せんなり亭伽羅

ランチの「近江牛 和風ロースステーキ重」4200円。季節の小鉢、椀物、香の物が付く

彦根城観光のメインストリート

「千成亭(せんなりてい)」は創業1957年(昭和32)、地元彦根に根差した近江牛専門店。その昔彦根では牛肉を味噌漬にし、薬として販売していたが、彦根藩から江戸幕府への献上品とするようになったことからもわかるように、彦根と近江牛の縁は深い。千成亭が手がける飲食店は彦根界隈に数軒あり、なかでも立地のよさと趣ある空間で観光客の人気を集めているのが、「近江牛肉せんなり亭 伽羅」。彦根城の中堀に架かる京橋の西側、江戸時代の城下町を再現した「夢京橋キャッスルロード」に並ぶ一軒で、JR東海道線彦根駅の西口から徒歩17分ほどでアクセスできる。玄関の引き戸を開けると、彦根城主井伊家にちなんだ赤色の甲冑が目に入り、観光気分を盛り上げてくれる。奥行のある店内は、テーブル席や掘りごたつ式の席がある和室、個室のほか、特別会席を予約すれば、築300年の蔵を再生した特別室が利用可能だ。

暖簾をくぐり、打ち水された石畳を進んで店の玄関へ

奥庭に立つ蔵は江戸時代のもの

蔵を再生した特別室内部は和モダンな雰囲気

ランチは近江牛の御膳仕立て

千成亭のこだわりは、近江牛の風味、香り、やわらかさを追求するため、未経産の牝牛のみを扱うこと。自社牧場や契約牧場で、一般的な期間より2か月多い30か月以上を基準に肥育された牛を目利きが選りすぐって仕入れており、製造から加工、調理、提供まで一貫して自社で行っている。「調理の際は、近江牛のもつ脂の甘みやうまみを最大限に引き出すよう、余計なものを加えずシンプルに、を心がけています」とは店長談。11時半から14時半までのランチタイム限定のメニューは、ロースかフィレを選べるステーキ重やステーキ御膳、肉のランクが選べるすき焼き鍋御膳のほか、近江牛の刺身やにぎり寿司などが付く会席も。ふっくらつややかな近江米のこしひかりをはじめ、丁字麸、赤こんにゃく、豆腐、湯葉なども滋賀県産のものを吟味しているといい、滋賀の恵みを存分に味わえる。

近江牛のステーキは歯切れがよく、口のなかでとろけていく

和室は襖で仕切られており、落ち着いて食事できる

昼夜共通メニューやご当地土産も

昼夜共通のメニューには、すき焼きやステーキ、会席などがあるが、珍しいのが「茶しゃぶ」。隣接する日本茶専門店の歴史ある朝宮茶を昆布だしにあわせたもので、近江牛をさっぱり味わえると評判だ。おみやげには、嚙めば嚙むほど肉のうまみが広がる彦根藩伝承の牛干肉や、ご飯やお酒のおともにぴったりの近江牛しぐれ煮、近江牛をモチーフにしたユニークなポストカードやハンドタオルもある。彦根界隈には、ワインとのマリアージュが楽しめる「心華房」、リーズナブルで気軽に利用できる「レストラン千成亭」、うどんと近江牛をマッチさせた「麺匠 ちゃかぽん」などの姉妹店があるが、メニューや味付けは店ごとの個性を大切にしており、地元民の心もギュウッとつかんでいる。

店舗限定、料理長監修の「近江牛しぐれ煮」50g 810円

贈る相手も思わず笑顔に！？遊び心の光るポストカードは1枚165円