開聞岳
美しい稜線を描き「薩摩富士」とも称される活火山
どこから眺めても秀麗な活火山
円錐形ですっと広がる山裾がまるで富士山のように美しいことから、「日本百名山」のひとつに選ばれた開聞岳。標高は924mで、ふもとから頂上までの登山道は片道約5km(所要約3時間)。頂上で待っているのは、雲上の大パノラマ。天気が良い日は、霧島・屋久島など鹿児島の観光名所を一度に望む圧巻の景色を楽しめる。登山道はゆるやかならせん状で、周囲の展望を360度ぐるりと見渡せる。三方を海に囲まれている立地から想像しても、壮大な眺めを期待できる。登山口はふもとの公園内にあり、JR開聞駅からは徒歩で20分の距離。老若男女を問わず登りやすいため、一年を通して登山客で賑わう名山だ。
2500年前から変わらない山体
開聞岳は縄文時代に誕生した活火山だ。噴火を繰り返す約1130年前には現在とほぼ同じ規模の山体が完成したと推定されている。この山は、火山の火口やカルデラの内部に新しい火山ができる「二重式火山」だ。頂上部は複数回の噴火で、溶岩や大小の岩片などが積み重なって形成された円錐状の成層火山。その上に、粘性の強いマグマが盛り上がってできた溶岩円頂丘(ようがんえんちょうきゅう)が載っている。調査によると、その山体は完成からほとんど侵食を受けていない。1945年(昭和20)に始まった沖縄戦では、九州から飛び立った特攻隊員が最後に見た本土の景色が開聞岳だったといわれる。当時の姿を守り続ける山は現代人の目にどう映るのだろうか。
パワースポットで歴史と自然に触れる
開聞岳を訪れたらぜひ立ち寄りたいのが、JP開聞駅から徒歩約10分にある枚聞神社(ひらききじんじゃ)だ。古くから、交通・航海の安全や漁業守護の神として地元からの信仰があついパワースポットで、御神体である開聞岳を仰ぎながら参拝する。鎌倉時代から江戸時代まで約700年の間、南九州を統治した島津藩主からも崇敬を集めた。本殿は県の重要文化財に指定され、琉球から伝わった扁額や島津家に関係する古文書や、国の重要文化財に指定されている松梅蒔絵櫛笥(玉手箱)など、貴重な品々が保管されている。また、山のふもとには自然に囲まれた「かいもん山麓ふれあい公園」がある。開聞岳の登山口のほか、そば打ちを体験できる施設や本格的なログハウス・キャンプ場なども完備。薩摩の美しい自然からあふれるパワーを全身で満喫できるだろう。
JR最南端の駅で楽しむ景色と指宿砂むし温泉
開聞岳がそびえる指宿市には、JR日本最南端の駅「西大山駅」がある。田園風景のなかにひっそりある小さな無人駅だ。目の前には開聞岳がそびえ、美しい眺望を楽しめる。そんな駅に設置されているのが「幸せの鐘」と「幸せを運ぶ黄色いポスト」。ポストは市の花である「菜の花」をイメージしており、全国的にも珍しい黄色い色をしている。また、指宿市は霧島火山脈が縦断するため温泉の湧出量が豊富。砂の中に体を埋めて入浴する天然のサウナ「天然砂むし温泉」を体験できる。温かい砂で全身を包みこめば、気持ち良くどっぷりと汗が吹き出す。登山で美しい景色を眺めてから温泉で汗を流せば、心も体もすっきりリフレッシュできるはずだ。
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情報提供: ナビタイムジャパン