御在所岳

荒々しい岩肌を覆う深い緑や秋の紅葉など、変化に富んだ景色を見られる

初級から上級まで豊富な登山ルート

御在所岳は三重県(菰野町)と滋賀県(東近江市)の県境にある山で、標高は1212m。比較的ゆるやかで初心者向けの裏登山道や急な登りが続く表登山道など、さまざまな登山ルートがある。なかでも多くの奇岩を見ることができる、中登山道はいちばん人気。途中には鎖場もあり、スリリングな体験ができる。この山の地質は花崗岩で、裏登山道から眺めるロッククライミングの名所「藤内壁」の姿は圧巻だ。春はアカヤシオなどのツツジ科の花々が咲き、秋は紅葉、冬は樹氷など、四季折々に美しい姿を見せ、多くの登山者を魅了し続けている。

大黒岩などの多くの奇岩を見ることができる

「御在所ロープウエイ」を上手に活用

御在所岳へのアクセスを容易にしてくれる「御在所ロープウエイ」の存在は大きい。ふもとの湯の山温泉駅と山上公園駅間の2161m、高低差780mを片道約15分で結んでいる。山上公園駅から頂上までは徒歩約22分で、気軽にハイキングを楽しめる。山上公園駅から観光リフトを利用すれば、さらに気軽。また、上りは登山を楽しみ、下山にはロープウエイを組み合わせて御在所岳を満喫するのもおすすめだ。

見晴台からは山上公園駅を発着するゴンドラを眺められる

見どころいっぱいの山上公園

山上公園にはさまざまな見どころが存在する。特に、「富士見岩展望台」からの眺めは絶景。四日市や名古屋方面の街並みや、伊勢湾の風景を見渡せば、広大な自然に思わず圧倒されるだろう。さらに空気が澄んだ日には、約200km離れた富士山が眺めらることも。「見晴台」からは、次々に発着するゴンドラの様子を間近に眺めることが可能。ゴンドラの赤い車体と深い緑、紅葉とのコントラストが見事だ。山上公園駅にはレストランや売店があるので、山上公園を散策する際の拠点としても利用できる。

富士見岩から眺める四日市市や名古屋方面の風景

いよいよ御在所岳の頂上へ

御在所岳頂上には一等三角点が建てられている。頂上にたどり着いた証に、ぜひ記念撮影をしよう。一説によると「御在所」の名前は天照大神(あまてらすおおみかみ)の神霊を伊勢へ遷し、伊勢神宮を創建した倭姫命(やまとひめのみこと)に由来するとされる。倭姫命が伊勢への旅の途中、この山の山上に休息のための頓宮(仮の在所・御座所)を設けたことから「ございしょ」と呼ばれるようになったと伝えられる。下山後はアルカリ性のラジウム泉で無色透明な湯が特徴の、湯の山温泉で登山の疲れを癒やすのがおすすめ。旅館やホテルのほか、「癒やし」と「食」をテーマにした複合温泉リゾート施設「アクアイグニス」など、日帰りで温泉を利用できる施設も多いので要チェックだ。

標高1212mの山頂には一等三角点が建てられている

頂上は三重県と滋賀県の県境となっている