龍潭寺

寺院

井伊直虎ゆかりの寺で、東海一ともいわれる名園を愛でる

1300年ほどの歴史をもつ龍潭寺は井伊家の菩提寺として知られ、境内の墓所には井伊直虎も眠る。その歴史に思いを馳せながら、四季折々の美しさを見せる小堀遠州作の庭園を堪能しよう。

春の桜、初夏のアジサイなど季節の草花が山門を彩る。掲げられている山号「萬松山」は朝鮮通信使が書いたもの} 春の桜、初夏のアジサイなど季節の草花が山門を彩る。掲げられている山号「萬松山」は朝鮮通信使が書いたもの

創建は奈良時代、江戸時代の建物が6棟も並ぶ

浜名湖の北側、里山から浜名湖へと注ぎ込む流れによって、清らかな水に恵まれていた井伊谷(いいのや)の地。古来から「井(水)の国」と呼ばれていたこの地には、四季を通じて、遠方より観光客が訪れる寺がある。733年(天平5)、東大寺の大仏造立に尽力したことでも知られる行基によって創建されたと伝えられる龍潭寺は、3万平方メートルを超える境内に多様な景色が広がり、訪れる人の心をなごませている。駐車場から石段を上っていくと、1656年(明暦2)に再建された味わいのある山門が見えてくる。門をくぐると正面には石垣。城のような造りに、かつて果たしていた役割を感じる。東門は龍潭寺で最も古い建物で、400年の時を重ねてきた。受付のある庫裡は1815年(文化12)の建立。境内にはこれら江戸時代に建てられた建物が6棟も並び、その風情を手入れが行き届いた季節の木々と草花がさらに深めている。しかしクライマックスはこれから。拝観料を払って、本堂へと進もう。

本堂は1676年(延宝4)に第7世喝岩和尚代、井伊家27代直興公の寄進により再建された。本堂前に広がる補陀落(ふだらく)の庭も季節ごとの美しさを見せる} 本堂は1676年(延宝4)に第7世喝岩和尚代、井伊家27代直興公の寄進により再建された。本堂前に広がる補陀落(ふだらく)の庭も季節ごとの美しさを見せる

国指定名勝の庭園を眺めながら穏やかな時間を

1676年(延宝4)に建立された本堂で最初に迎えてくれるのは、遠州最大の大仏・釈迦如来坐像だ。随所に残る傷跡は、明治時代の仏教排斥運動の際に付けられた歴史的な痕跡である。本堂の廊下は、かつて忍びの侵入を知らせていたウグイス張り。音が鳴らないように静かに足を運んでみるが、キュッキュッと鳴ってしまう。目を移して本堂正面にある補陀落の庭は、浜名湖を表現しているという。歴代住職の位牌を祀る開山堂、正夢稲荷とも呼ばれ祈れば夢が叶うといわれる萬松稲荷などを巡った先、いよいよ本堂裏手に現れるのが、国指定名勝で東海一と称される庭園だ。手がけた小堀遠州は安土桃山時代から江戸時代前期の大名。茶や建築など幅広い分野で活躍し、代表作とされる「二条城二の丸庭園」をはじめ、作庭の分野でも名声を築き上げた。龍潭寺の庭園は、建物から座って眺めることを想定した池泉鑑賞式庭園。自然の山水の景色を写し、配された石ひとつにもさまざまな思いが込められている。鑑賞席に座って、解説に耳を傾けよう。

1729年(享保14)に建立された釈迦如来坐像。随所に仏教排斥運動の際に付けられた傷を見ることができる} 1729年(享保14)に建立された釈迦如来坐像。随所に仏教排斥運動の際に付けられた傷を見ることができる

本堂の廊下はウグイス張りで有名。突き当たりには江戸初期の伝説的名工・左甚五郎作といわれる龍の彫刻が展示されている} 本堂の廊下はウグイス張りで有名。突き当たりには江戸初期の伝説的名工・左甚五郎作といわれる龍の彫刻が展示されている

大河ドラマにも登場し、歴史ファンも注目

龍潭寺は、徳川四天王のひとりとして家康の天下統一に貢献した井伊直政や日米修好通商条約締結などに功績を残した大老・井伊直弼などを輩出した井伊家の菩提寺で、1000年余りにわたり40代の祖霊を祀ることでも知られる。直政を育て上げた井伊直虎の生涯を描いたNHKの大河ドラマ『おんな城主 直虎』の舞台となったことでも注目を集めた。境内には今も井伊家に関連する場所や建物が残る。御霊屋には井伊家歴代当主の位牌が祀られ、庭を見下ろす境内でいちばん高いところに位置する墓所では直虎や直政の墓を見ることができる。参道を出て徒歩2分のところには井伊氏の初代・共保が1010年(寛弘7)に生まれたと伝わる井戸があるので、ぜひそちらも見学したい。小堀遠州作の庭園や境内を彩る季節の花を眺めながら肩の力をゆるめるも良し。井伊谷城跡、渭伊神社などのゆかりの地も合わせて訪れ、往時に思いを馳せるも良し。四季の変化はいうまでもなく、天気や時間帯によっても雰囲気は異なり、訪れるたびに新たな味わいや美しさに出合えるはずだ。

国指定名勝・小堀遠州の手による庭園。中央に守護石、左右に仁王石、正面手前に礼拝石。池の形は心の字になっている} 国指定名勝・小堀遠州の手による庭園。中央に守護石、左右に仁王石、正面手前に礼拝石。池の形は心の字になっている

春のサツキ、秋のドウダンツツジなど庭園は四季折々の変化に富む。鑑賞席が設けられているので、解説を聞きながら眺めよう} 春のサツキ、秋のドウダンツツジなど庭園は四季折々の変化に富む。鑑賞席が設けられているので、解説を聞きながら眺めよう

1631年(寛永8)に建てられた東門(旧鐘楼堂)。建物の傷みのため下部が切られ、現在は低くなっている} 1631年(寛永8)に建てられた東門(旧鐘楼堂)。建物の傷みのため下部が切られ、現在は低くなっている

禅寺特有の大破風の屋根が美しい庫裡は第14世住職の仲山和尚代によって建立された。間口9間、奥行き14間で堂々たるたたずまい} 禅寺特有の大破風の屋根が美しい庫裡は第14世住職の仲山和尚代によって建立された。間口9間、奥行き14間で堂々たるたたずまい

スポット詳細

住所
静岡県浜松市北区引佐町井伊谷1989 map map 地図
電話番号
0535420480
時間
9:00-16:30
休業日
8/15、12/22-27
料金
【拝観料】
[高校生以上]500円
[小・中学生]200円
駐車場
あり
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり(一部売店内)
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 小堀遠州作の庭園
    4.0 投稿日 : 2022.05.28
    小堀遠州作の庭園は見事です。特につつじの時期はすばらしいです。今年は時期を逸してしまいましたが、青葉の庭園もいいです。しばし庭を眺めていると心も穏やかになりました。また違う季節の庭もぜひ見たいと思いました。
  • 趣のある庭でした。
    4.0 投稿日 : 2021.11.16
    井伊家の菩提寺で趣のある庭園のある由緒あるお寺です。座って庭の説明のアナウンスを聞きながら。。。。ずーと見ていられる庭です。
  • 庭園が綺麗
    5.0 投稿日 : 2020.11.18
    静かで心落ち着く龍潭寺ですその中でも庭園は心が落ち着く場所になっていて案内のアナウンスを聞きました。

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アクセス

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