諫早公園
「日本の歴史公園100選」に選ばれた、国の天然記念物の公園
水と緑に囲まれた自然豊かな公園
室町時代に高城が建っていた高台にあり、1958年(昭和33)に城跡が諫早市に譲渡されたことにより、公園として整備された。園内にはスダジイを主体にヤブツバキなどが見られ、「諫早市城山暖地性樹叢(じゅそう)」として、周囲1kmほどの丘陵地全体が国の天然記念物に指定されている。ヒゼンマユミ、ミサオノキ、ハマセンダンなどの暖地性の植物が生育しており、温かい地域ならではのさまざまな種類の木を眺めながら散策するとおもしろい。
公園内には諫早市出身の詩人・伊藤静雄(1906~1953年)の碑などもある
大水害にも耐えた眼鏡橋
諫早公園のシンボルでもある眼鏡橋は、もとは公園のすぐ北を流れる本明川に架かっていたもの。江戸時代後期の1839年(天保10)、それまで大きな橋がなかった本明川に、当時の領主・領民が永久不壊の願いを込めて造った石造りの二連アーチ橋だ。石橋としては日本で最初に国の重要文化財に指定されている。1957年(昭和32)の諫早大水害後、本明川拡張工事のため諫早公園に移築復元された。公園はまたツツジの名所としても有名で、別名「つつじ公園」とも呼ばれている。大正時代に市民ボランティアによって植えられたツツジは4~5月に満開を迎える。この頃に訪れると、色鮮やかなツツジと眼鏡橋を一緒に観賞することができる。
国指定重要文化財の眼鏡橋。春には3万株のツツジとの競演が見事で、夜はライトアップされる
歴史を感じさせる遺産に巡り合える
諫早公園がある場所は、室町時代の文明年間(1469~1486年)に伊佐早(現・諫早)地方を統一した西郷尚善(さいごうひさよし)が築城した高城の城跡。1699年(元禄12)、財政難から藩庁をふもとの諫早陣屋に移すまでは城として機能していた。高城には「城の下にもぐり込んだ大亀が、手足を伸ばして敵の侵入を阻止してくれた」という言い伝えがあり、そこから亀城とも呼ばれていたそう。さまざまな木々が緑色のコケに覆われた姿には威厳を感じる。特に、頂上にある大クスが二股に分かれ、頭上を屋根のように覆う姿は神々しいほど。
高城跡は丘陵全体が国の天然記念物に指定され、本丸跡には高城明神が祀られている。城内には猫が多い
散策や軽いハイキングにもちょうど良い
国の天然記念物である常緑樹林を眺めながら、園内の遊歩道を散策してみよう。公園全体を一周すると1時間くらいかかる。園内には所どころ急な坂やカーブがあり、山城の名残を垣間見ることができる。雨が降ると地面が滑りやすくなるので注意が必要だ。木や草の揺れる音が聞こえ、自然を近くに感じることができる。駐車スペースは限られているものの、満車の場合は上山公園北駐車場が利用できるので、車を使う場合は事前に調べておこう。
隣接する高城神社は1882年(明治15)の創建。祭神は諫早家初代龍造寺家晴公で、昭和期に水害のあと現在地に移された
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン