松茸屋 魚松 本店

「あばれ食い」は松茸土瓶蒸し、松茸ご飯、デザート、お土産まで付いて1人前8800円

緑豊かな甲賀の里にたたずむ

本店は、忍者の里で名高い甲賀ののどかな集落にある。最寄り駅はJR草津線甲賀駅だが、東へ約3.5kmと歩くにはなかなかの距離。新名神の甲賀土山ICから約8分でアクセスできる車での来訪がおすすめだ。店の創業は、1924年(大正3)。松茸と近江牛が看板であるのにもかかわらず「魚松」という店名を冠しているのは、初代であり現社長の祖母にあたるまつさんが鮮魚の行商から始めたことにちなむ。スーパーや居酒屋へと変遷したのち、3代目が幼少期からなじみの深かった「松茸」と、滋賀が誇る「近江牛」を掛け合わせたすき焼を食べ放題で提供する名物「あばれ食い」を考案。メディアで取り上げられたことから話題となり、松茸が恋しくなる秋には1日2000人の来店を記録したこともあるほどの人気ぶりだ。

田畑が広がるのどかなロケーション。店の外まで松茸の香りが届く

レトロな雰囲気の店内で「あばれ食い」

靴を脱いで上がる店内は、畳敷きの広間が連なり旅館のような趣が漂う。待合室には甲冑や大きな船の模型など当主が国内外から集めた古道具が展示されていて、ふと見上げれば忍者の等身大人形まであり、遊び心が光るもてなしが楽しい。さて、店の代名詞である「あばれ食い」は、予約をすれば松茸の旬である秋に限らず一年を通して味わえる。すき焼の特選近江牛、松茸、白菜、卵のほか、松茸ご飯を食べ放題で、さらに松茸の土瓶蒸しやデザート、特選松茸昆布のお土産も付いており、コストパフォーマンスが絶大だ。すき焼きは店のスタッフが目の前で作ってくれるが、備え付けの砂糖、清酒、醤油、すき焼のたれで自分好みの味に仕立ててもいい。鉄鍋に投入した具材がグツグツと煮え始めると、立ち上る湯気に乗って松茸の香りが広がっていく。五感を研ぎ澄ませて堪能したい至福の瞬間だ。

アンティークの調度品をしつらえた待合室にはコーヒーサービスも

「あばれ食い」には海外から選りすぐった松茸を使用している

松茸の豊かな香りをまとう特選近江牛はとろけるような口あたり

近江米の松茸ご飯と松茸の土瓶蒸し。まさに松茸尽くし

食べ放題以外のメニューやお土産も

「あばれ食い」は90分間の時間制だが、惜しみなく運ばれてくる松茸や近江牛でお腹がいっぱいに。食べ放題に自信のない人には、「特選近江牛すき焼御膳」「特選近江牛超特大ステーキコース」、近江牛の陶板焼きがメインの「近江牛大盤振舞」、松茸ご飯や天ぷらなどが付く弁当「大名御膳」など食べ放題ではないメニューもそろうので安心だ。また、9月中旬から11月下旬にかけては、要予約で国産松茸のコースも登場。すき焼きに加えて焼き松茸や松茸の刺身、松茸姿煮など多彩な松茸料理を味わえるほか、店が所有する山での松茸狩りがセットになったプランも。冬は茹でガニの食べ放題が付く「あばれ食い」、春は掘りたての筍料理がお目見えし、四季折々の味覚も楽しめる。帰りには店内の販売コーナーに立ち寄って、大ぶりの松茸の籠盛りや、レトルトの「松茸近江牛カレー」、ご飯のお供にぴったりの「松茸煮」などを甲賀土産にしてはいかがだろう。

販売コーナーに並ぶ松茸の籠盛り