今庄宿
北国街道の宿場町、繁栄の面影が今も、そこかしこに
2021年(令和3)8月に重伝建地区に選定
南越前町は、福井県の県域を「嶺北」「嶺南」に分ける境界線の北側に位置する。海と山あいの観光資源に恵まれた町だ。その中心地域に今庄宿(いまじょうしゅく)はあり、古来より交通の要衝として栄えてきた。旧北国街道沿いの全長約1kmのエリアに江戸後期から昭和30年代にかけての伝統的な建造物が数多く残っていることから、2021年(令和3)8月には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。今庄宿はJR今庄駅からほど近く、駅舎には今庄地区の歴史を予習できる今庄まちなみ情報館や土産物品販売所、南越前町今庄観光協会の観光案内所などを併設。レンタサイクル(電動アシスト大人用1日1500円、電動アシスト子ども用1000円、電動アシストなし大人用1日600円、電動アシストなし子ども用1日500円)も用意されている。同駅周辺には無料駐車場もあり、今庄宿の散策観光はJR今庄駅を起点とするとよいだろう。
「卯建」が特徴的な商家も点在
JR今庄駅から1分も歩けば、今庄宿の町なかに出る。かつては北国街道だった生活道路の両側に、古民家や昭和の雰囲気が今も残る家々が軒を連ねている。町割や道幅は江戸時代からほとんど変わっていないという。歩いていると、かつての町並みが目に浮かぶようだ。途中ですごく目立つ建物と出合った。往時の建築様式をうかがわせる「京藤甚五郎家」だ。同家は江戸時代に酒造業を営んだ旧家だ。2階屋根の左右両端に隣家と接する壁を屋根面より高く上げて小屋根を載せた「本卯建(ほんうだつ)」と、2階部分両サイドの前方に迫り出した間仕切り壁である「袖卯建(そでうだつ)」が特徴的かつ個性的だ。「卯建」には防火壁としての機能があり、その大きさは商家の経済力と正比例する関係だったようだ。ほかにも国指定有形文化財となっている「旅籠 若狭屋」など、先人が過ごした時を感じさせる建物が今庄宿には点在している。
防衛を意識した街道の曲がり道
1600年(慶長5)に起きた関ヶ原の戦いのあと、福井藩の初代藩主となった結城秀康が近畿方面に向かう街道を整備する際、今庄宿を重要な宿場町として計画的に造らせたと伝わる。中心部には参勤交代の際に藩主や重臣らが宿泊する本陣と脇本陣、人馬による貨物輸送の中継拠点となる問屋場などがおかれた。防衛上の機能も有しており、道を不自然にくねらせて遠方を見通せないようにした「矩折(かねおり)」が今庄宿の北側に2か所、南側に1か所ある。戦国の気風が強かった江戸初期に成立した町並みの特徴を確認してみよう。
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情報提供: ナビタイムジャパン