広尾町海洋博物館
まるで宝箱!? 何でもアリの不思議な海洋博物館
海洋博物館の入り口に、野生動物がズラリ
襟裳岬から帯広方面に向かい黄金道路を抜けたところにある広尾町では、例年「広尾毛ガニまつり」が人気で、シシャモの水揚げ量は日本一。そんな漁業の町にある「広尾町海洋博物館」は、入り口を入るとすぐ、動物たちのはく製が出迎えてくれる。その姿を見た子どもたちが館内へ進めなくなるほどの迫力だ。広尾町にはかつて水族館もあったが閉館してしまい、その結果さまざまな展示物がこちらに集結したという。はく製群のなかでなんといっても見逃せないのは「ジャコウウシ」。北方圏に生息するウシ科の動物で、体長180-245cm、体重は200-300kg。毛むくじゃらの巨体をみると「生きた化石」と称される理由がわかる。
漁業の町・広尾町でサケの生態を学ぼう
「北方圏の野生動物」エリアを抜けると、いよいよ海洋博物館らしくなってくる。広尾近海の魚やプランクトンについての紹介、広尾町の漁業についての展示が続いた先には、広尾町でも高い水揚げ高を誇るサケを取り上げた「世界のサケ」コーナーがある。サケが生まれた川から旅立ったのち、広尾の海に戻るまでの経緯を眺めていくと、次に現れるのは漁船の操舵室が再現された「漁船と航海」コーナーだ。来館者を飽きさせない展示が続き、とても楽しい。海洋博物館から連絡通路を抜けると、広尾町郷土文化保存伝習館「海の館」につながっている。
北海道指定の有形文化財も展示されている
海の館にも見どころが多い。「開拓時代の生活」エリアには、漁師の家や黄金道路(国道336号)の建築現場を再現した実物大のジオラマがある。黄金道路は1927年(昭和2)に着工し、1934年(昭和9)に開通した。長い工事期間で費用がふくれあがり「黄金を敷き詰められるほどお金がかかった」ため、この名がついたという。広尾町近辺の交易路は、昔から険しかった。幕府の探検家・近藤重蔵は1798年(寛政10)、択捉探検の帰りに大雨に見舞われ広尾にとどまり、この地域の道路の必要性を実感。私財を投じて道を切り開いた。この顛末を記した北海道指定の有形文化財『東蝦新道記(とうかしんどうき)』は、町内の十勝神社に所蔵されているが、通常は非公開。そのレプリカがこちらに展示されている。
町に縁がある著名人の活躍をまとめて紹介
広尾町は2018年(平成30)に開町150周年を迎えた。ちなみに広尾町の開町は1869年(明治2)で「北海道」が命名されたのと同じ年。道内でも長い歴史がある町なのだ。相撲協会理事長の八角親方こと第61代の横綱・北勝海信芳(ほくとうみのぶよし)や、六花亭の包装紙のイラストでも有名な山岳画家の坂本直行などの著名人も輩出している。町に縁がある人々の活躍紹介に加え、直行の祖父が坂本龍馬の甥にあたることから、なんと龍馬にまつわる展示もある。気軽な気持ちで訪れると、開拓苦労話など充実した展示内容に目を奪われ、いい意味であっという間に時間が過ぎてしまう。じっくり見学すると2-3時間は要するが、行くべき価値のあるスポットだ。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン