乳岩
大自然のパワーと悠久の時間が形づくる、圧巻の絶景
体調と装備を万全に整えてアタック
乳岩峡とは、宇連川の支流である乳岩川の流れが形成した約2kmに及ぶ峡谷。北には標高1016mの明神山、西には宇連ダムの建設によって造られた鳳来湖があり、1934年(昭和9)に国の名勝および天然記念物に指定された。川の浸食に耐えて残った巨大な岩山は乳岩と呼ばれ、奇岩や絶景を楽しむスポットとして人気がある。乳岩峡の看板が立てられた入り口から乳岩をぐるりと1周して戻って来るまでの所要時間は、およそ1時間30分。道中には足場の悪い箇所も多く、山登りを想定した服装や装備で訪れたい。
岩や地形が指し示す、幻の火山の存在
入り口の看板を通り過ぎるとすぐに、桟敷岩と呼ばれる平坦な岩盤が続いている。ここは昔川底だった場所であり、土地が隆起して浸食が進んだことにより川底が下がり、地表に露出したものだ。ほかにも、岩肌に巨大な穴が空いて門のような姿になった通天門、岩の中に含まれていた石灰が溶けだして形成された乳岩洞穴など、奇岩・奇景があちこちに見られる。
かつてこの辺りには約1500万年前に活発な活動をしていた設楽火山があった。その噴火によってできた凝灰岩が広く分布し、地殻変動や川の浸食、風化などによってこれら独特の景観がつくられたと考えられている。
難所を乗り越えた先の絶景はまさに感動
入り口から桟敷岩を抜けて乳岩分岐までの約15分は、比較的整備された山道が続く。乳岩と書かれた矢印に沿って分岐を進み、だんだんと険しさを増す山道を進むと、乳岩峡最大の難所、通天洞に突入。岩をよじ登るように架けられた階段とハシゴを上って岩の隙間を潜り抜けると、唐突に広がる青空。この瞬間の感動と開放感は、心に深く刻まれるに違いない。さらに先へ進み、通天門の絶景を堪能したら、岩山を下りながら乳岩洞穴へ向かう。気持ちのいい風と、V字に連なる峡谷の眺めが「がんばって上ってきてよかった」という達成感を与えてくれるはずだ。
アクセスは車よりも電車がおすすめ
乳岩峡での滞在時間は、およそ半日を想定して旅程を組もう。以前は入り口のすぐ目の前まで車で行くことができたが、現在は手前約1.2km区間が車両通行止めになっている。電車でのアクセスが基本となる。最寄り駅であるJR飯田線三河川合駅から乳岩峡入り口までは徒歩で約30分かかるので、余裕をもって行動したい。戻ってきたら電車で湯谷温泉へ向かい、汗と疲れを洗い流すのもいい。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン