南砺市立福光美術館

美術館

地元ゆかりの版画家棟方志功、日本画家石崎光瑤(こうよう)らの代表作を展示

南砺市(なんとし)の旧福光町にゆかりのある版画家棟方志功と日本画家石崎光瑤(こうよう)、彫刻・陶芸家の松村秀太郎の3氏の作品を展示する美術館として1994年(平成6)10月に開館。美術愛好家ら年間約2万人が訪れている。

緑豊かな場所に立地。屋外展示されている作品にも静かに向き合うことができる} 緑豊かな場所に立地。屋外展示されている作品にも静かに向き合うことができる

作品寄贈が美術館開設の契機に

大正から昭和の初めにかけて京都で活躍した光瑤は、南砺市北西部に位置し、石川県金沢市とも境界を接する旧福光町の出身。1947年(昭和22)の没後、450点を超える作品が町に寄贈されたことが、美術館を開設するきっかけとなった。青森県出身の志功はまだ無名に近かった1945年(昭和20)に福光に疎開し、6年8か月間同地に滞在して多くの作品を残し、以降、活躍の幅を広げながら世界的巨匠へ上り詰めた。また、木彫、塑像に卓越した手腕を示した秀太郎は、福光に在住しながら活躍した。美術館の館内には、光瑤と志功の作品を常設展示する。2015年(平成27)に増築された広さ355平方メートルの展示室があり、インドの熱帯風景を描いた光瑤の代表作『燦雨(さんう)』や、文殊・普賢の二菩薩と釈迦の高弟ら10人を彫った志功の『二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)』など、大作を含め両氏の希少な作品が展示されている。(展示作品の入れ替えあり)

福光美術館は、国道304号線から300mほど山側に入った閑静な森のなかにある} 福光美術館は、国道304号線から300mほど山側に入った閑静な森のなかにある

棟方志功の板画『二菩薩釈迦十大弟子』。左右両端の二菩薩は当初のもの。その内側の二菩薩は、1948年(昭和23)に改刻されたもの} 棟方志功の板画『二菩薩釈迦十大弟子』。左右両端の二菩薩は当初のもの。その内側の二菩薩は、1948年(昭和23)に改刻されたもの

国際的な評価を高めた棟方志功の代表作

福光美術館における棟方志功の収蔵作品数は約300点に上る。代表作の『二菩薩釈迦十大弟子』は、1939年(昭和14)に制作され、1955年(昭和30)のブラジル・サンパウロビエンナーレ国際美術展で版画部門の最高賞を獲得。翌1956年(昭和31)のイタリア・ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展では、グランプリに相当する国際版画大賞を受賞し、国際的な評価を高めた。仏に近づこうと苦悩し、葛藤するなかで生み出された作品は、作家のエネルギーがほとばしるように展示室のなかでひときわ存在感を放つ。部屋にはこのほか、沢瀉妃の柵(おもだかひのさく)などの板画(棟方自身は「版画」ではなく「板画」と表記した)や書なども並ぶ。世界中のファンを魅了した作品をつぶさに鑑賞したい。(展示作品の入れ替えあり)

沢瀉妃の柵や紙本墨摺『華狩頌(はなかりしょう)』など志功の作品が並ぶ展示室} 沢瀉妃の柵や紙本墨摺『華狩頌(はなかりしょう)』など志功の作品が並ぶ展示室

絵に生命を宿すため、徹底して写生を重視

石崎光瑤は、華麗な花鳥画で卓越した才能を示し、30代で帝展審査員を務めるなど、若くして活躍した。光瑤が何より重視したのは写生である。生きている鳥はもちろん、剝製まで入念に写生し、形態や特徴、仕組みまで理解した上で創作に臨んだ。美術館には写生や下絵が大量に残されており、その足跡をなぞることができる。常設展示されている『燦雨』は、35歳の光瑤がインド旅行の成果として1919年(大正8)に完成させている。第1回帝展で特選を受賞し、花鳥画家としての地位を固めた代表作である。同じ部屋には翌1920年(大正9)、一転して故郷の雪景色を描いた『雪』も並ぶ。写実に徹しながら大胆な構図に挑戦した意欲作として知られ、『燦雨』と『雪』を見比べられるのもここならではの特徴だ。

光瑤の代表作『燦雨』(写真左)と『雪』(同右)。中央には円熟期の作品『寂光』を展示} 光瑤の代表作『燦雨』(写真左)と『雪』(同右)。中央には円熟期の作品『寂光』を展示

石崎光瑤の図録や棟方志功の版画が描かれた「てぬぐい」、作品集などを購入できるミュージアムショップ} 石崎光瑤の図録や棟方志功の版画が描かれた「てぬぐい」、作品集などを購入できるミュージアムショップ

スポット詳細

住所
富山県南砺市法林寺2010 map map 地図
電話番号
0763527576
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
休業日
火(祝日は開館、翌日休館)、年末年始
料金
[入館料]一般310円、高校生・大学生210円、中学生以下無料
※企画展は別料金
駐車場
あり(70台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(PayPay)
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分(企画展開催時は60-90分)
車椅子での入店
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 当時の風情そのまま
    5.0 投稿日 : 2018.05.22
    棟方志功さんがお住まいになった場所、噂のお手洗いからカレンダーまで、当時お住まいだった頃を偲べるようなつくりで、大変素敵でした。今回は、ガイドさんをお願いして色々とお伺いしました。愛染苑の裏手には、資料館もあります。こちらは興味のある方向けですね…。
  • 静かです。
    5.0 投稿日 : 2017.12.07
    主人が退屈するかな、と心配しつつ棟方志功展示室へ。食い入るように見ていました。職人として通じるものがあったのでしょうか。昨年は雪がちらつく時期に行きましたが、建物も美しくロマンチックでしたよ。
  • 隠れた名所
    5.0 投稿日 : 2017.09.07
    南砺市福光の山の麓にある美術館です。棟方志功をはじめ意外な作品が展示されています。あの片岡鶴太郎さんも来られ作品を残されています。是非一度行って見て下さい。

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アクセス

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