宇野港
四国への玄関口として賑わった港がアート作品で彩られている
「瀬戸内国際芸術祭」の会場のひとつ
瀬戸内海に面した岡山県玉野市にある宇野港。香川県の高松港と結ぶ国鉄連絡船が1910(明治43)に就航して宇高航路が開設されて以降、民間のフェリーも相次いで参入、本州と四国を結ぶ大動脈として栄えた。1988年(昭和63)の本州と四国を結ぶ瀬戸大橋の開通で、(国鉄)宇高連絡船は廃止され、2019年(令和元)には、瀬戸大橋の通行料金の値下げの影響などで唯一運航していた宇高航路が休止し、伝統航路は109年の歴史を終えた。その一方で、2010年(平成22)から3年ごとに開催される「瀬戸内国際芸術祭」の会場のひとつになってから再び注目を集める。アートの島「直島(なおしま)」や「豊島(てしま)」行きのフェリーが宇野港から出ており、瀬戸内国際芸術祭開催期間中はもちろん、期間外でも国内外のアートファンが利用する。
公園にあるアート作品を巡ろう
宇野港はJR宇野駅のすぐ前。駅舎を出て、南の道路を渡り少し歩を進めると海と島々が目に飛び込んでくる。直島は泳いで渡れるのではと錯覚するくらい近くに見える。宇野港から直島まではフェリーで約20分だそう。港は、フェリー乗り場のほか、「シーサイドパーク」「メモリアルパーク」「うの港パーク」といった公園が整備されている。各所に設置されたアート作品も見どころだ。「造船のまち」を象徴するいかりとスクリューを使ったオブジェは『舟底の記憶(いかり)』と『舟底の記憶(スクリュー)』。ともに小沢敦志(おざわあつし)作。家庭から出た不要品や作家が集めたゴミなどを使った巨大な魚のオブジェ『宇野のチヌ』は、宇野港開港80周年事業の記念モニュメントで、並んで設置してある『宇野コチヌ』は滑り台になっている。ともに作者は「淀川テクニック」。また、宇野駅にある放置自転車をアート化した『終点の先へ』(小沢敦志作)はレンタサイクルとして実際に乗ることもできる。
恋の願いが叶うとされる『愛の女神像』
宇野港と宇野駅の間に設置されている御影石製の『愛の女神像』もユニーク。作者はインドの彫刻家ドルヴァ・ミストリー。左のお尻に触れると、恋の願いが叶うスポットとして注目されている。港の周辺には日帰り温泉施設やホテル、カフェなど個性的なスポットが次々オープンしている。また玉野は漫画家いしいひさいち氏の出身地で、宇野駅と宇野港の間の道沿いに「ののちゃんの街」として紹介する案内板があるので探してみよう。浮桟橋と産業振興ビルは2015年(平成27)、マリンレジャーの交流拠点「海の駅」に認定されている。アート作品、航行するフェリー、釣り人など、穏やかな湾内の景色を眺めながらゆっくり散歩するのがおすすめだ。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン