天上山
眺望とバラエティに富んだ登山ルートが魅力。神津島のシンボル
アルプスを思わせる稜線や山岳植物と出会う絶景の山頂
島しょというと海水浴やスノーケリングなど海遊びのイメージだが、山歩きも実はおもしろい。神津島を象徴する天上山はその代表的な存在。標高はそれほど高くないが、多彩な登山ルートでレジャー客から本格的なハイカーまで幅広く楽しめるのが魅力。見どころも点在し、何度通っても飽きない奥深さがある。最もラクに山頂を目指せるのが「白島コース」の6合目まで車で行き、そこから最高地点を目指す方法で所要片道約1時間。整備された石段をしばらく登っていくと7、8合目辺から視界が開け、眼下に集落と深く青い水平線がパノラマで広がる。本格的にチャレンジするなら「黒島コース」をふもとからアプローチする。急傾斜や岩場などがあり体力・健脚を求められるが低木の植物に囲まれた変化に富んだ風景はヨーロッパの山岳地方をほうふつとさせ美しい。山頂まで約2-3時間。下山に白島ルートを選ぶこともできる。観光協会に事前に申し込めば地元ガイドが案内してくれる。
ツツジやサクユリが咲く「花の百名山」
天上山は風の強い環境と腐葉土の少ない土壌によって低層の灌木に覆われているのが特徴的な山。山頂付近の過酷な自然環境下で風化した砂漠地帯もあり、標高572mという低山であるにもかかわらず森林限界を思わせる山岳風景と出合える。その山肌が華やかで彩り豊かな表情を見せるのが4~6月頃、ピンクやオレンジ色のブーケのように愛らしく咲き誇るツツジの群生が開花する季節。「花の百名山」にも選ばれている。砂漠地帯に咲くのはオオシマツツジでヤマツツジの変種。オオシマツツジとハコネコメツツジの自然雑種となるのがコウヅシマヤマツツジで、神津島のみに分布する特産種となる。そして初夏、7月になると甘い香りを漂わせるのがサクユリ。伊豆諸島に広く分布する植物で、神津島では「シャク」と呼ばれる。気品ある姿は貴婦人のようで、島の夏を告げる。なお、天上山一帯は国立公園特別保護区に指定されており、植物や岩などの持ち出しは厳禁。
ハート型が写真映えすると話題。緑に囲まれた神秘の不動池
最高地点から30分ほど歩くと見えてくるのが不動池。天上山で最も大きな池で、火山である天上山の活動によって生まれた火口跡に水が溜まったもの。かつてはここの状態で一年の降雨量を占っていたという。近年、池の形がハート型をしていることで若い女性たちに話題になり、それを写真に撮るために訪れる登山客もいるほど。池の手前に鳥居、中の島にはほこらがあり、中には龍神が祀られている。中の島に続く石橋はもろくなっているので使用禁止。また、龍神のほこらにも立ち入らないのが因習となっている。なお、雨が降らず乾燥していると枯れてしまいハート型にならないので、映える写真を撮るのが目的ならば注意したい。周囲にはバイオトイレ、ベンチがあり休憩ポイントにもなっている。
神々が集った「水配り神話」が誕生した聖なる地
白島登山10合目のすぐ横に広がる風化された大地がゆるやかに広がる場所が、不入ガ沢(はいらないがさわ)。なんとも不思議な名前だが、伊豆諸島の神々が水を分配する会議を行ったとされる「水配り神話」の舞台となったのがこの地とされている。神聖な場所ゆえ、「この沢に入るべからず」ということで名付けられた。白灰色の沢はかつて噴火によって噴出した軽石や火山灰などが堆積したもの。ちなみに平安時代の朝廷編纂の歴史書である『続日本後紀』に「上津島(神津島の旧名)が噴火した」との記述があり、天上山が噴火したのは838年(承和5)と考えられている。沢の近くにベンチがあり、休憩ポイントに。ここから白島登山ルートへと向かうことができる。なお、この周辺は強風時には避ける場所がないので十分注意したい。
スポット詳細
- 住所
- 東京都神津島村天上山 地図
- エリア
- 新島・式根島・神津島エリア
- 電話番号
- 0499280321
情報提供: ナビタイムジャパン