伊太祁曽神社

神社

紀伊国(きのくに)の木の神が坐(いま)すところ

古くから良質な木材を豊富に産出し、旧国名の「紀伊国」とともに「木の国」と称される和歌山県。その紀伊国一宮とされる伊太祁曽神社(いたきそじんじゃ)は、木の神様を祀る古式ゆかしい神社だ。遥か昔から家屋や船、家具、燃料など生活の要としてなくてはならない存在の「木」に、思いを馳せる安らぎのひとときをこの神社で過ごすことができる。

木々の豊かな自然に囲まれた境内} 木々の豊かな自然に囲まれた境内

国中に樹木を植えた神を祀る

702年(大宝2)には『続日本紀(しょくにほんぎ)』にその名が記されているという古社。今の鎮座地から約6km離れた、日前神宮(ひのくまじんぐう)・國懸神宮(くにかかすじんぐう)が鎮まる地に祀られていたが、二度の遷座を経て713年(和銅6)に現在の場所に鎮座したという。主祭神は五十猛命(いたけるのみこと)。『日本書紀』に登場する神で、父の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の命で国中に樹木を植えてまわったというまさに「木の神」だ。ともに植樹を行った妹神の大屋津比売命(おおやつひめのみこと)、都麻津比売命(つまつひめのみこと)も左右の脇殿に祀られている。木の神を祀るだけあって境内は大樹に囲まれ、葉が風にそよぐ木の葉ずれの音が耳に心地よい。1962年(昭和37)の落雷で燃え枯れてしまった杉のご神木も下部3mほどが残され、ありし日の威容を今に伝えている。

木のやさしさを感じられる本殿} 木のやさしさを感じられる本殿

社務所前の御神木は下部だけでかつての大きさを物語る} 社務所前の御神木は下部だけでかつての大きさを物語る

厄難除けにご利益のある木の俣(また)くぐり

『日本書紀』で五十猛命と記されている神は、一方『古事記』では大屋毘古神(おおやびこのかみ)と称される。因幡(いなば)の白兎を助けたあとの大国主神(おおくにぬしのみこと)が生命の危機に陥って紀伊国へ逃げてきた際、木の俣をくぐらせて助けたという物語が残されている。この神話にちなみ、本殿向かいの割拝殿には厄難除けのご利益があるとされる大きな「木の俣くぐり」がある。これは社務所前の御神木が落雷で燃え自然にできた穴で、その中から見上げるといかに御神木が大きなものだったかが実感できる。木の俣くぐりのかたわらにはチェンソーで彫られた見事な干支の彫刻作品が並ぶ。和歌山県内在住で、世界チャンピオンにも輝いたチェンソーカービングの第一人者・城所(きどころ)ケイジさんが、毎年4月の「木祭り」に実演奉納してきた作品。その年の干支は、本殿の脇に飾られている。

多くの参拝客が御神木の俣をくぐる} 多くの参拝客が御神木の俣をくぐる

見事なチェンソーカービングの干支たち} 見事なチェンソーカービングの干支たち

健康を願う人からも人気

本殿向かって左手に境内を進むと、ひときわうっそうと茂る杜(もり)が現れる。木々の間に延びる小さな山道は、御井社(みいしゃ)へとつながる小道だ。水の神、井戸の神を祀る祠(ほこら)の前には井戸があり、清浄な水を滔々(とうとう)とたたえている。古来「いのちの水」と呼ばれるこの水は飲むと病人に活力を与えると伝えられており、わざわざ汲みに来る参拝者も多いという。井戸にはひしゃくが据え付けられているので、蓋を開けて汲み出そう。ほか、境内の蛭子神社(ひるこじんじゃ)には「お猿石」という霊石も祀られている。サルの頭の形のような石で、古くは参拝者がこの石に手をあてて心を鎮めたそうで、現在では首から上の病に霊験あらたかとされている。「いのちの水」と「お猿石」で、元気をもらおう。

御井社へと続く小道} 御井社へと続く小道

昔も今も変わらず湧く「いのちの水」} 昔も今も変わらず湧く「いのちの水」

古代の息吹感じる古墳

ほかにも、広々とした社地には氣生神社(きしょうじんじゃ)、祇園神社(ぎおんじんじゃ)、一の鳥居そばの櫛磐間戸神社(くしいわまとじんじゃ)など数々の境内社が鎮まっている。木の神を祀る神社だけあって、境内の木々の根本付近にはそれぞれに木札が立てられており、その木の名が記されているのを見て歩くのも楽しいだろう。五十猛命の父神・素戔嗚尊が降臨したという島根県奥出雲町の船通山(せんつうざん)から運んできた大岩は磐座(いわくら)として祀られている。二の鳥居を出て向かいには「ときわ山」という小さな丘があり、それはなんと古墳。2021年(令和3)に和歌山市指定の文化財「伊太祁曽神社古墳群」で、6世紀代に築造されたといわれる円墳だ。横穴式石室の開口部のすぐ前まで迫ることができる。社務所の許可を得れば石室に入ることも可能。古代の風を身近に感じられること請け合いだ。

内部は鎌倉時代にはすでに盗掘されてしまったそう} 内部は鎌倉時代にはすでに盗掘されてしまったそう

スポット詳細

住所
和歌山県和歌山市伊太祈曽558 map map 地図
電話番号
0734780006
時間
9:00-17:00(但し、参拝はいつでも)
休業日
無休
料金
無料
駐車場
あり(30台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(PayPay)
※但し、おみくじのみ
Wi-Fi
あり(Free wifi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 趣有り
    5.0 投稿日 : 2022.07.18
    和歌山市内から桃源郷あらかわ地区へ行く途中に立ち寄りましたが、とても立派な神社で見どころも多く楽しめました。
  • スサノオの子イタケルを祀る
    4.0 投稿日 : 2022.01.22
    古代、日本中に木を植えて回ったとされる五十猛命を祀り、続日本紀にも記載がある古社です。木々に囲まれ池もあり気持ちの良いところでした。
  • 木の神様をまつる一の宮
    3.0 投稿日 : 2021.11.07
    紀伊国の三社ある一の宮の一つです。日本中に木の種をまいたという木の神様が祀られています。創建時期は不明ですが、702年に記録が残っていて、以前は日前宮の地に祀られていて、垂仁天皇の時代に日前宮に場所を明け渡し、現在地の近くに遷座、713年に現在地に遷座したそうです。朝、お参りに行きました、神職さんや巫女さん、神社の関係者の朝拝を拝見させて頂いました。涼やかな気持ちが現れるいい場所です。

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アクセス

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最寄り

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