院

「水潜りの岩屋」が名前の由来となった秩父34番札所

秩父三十四所巡りの「結願寺(けちがんじ)」であるとともに、西国・坂東・秩父をあわせた「日本百観音霊場」の結願寺。本堂前のお砂踏みから三体のご本尊を拝むことで、百観音巡礼の功徳をいただけるとされる。

1828年(文政11)再建の本堂。本尊の千手観音菩薩は室町時代の作と伝わる} 1828年(文政11)再建の本堂。本尊の千手観音菩薩は室町時代の作と伝わる

霊場を参拝する巡礼者が最後に訪れる結願寺

秩父三十四所とは、埼玉県秩父地方にある34か所の観音霊場の総称で、ここを巡ることを秩父札所巡りという。その結願寺として知られる水潜寺(すいせんじ)は、秩父郡皆野町(みなのまち)の山中にある曹洞宗の古刹だ。山号は日沢山(にったくさん)。室町時代に百観音霊場の結願寺になったことから、西国三十三所、坂東三十三所、秩父三十三所の聖地参拝を終えた巡礼者が百番目に訪れて祈りを深める場所になった。秩父の観音霊場がいつ成立したのかは古い時代のことなのではっきりしないが、江戸時代に編まれた『新編武蔵風土記稿』には1234年(文暦元)に始まったとの記述がある。もともと水潜寺は33番札所だったが、室町時代に百観音霊場とするために現在の秩父2番真福寺が加わり、34番札所になったと伝わる。秩父三十四所巡りは一巡100kmほどで、昔は5日かけて歩いたという。百観音霊場を巡り終えて納経を済ませた巡礼者は、ここで打ち留めの札と笈摺(おいずり=衣服の上に着る袖なしの羽織のようなもの)を納めるのが習わしだった。現在は、巡礼者以外にも観光や山歩きを兼ねて訪れる人も多く、幅広い層の参詣を集めている。

参道入り口には「秩父三十四番札所」と「日本百観音結願所」の石碑が立つ} 参道入り口には「秩父三十四番札所」と「日本百観音結願所」の石碑が立つ

讃仏堂(納経所)の隣に立つ百観音結願堂。満願の感謝を捧げお参りしよう} 讃仏堂(納経所)の隣に立つ百観音結願堂。満願の感謝を捧げお参りしよう

本堂を参拝して、観音様とのご縁を結ぶ

水潜寺へは、車なら秩父鉄道皆野駅から約10分、歩きの巡礼なら33番菊水寺から札立峠を越えて3時間半ほどで到着する。水潜寺の縁起は、824年(天長元)、東国が大干ばつにみまわれた際に旅の僧が「澍甘露法雨(じゅかんろほうう)」と観音経の一節を札に書いて立てると岩から水が噴き出して村が救われたという故事に由来する。札立峠の名の由来でもある。参道を歩いて最初に目にする大きな石灯籠は、芝の増上寺の徳川家霊廟にあったもので、戦後に移築された。その先、六地蔵を過ぎて苔むす石段を上ったところが本堂の観音堂。1828年(文政11)の宝形造りの建築で、欄間や天井の色鮮やかな花鳥の彫刻が見事だ。内陣にご秘仏として千手観音菩薩を中心に、西方浄土に住む阿弥陀如来、東方浄瑠璃に住む薬師如来の三尊が祀られている。いずれも室町時代の作で、それぞれ秩父、西国、坂東を象徴している。本堂の前に置かれた石板「百観音のお砂」を踏みながら本尊を拝めば、百観音をすべてお参りしたのと同じ功徳があるという。

本堂(観音堂)は、大きな唐破風向拝(からはふこうはい)を付けた六間四面の方形造り} 本堂(観音堂)は、大きな唐破風向拝(からはふこうはい)を付けた六間四面の方形造り

本堂の前面には、獅子や龍などの見事な彫刻が施されている} 本堂の前面には、獅子や龍などの見事な彫刻が施されている

胎内潜りで身を清め、新しい自分に生まれ変わる

本堂の右奥の崖下に、寺の名の由来となった「水潜りの岩屋」と呼ばれる洞窟がある。巡礼を終えた人々は、ここを潜り、身を清め俗世へ戻るという習わしがあった。胎内潜りと呼ばれ、結願所で新しい自分に生まれ変わるための再生儀礼でもあった。残念ながら現在は立ち入り禁止になっているため、岩屋を拝んで気持ちだけでも胎内潜りをしてみよう。岩屋から湧き出る「長命水」をひしゃくですくい、真如地蔵尊に頭から3杯かけて願い事を3度唱えるとご利益があるそうだ。御朱印は本堂の左側の讃仏堂でいただける。讃仏堂の隣が百観音結願堂。そこから県道への出口にかけて三十三観音像が祀られているので、お参りしながら帰途につこう。水潜寺から2kmほど下った日野沢川沿いには日帰り温泉施設「秩父温泉満願の湯」があり、ひと風呂楽しんでいくのもいいだろう。

おごそかな空気に包まれた「水潜りの岩屋」。水がしたたり落ちる洞窟は長さが約5mある} おごそかな空気に包まれた「水潜りの岩屋」。水がしたたり落ちる洞窟は長さが約5mある

「長命水」の脇に立つ、願いを叶えてくれるという「水かけ地蔵尊」} 「長命水」の脇に立つ、願いを叶えてくれるという「水かけ地蔵尊」

参道に並ぶ三十三観音の石仏が、参拝者を見送ってくれる} 参道に並ぶ三十三観音の石仏が、参拝者を見送ってくれる

スポット詳細

住所
埼玉県秩父郡皆野町下日野沢3522 map map 地図
電話番号
0494623999
時間
8:00-17:00
[11-2月]8:00-16:00
料金
[拝観料]無料
駐車場
あり(8台)

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 本殿の天井の絵が素敵です
    3.0 投稿日 : 2022.05.27
    札所34番の水潜寺さんへ行きました。道路から急な坂を上ると本殿にお参りできます。このお寺さんへ行きたいと思ったのは、本店の天井の絵が素敵だからです。この絵を切ることが出来て良かったです。天井にはたくさんの絵が描かれており、どれも独特で鳥類や動物などが描かれていました。これを拝むことが出来て満足です。また、行きたいと思います。
  • 秩父札所巡り最後の寺
    4.0 投稿日 : 2020.05.17
    水潜寺は秩父札所34ヵ所観音霊場の34番で、最後に訪れる結願寺です。また、西国33ヵ所霊場、坂東33ヵ所霊場を含めた百観音でも結願寺になっています。正式な巡礼であったら破風山を越える山道を歩くことになるのですが、無料駐車場が完備されているので、車では楽に行くことが出来ます。本数は少ないですが水潜寺入口にバス停もあります。本堂の先には寺名の起源となった「水潜り(みずくぐり)の岩屋」があり、とても神秘...
  • 十分な雰囲気が向かい入れてくれる
    5.0 投稿日 : 2019.08.24
    各所回っている方々はここが結願所最後の場所私は拝観したくてこちらへ緑に囲まれ雰囲気が素晴らしい!六地蔵 水かけ地蔵 おびんずるさま観音様 結願堂 石回し 三十三観音菩薩を拝観した福田元総理の石碑もあった宮司さんに声かけられたりもした拝観箇所が盛り沢山だ思いを込めて回っている方々のゴールに相応しい場所だ!

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アクセス

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最寄り

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