高尾599ミュージアム

高尾山の自然に溶け込む建物。天気の良い日には芝生広場でくつろぐ人々の姿も

登山客をはじめ、すべての人に開かれたミュージアム

都心から電車や車で約1時間の便利な場所にありながら、豊かな大自然のなかで山歩きを楽しめる高尾山。年間約300万人もの人々が訪れ、「世界一登山客の多い山」ともいわれる。そのお膝元にある八王子市が所有するミュージアムは、京王線高尾山口駅から徒歩約4分、高尾山ケーブルカーの清滝駅からは徒歩約2分。入館は無料で、気軽に立ち寄れるのがうれしい。高尾山に登る前の予習に、登山後のくつろぎの場として、あるいは子どもたちの学びや遊びの場としてなど、さまざまな利用の仕方ができる。

自然光が差し込む開放的な館内。中央には「NATURE COLLECTION」と呼ばれる16の展示台が並ぶ

ユニークな展示で高尾山の豊かな自然に触れる

ミュージアムは4つの「シェア＝共有」をテーマに構成されている。まずは、高尾山の未来を共有する「NATURE COLLECTION」。高尾山は南斜面が暖温帯、北斜面が冷温帯に位置するため、植物の種類が豊富。「明治の森高尾国定公園」内には約1300種、周辺を含めると約1600種類もの植物が自生している。また高尾山は、大阪の箕面山、京都の貴船山と並び、日本3大昆虫生息地のひとつといわれる。館内には四季折々の草花や昆虫標本が展示され、まるで生きているかのようにリアルな姿に感嘆してしまう。ミュージアムでは、こうした展示を通して高尾山の豊かな自然を体験してもらい、未来を担う子どもたちの好奇心や地域への愛着を育む活動も行っている。

アクリル樹脂に封入された草花は、まるで採取されたばかりのような色鮮やかさ

高尾山に生息するチョウなど約200種の昆虫を展示。繊細な美しさに思わず見入ってしまう

高尾山の魅力を伝えるプロジェクションマッピング

2つめの「シェア」は、館内の奥にある、高尾山の魅力を共有する「NATURE WALL」。真っ白な壁の中央に高尾山の豊かな自然の象徴であるブナを模したモニュメントがあり、その周りにイノシシ、アナグマ、アカギツネ、ムササビ、フクロウなど山に棲む動物たちの剥製が展示されている。ここで1時間ごとに行われるプロジェクションマッピングは、高尾山の四季折々の風景をダイナミックな映像と音楽で表現し、子どもから大人まで楽しめると好評だ。

白い壁がスクリーンになるプロジェクションマッピング。上映時間は7分ほど

情報発信の場と、誰でも楽しめる憩いのスペース

3つめは、高尾山の情報を共有する「599 GUIDE」。北側入り口近くにあるモニターで、登山の心得とルート、高尾山の知られざる魅力や歴史がユーモアたっぷりの映像で楽しく学べ、登山前の予習にもぴったり。また、登山ルートを紹介するパンフレットも置かれているので参考にすると良い。

1号路から裏高尾コースまで、テーマごとに10のルートを紹介している

最後は、高尾山の広場として共有する開かれたスペース。芝生広場「599 GARDEN」には、写真スポットにもなる「599 BENCH(ベンチ)」や子どもたちの遊び場として人気の「じゃぶじゃぶ池」(11時～16時/4月～11月)も。また館内には、持ち込み可能な飲食スペース、大きな窓から庭を見渡せる「599 CAFE」がある。多摩産材のテーブルとイスが並ぶ憩いの空間で、本格的なコーヒーをいただきながら登山後のひとときを過ごすのもおすすめだ。

センスの良いオリジナルグッズを取りそろえたミュージアムショップも併設