旧野崎家住宅

歴史的建造物

公共の利益も考えた経営感覚で成功した塩田王の豪華な邸宅

国指定重要文化財の旧野崎家住宅は、児島など瀬戸内海の塩田開発を行った塩田王・野崎家の大邸宅。敷地内を公開するほか、蔵の一部を展示室にして塩業や野崎家の歴史を紹介している。

すばらしい意匠の表書院と枯山水の庭。ひときわ大きな石は藩主の駕籠が置かれた「お駕籠石」だ} すばらしい意匠の表書院と枯山水の庭。ひときわ大きな石は藩主の駕籠が置かれた「お駕籠石」だ

独学で塩業に取り組んで成功した塩田王

倉敷市児島の玄関口、JR児島駅一帯はかつて塩田だった。江戸時代後半、児島半島の南側を中心に広大な塩田開発と新田開発を行い「塩田王」になったのが野崎武左衛門(のざきぶざえもん)だ。武左衛門は、若くして児島産の綿を使って足袋の製造販売を始め、事業は軌道にのったが塩田開発へ転換する。塩業は書物で独学し、先進地から技術者を招いて規模を拡大していったという。また同時に新田開発も進めていった。そして、塩田経営のなかで利益が上がれば相応に労働者の収入も増えるという独自の経営方式も編み出し、晩年には飢饉や物価高騰に苦しむ近隣の村も救済した。武左衛門は、「経営は世のため人のため」と優れた経営感覚と公共の利益を考えた経済人だった。江戸後期に10数年をかけて邸宅を次々に築き、現在、ほぼ創建の頃のまま保存されている建物や庭園が公開されている。

長さ26mの長屋門に圧倒される} 長さ26mの長屋門に圧倒される

広大な敷地に数々の見どころがある大邸宅

2006年(平成18)に国の重要文化財に指定された旧野崎家住宅は、建物面積約3300平方メートルと、塩田王にふさわしい威容を誇る。日本遺産「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」と「荒海を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の2つの日本遺産の構成文化財になっている。敷地の広さは約9900平方メートル。堂々とした長屋門を入ると低い丘陵を背景に、主屋を中心にして南側に貴賓の応接に使われた表書院、北側には内蔵、大蔵、書類蔵、道具蔵、岡蔵、夜具蔵の6棟の蔵が連なる。9つの座敷を見通せる主屋の眺めは圧巻。6棟の土蔵は建てられた年代によって、それぞれなまこ壁の模様が違っているそうだ。枯山水の庭園には奇岩・巨石を組んで松、サツキ、苔を巧みに配している。茶室は、築山に建てられた観曙亭(かんしょてい)、裏千家の名席「又隠」を写した容膝亭(ようしつてい)、枯池に臨む臨池亭(りんちてい)という特色ある3席がある。サツキは約120本植栽されて花が咲く季節は見事。庭の一角には、水琴窟(すいきんくつ)があるのでその涼やかな響きも楽しみたい。

立ち並ぶ蔵。このうち2棟(大蔵と岡蔵)が展示室となっていて内部の資料を見学できる} 立ち並ぶ蔵。このうち2棟(大蔵と岡蔵)が展示室となっていて内部の資料を見学できる

苔むす庭には特色ある茶室が3席。写真右は4畳半の茶室「容膝亭」} 苔むす庭には特色ある茶室が3席。写真右は4畳半の茶室「容膝亭」

水琴窟は、水の音が琴のようにも聞こえるのでその名がついたとか。水が落ちると竹筒から不思議な音が聞こえる} 水琴窟は、水の音が琴のようにも聞こえるのでその名がついたとか。水が落ちると竹筒から不思議な音が聞こえる

珍しいオベリスク形の顕彰碑へも足を延ばそう

武左衛門の孫・武吉郎(ぶきちろう)も、台湾塩田開発や塩専売法の成立に尽力し事業を拡大した。1890年(明治23)の第1回帝国議会では岡山県唯一の貴族院(多額納税者)議員となった。岡山孤児院の開設者・石井十次(いしいじゅうじ)ら福祉、教育、文化関係者を支援した名望家としても知られる。蔵の2棟は、展示室として使われ、野崎家の歴史、功績の紹介や、製塩で使っていた道具類、塩田製塩時代の写真などを展示している。敷地内には「塩づくり体験館」もある(予約制)。また、旧野崎家住宅から児島ジーンズストリートを通って約500m行ったところにある「野崎武左衛門翁旌徳碑」は武吉郎が祖父・武左衛門をしのんで建立したオベリスク形の顕彰碑(国登録有形文化財)。なお、武左衛門が始めた製塩事業は、現在、ナイカイ塩業(本社倉敷市)に引き継がれている。

主屋の中座敷から向座敷までは9部屋が続いていてその長さはなんと42m!} 主屋の中座敷から向座敷までは9部屋が続いていてその長さはなんと42m!

約50m続く石壁。自然石が積み上げられ高さは約12m。縁起を担いで1枚だけ扇形の石があるので探してみよう} 約50m続く石壁。自然石が積み上げられ高さは約12m。縁起を担いで1枚だけ扇形の石があるので探してみよう

スポット詳細

住所
岡山県倉敷市児島味野1-11-19 map map 地図
電話番号
0864722001
時間
9:00-17:00(入館受付16:30まで)
休業日
月(祝の場合は翌平日)、年末年始
料金
【入館料】
[大人]500円
[小・中学生]300円
※土日祝は高校生まで無料
駐車場
あり(36台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
平均予算
【昼】1-1,000円
【夜】1-1,000円
滞在目安時間
30-60分
乳幼児の入店
ペットの入店
可(小型犬で園内を抱えて歩く必要あり)
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 驚きがあるお屋敷でした
    4.0 投稿日 : 2022.12.16
    岡山や倉敷の都会から離れた場所にこのような立派な建物があることに驚いた。 襖で仕切られた42mもある多くの部屋のつながりは、合わせ鏡の空間にいるような不思議な感覚を覚えた。 館内は台所を中心に昔の生活が偲ばれる品々が置かれている他、製塩に関する展示があり興味をそそられた。 駐車場の看板が縦長の大きなものだったので、かえって気が付かずうろうろしてしまった。
  • 色々見られてかなり良かった
    5.0 投稿日 : 2021.10.17
    倉敷市のジーンズストリートにある、昔の塩田王の家です。ここは、塩で大成功た野﨑武左衛門の住宅で、国指定重要文化財です。大人500 円、小中学生300円で、土日は子供無料です。ここの屋敷は凄く広く、屋敷や庭も見ていても楽しいですが、昔の生活用品や、蔵やトイレ、防空壕などもあり、思っていたよりもはるかに良かったです。蔵を利用した展示館もあり、正直、ジーンズストリートよりも遥かに良かったです。
  • 塩田王の屋敷です。端から端まで42メートルある部屋の連なり
    5.0 投稿日 : 2021.05.08
    ジーンズストリートに面して門がある大邸宅。江戸時代から昭和に至るまで塩の生産を行っている野崎家のお屋敷です。外からも大きな蔵がいくつも並んでいるのがよく見え、壮観です。ここでは吾郎ちゃんが主演した犬神家の一族のロケもおこなったようです。

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アクセス

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