初島

熱海港から高速船で30分。首都圏からいちばん近い離島

灯台の展望スペースから360度続く水平線。島ではスキューバダイビングにフィッシング、島内散策、アクティビティ施設と過ごし方はさまざま。漁師が営む食堂街で新鮮な海鮮料理も堪能しよう。

11月下旬から3月中旬頃はエサを求めカモメが船にやってくる

初島は静岡県の最東端、伊豆半島東方沖に浮かぶ小さな島。熱海からおよそ10km沖合にあり、熱海港からは毎時1便程度で高速船が就航している。潮風を肌に感じながら船旅を満喫していると30分ほどで初島港に到着。のどかな景色が迎えてくれる。島の周囲は約4km、島内には食事処や民宿、ホテル、グランピング施設、アスレチックなどもそろい、夏には海水浴やシュノーケリングも楽しめるので宿泊はもちろん、熱海から日帰りで立ち寄るにもちょうどいい。すべての施設は徒歩圏内にあるが、多少のアップダウンがあるので歩きやすい靴で訪れるのがおすすめだ。

温暖な気候で一年を通してアクティビティを楽しめる

ここ初島は熱海の網代付近と地続きだった丘の隆起で誕生し、灯台付近は2万年ほど前に海上に現れたそう。1988年(昭和63)の発掘調査では、約7000年前の縄文時代に人々が住み始めたという資料も残されている。

港の左手、海岸線沿いには魚介をメインとする食事処が並ぶ。近くに住む漁師たちが営む食堂だ。一本釣りや刺し網、素潜りなど、各店主たちが水揚げした新鮮素材を調理。その日の食材は朝出た漁で確保するため活きの良さは格別だ。目の前で獲れた旬の食材を存分に味わおう。

軒を連ねる食堂。魚に精通する漁師の包丁さばきは見事

初島の海は「釣り天国」といわれるほど地形に恵まれた場所。天気の良い日は富士山を眺めながらのんびり、自然を満喫しながら釣り糸を垂れるには絶好のロケーションだ。港近くの漁協直売所で、釣り竿のレンタルやエサの販売もあり、初心者でも手ぶらでも心配なし。旅の思い出に体験してみるのもおもしろい。

潮の流れが良く、年間を通して楽しめる釣りスポット

地上16m、灯火まで14mの初島灯台は1959年(昭和34)に設置され、2007年(平成19)にリニューアルした灯台。展望スペースへは登りは建物内の階段を、下りは外側にあるらせん階段を使用。らせん階段が外側にある灯台は日本でも唯一。しかも全国に16しかない登れる灯台のうちのひとつなのでぜひ訪れたいスポットだ。展望スペースからは伊豆大島や伊豆七島、伊豆半島から相模灘、房総半島まで360度見渡す大パノラマを楽しめる。

日本国内で15番目に建てられた、登ることのできる灯台

隣接する「初島灯台資料展示館」は全国初のログハウス展示館として、また国内で9番目の灯台資料展示館として2006年(平成18)に開設されたもの。天候の悪い日でも3Dパノラマビューで初島周辺の眺望を楽しめ、初島の歴史や灯台の仕組みに関する展示から島や海への理解を深めることができる。灯台への入場は寄付金(300円)を。

天候が良いと富士山も見える灯台は赤と緑の光を交互に灯す全国でも珍しい光り方をする

船着場から右手に進むとあるのが初木姫命(はつきひめのみこと)を祀る「初木神社」。古代から島人たちに信仰されてきた初木神社は伊豆山神社と関係が深く、伊豆山の伊豆山彦とのロマンスなど初木姫の伝説が美しい神話として今も残る。近くには海の守り神「竜神宮」がひっそりとたたずみ、海の中から現れた剣を祀っている。御神体といわれる竜神の塚へは社殿の脇から山の頂上へ向かおう。ほかにも「お初伝説」「天地創生伝説」「磯内膳の伝説」など数々の伝説が語り継がれる初島。のんびり島内散策をしながら歴史スポット、文学スポットを巡ってみるのもいい。

鎌倉時代以前に建立されたといわれる初木神社