世界遺産 平泉
「平和」という理想世界を形にした、寺院・庭園および遺跡の一群
平泉の宿に泊まってじっくりと巡りたい
平泉の旅程の目安として、人気の高い観光スポット「中尊寺」や「毛越寺(もうつうじ)」だけを見るなら、半日から1日くらい。世界遺産に認定された5つの要素をじっくり巡るなら、泊まりがけで2日は欲しい。平泉町内には温泉付きの宿もあり、銘柄牛・前沢牛などの地元の食を味わいながら、旅の疲れを癒やすことができる。JR東北本線・平泉駅から「毛越寺」までは約700ⅿ。また「中尊寺」から「毛越寺」までは約2km。その周辺に世界遺産に認定された遺跡も点在するので、時間があれば徒歩やレンタサイクルがおすすめだ。平泉巡回バス「るんるん」もあるので、急ぐ旅ならバスからの景色だけでも、世界遺産の雰囲気を体験できる。
5つの構成要素が世界文化遺産に登録
約100年近くにわたって「平泉の世紀」であったこの地も、のちに鎌倉幕府を開く源頼朝の登場により、奥州藤原氏は滅亡。相次ぐ火災によって、多くの堂塔(どうとう)や宝物(ほうもつ)を失うこととなる。しかし、国宝建造物第1号である「金色堂」をはじめ、建築、絵画、書跡、工芸、彫刻、考古、民俗の幅広い分野にわたる文化遺産が今日まで伝えられ、平安時代の仏教美術の宝庫として知られている。2011年(平成23)には「中尊寺」「毛越寺」「無量光院跡(むりょうこういんあと)」「観自在王院跡(かんじざいおういんあと)」「金鶏山(きんけいさん)」の5つの要素を合わせて、将来にわたって大切にしたい文化遺産として世界遺産に登録された。
子どもたちの明るい声が響く遺跡
世界遺産登録の正式名称は「平泉─仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群─」。この名称からも、残された美術品や寺院、庭園が豪華だったというだけで登録されたのではないことがわかる。生きとし生けるものすべてが一体となって存在する、浄(きよ)らかな仏国土を、という願いが根底にあることも含めて、価値が認められたともいえる。5つの構成要素には、地元の人が憩う公園的な場所もある。2代基衡公の妻が造営した「観自在王院」の跡地では、木かげでピクニックを楽しんだり、子どもたちが走りまわったりと明るい声が響く。そうした光景と合わせて遺跡を眺めると、奥州藤原氏が叶えようとした平和への願いをより強く感じるはず。
自然との調和を取り入れた空間都市
平泉の世界遺産は自然との調和がすばらしく、空間的な広がりも特徴的だ。その中心的な存在ともいえるのが「金鶏山」。「中尊寺」と「毛越寺」の中間にあり、標高98.6mのなだらかな円錐形の山は、「観自在王院跡」や「無量光院跡」からも望める。「無量光院」は「金鶏山」の東側にあり、山頂に夕日が沈む4月と8月頃には、本尊である「阿弥陀如来」の背後から光が差し込むよう設計されたといわれている。新緑の頃に訪れたなら、次は紅葉、さらに雪模様など、それぞれの季節で見える風景が一変するので、何度でも足を運びたくなる。
スポット詳細
- 住所
- 岩手県西磐井郡平泉町 地図
- エリア
- 平泉・奥州・一関エリア
- 電話番号
- 0191462218
情報提供: ナビタイムジャパン