堀川用水・朝倉揚水車
国の史跡に指定された日本最古の実働する水車群
住宅街を抜けた先にある、歴史ある水車群へ
福岡市内から福岡県最南端の市・大牟田市までをつなぐ西鉄天神大牟田線の「朝倉街道」駅から約1時間バスに揺られ「菱野」で下車。静かな住宅街を7分ほど歩くと、江戸時代に整備された堀川用水が見えてくる。用水路に架かる小さな橋を渡った右手にあるのが、現在でも稲作時季に活躍する水車「菱野の三連水車」だ。そこから2分ほど歩いた先には「三島の二連水車」、さらに3分ほど歩くと「久重の二連水車」がある。約450mのあいだにある7基の水車は、いずれも筑後川から農業用水を運んでいる。
たび重なる干ばつから農村地を救った水車
堀川用水と揚水車群が整備されたのは、1662~1663年(寛文2~3)のこと。1662年(寛文2)に起こった大干ばつのあと、干ばつ被害の防止と安定した生活の確保のために、住民たちは筑後川から農業用水を引くことを検討し、堀川用水を作ったといわれる。しかし堀川用水の北側のエリアは水面より土地が高かったので水を引くことが難しく、水流を動力とする自動回転式の三連・二連水車が開発された。日本では唯一、水田を潤す揚水車として現在も現役で稼働する水車群は、堀川用水とともに1990年(平成2)、国の史跡に登録された。
6月17日の神事とともに稼働を開始する揚水車
揚水車群から約2km、堀川用水の始まりである筑後川との堰(せき)近くにある「水神社(すいじんじゃ)」で行われる「山田堰通水式(やまだぜきつうすいしき)」を見学するのもおすすめ。水田に水を張り始める6月17日に、水神社の境内地下にある大きな岩盤を貫く水門が開かれ、堀川用水に水が流れ、揚水車群が稼働し始める。毎年、神事は9時30分から行われ、10時頃から開門となる。9月下旬の閉門までは、筑後川からの水で満たされた用水路に堂々と回転する水車を見ることができるが、年に1度きりの神事に合わせて訪れてみるのもいいだろう。
物産館や水車のレプリカも必見
菱野の三連水車から徒歩10分ほどの場所にある「三連水車の里 あさくら」にも、ぜひ立ち寄りたい。交流館と芝生の広場、揚水車群を模したモニュメント水車のある公園だ。モニュメント水車は、菱野の三連水車を実物大で再現。実際の揚水車群が稼働していない秋~冬にも、水を運んでいる水車の姿を見られるとあり、撮影スポットとしても人気だ。また、交流館では地元の新鮮な農産物を購入できるのはもちろん、加工品や土産も豊富にそろう。季節の野菜や果物を使用した旬のジェラートを販売する「カフェさくら」もあり、散策の最後に休憩がてら立ち寄るのにちょうどいい。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン