崇福寺

本堂の向こうに岐阜金華山と山頂の岐阜城が見える

「ぎふ信長まつり」の日に「織田信長公追悼式」が営まれる由緒ある寺

JR岐阜駅や名鉄岐阜駅から岐阜バス「長良川国際会議場北口」バス停から徒歩2分。「祟福寺」は岐阜県岐阜市にある臨済宗妙心寺派の寺院で、織田信長、有栖川宮家ゆかりの寺として有名。本尊は延命地蔵菩薩、聖観音で、美濃三十三観音霊場第十四番札所にもなっている。1567年(永禄10)に織田信長が岐阜に入ると、崇福寺は織田家の菩提寺となる。1582年(天正10)の本能寺の変により織田信長と息子の織田信忠が亡くなると、2人の遺品は側室の手で岐阜城から崇福寺に移され、織田信長・信忠廟所に埋められた。織田信長の書状や肖像画、櫓時計、清洲城の鯱といった織田信長ゆかりの品や、特に保護していたとされる徳川家光、有栖川宮ゆかりの品などを保有する。

織田家の山門幕が掲げられる重厚感のある山門

秋のドウダンツツジや冬の雪景色も美しい境内の石畳

血痕が付着した岐阜城の床板が張られた本堂の天井

堂内には織田家ゆかりの貴重な資料が展示されている。本堂の天井は岐阜城の天守の床板を天井板に使っている。黒ずんだが鎖かたびらや鎧ひだたれの血痕が残る天井で「血天井」と呼ばれる。これは、織田信長の孫・秀信が1600年(慶長5)の関ヶ原の戦いで西軍(石田三成)に加担したことで東軍の猛撃に遭い、岐阜城が落城した際の戦死者を弔うために、岐阜城の床板を本堂の天井に張られたもの。また崇福寺は、「心頭を滅却すれば火も自ずから凉し」で有名な、戦国時代から安土桃山時代にかけての臨済宗妙心寺派の僧・快川紹喜が住職を務めたこともある由緒ある寺。毎年11月第1土曜の「ぎふ信長まつり」の日に「織田信長公追悼式」が営まれ、祭りの2日間に寺は無料開放される。

桜町天皇より賜った禅師号の直筆や徳川家光公の直筆の色紙が貯蔵される本堂

一面、血の海だったと想像できるほど血痕で黒ずんだ本堂前の血天井

織田家から昭和時代の宮家の貴重な資料が保存

本堂には織田信長直筆の書状や肖像画などゆかりのものが保存されている。また戦国武将とは思えないほど繊細な書体で書かれた、信長公の書「雪月花」も貴重な資料として残る。そのほかには岐阜市の重要文化財である「付喪神絵巻(鳥羽僧正非情成佛絵巻)」を見ることも可能だ。本能寺の変で討たれた信長公と息子の信忠の遺品を寺内に埋め、位牌を安置させた「織田信長父子廟」も必見。江戸時代になると徳川家より朱印地に指定され、3代将軍家光公の色紙や道中煙草盆なども残されている。またこの頃、有栖川宮家の祈願所にも指定され、ゆかりの品が数多く残されている。昭和初期には有栖川宮御息女、徳川御後室、實枝子女王が御成になり、宮家からの嫁入り道具なども残る。

木々に囲まれた静かな木陰の下にたたずむ「織田信長父子廟」

季節の花や色鮮やかなツツジ、紅葉の景色が見ごとな日本庭園

「祟福寺」の見どころのひとつに、庭園がある。きれいに手入れされた日本庭園で、秋にはドウダンツツジと紅葉が咲き誇り、境内が鮮やかな赤やオレンジ色に包まれる。四季折々の花木が楽しめ、ボタンや小手毬、サンザシ、大山レンゲ、紫千代萩など珍しい花の観賞も楽しめる。また雪が積った日本庭園の景色も美しい。そのほか、広い境内を散策すると、蹲(つくばい)や石灯篭、開基一統の墓、石庭など歴史を感じさせる物が多く残る。11月のドウダンツツジとコンサートなど花木のイベントも毎年開催している。

織田家や徳川家、昭和の宮家も愛した季節の景色が美しい日本庭園